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オリジナリティって、なんだろう?
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第4回 ゼロから作るということを学ぶには?


青木 安居くんは、実際にカミロボどうしで
試合をやっていない間にも、
頭で思い浮かべるだけで、
話を、どんどん、進めることができる──。

ほんとうの試合は、カミロボの世界の
上っ面のひとつにすぎない。
これはスゴイと思った。

眠る前に陶酔する妄想の世界での
心地よい感じって、あるじゃないですか。
あの感覚を、安居くんは、どこでも
味わえるようなものなのかなぁ、と感じたから。

何も持っていないときにも、
これだけの数のキャラクターで、
遊ぶことができるわけで、それは
多重人格者のようなおもしろさがあるんですよね。

安居くんの作るキャラクターには、
自分の投影が多いから、
悪の自分、おひとよしの自分、物好きの自分、
みんないて、それらが戦っていくんだし。

ひとり遊びもここまで来ると、
ひとり遊びの領域をこえたおもしろさがあるな、
という感じはします。
ここまでできあがっているものは、
広めたほうがおもしろいや、って思ったんです。

ある程度のビジネスになるんだったら、
このおもしろい遊びに関わる時間を、
増やせるというか……。



自分は、何か企画を立てて
作っている人間ですけど、
今までやってきたことを反省する機会も、
いくつかあったんです。

広告や、アートディレクションって、
よく考えてみたら商品ありきのものでしょう。

商品がないとできないものなんです。
結局は、何もないところから、新しいものを
作りだしているわけではありませんよね──。

すごくイジワルな見方をすれば、
広告って、ただ末端を飾りたてるだけの
作業にも、見えるんです。

商品自体を変えているわけじゃないんだから。

ただ、安居くんのようなものの作りかたって、
ほんとうに、ゼロから、
実際のモノを作っている感じがある。

自分の妄想や欲望のためだけに
作っているカミロボ……これはかなり
クリエイティブな感じがあったんです。
ここには、けっこう素直に
学ぶところがありそうな気がしたと言うか。


安居くんの世界観も、経験値も加わっているし、
ものすごい工夫も、綿密な展開もできているし、
ぼくはここからは、
学ぶことがありそうな気がするんですよ。

クリエイティブに関わるのは、
本来、やっぱりたのしいことですよね。

ここまで、人に隠してまで
たのしんでいる姿を見ることは、
参考になる気がしたんです。




さっき、立体に興味を持ちはじめた、
と言いましたよね。

このカミロボの前にも、実際にぼくは、
イラストレーターの久保くんと組んで、
「コペット」というものを作っていたんです。

ただ、広告をやっている人間ですし、
今までずっと受注生産で
やってきているものだから、
自分から生産するとなったら、
何をテーマにしたらいいか、よくわからなかった。

だから
「動物だったら、
 テーマがなくてもたくさん作れるや」
ってことをしてみたようなもんです。

実際にアイワの広告で具現化できて、
キャラクターライセンスに持っていってしまって、
というかたちで仕事をすることはできました。

ただ、そのときには、
「動物をいっぱい作ればいい」
としか思えなかったんです。
動物がたくさんいることで
生まれる世界観を考えなきゃいけないのに、
この動物たちをどう物語にしていけばいいかが、
ぜんぜん、わからなかった。

結局、物語化はできなかったんですね。

ところが、安居くんのこのカミロボは、
自分の空想の世界を具現化するためだけに
できたものだから、
「物語だらけ」
のところからできているわけです。
安居 (笑)ぼくの場合は、ただの、
自分の妄想を推し進める道具ですから。
青木 そこで「コペット」と「カミロボ」を
ライセンス契約できるキャラクターとして、
グッズを作ったり映像を作ったりしてみました。

そうすると、圧倒的に
「世界観のあるもの」のほうが、
誰が見てもリアクションが大きいんです。

キャラクターひとつひとつとしては、
コペットも、カミロボも、大差はない。

そこには、
好き嫌いの差ぐらいしかないんですけど、
数が集まったときには、
ストーリーのあるカミロボのほうが、
圧倒的に引きが強いということが、
実際に人に見てもらうと、よくわかりました。



まぁ、それだからといって、
カミロボのキャラクターライセンスを
持ってしまうところまでいっていいのか、
というところにはかなり疑問があるんだけど。

でも、「こういう人がいるよ」ということを
広めるのはおもしろいなと思うんです。

漫画家やアーティストは、
安居くんに近いことを、
小さい頃からやり続けてきた人なのかもしれない。

空想の世界を、自分の手を動かして作り続けた人。

だけど、安居くんがおもしろいのは、
それをほんとうに自分の秘めごととして
やってる感じがあるからなんです。

(明日に、つづきます!)

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