田中×糸井対談
担当・ふなわ
第12回 いくつかの見本について
- 田中
-
吉本さんのお話でしたっけね、お花見の時の。
- 糸井
-
うんうん。
- 田中
-
最初に来て、
- 糸井
-
午前中から。
- 田中
-
午前中から、吉本さんが、隆明さんがいろいろセッティングをしていると。
- 糸井
-
そう。自転車でブルーシートを背中に背負って、1冊そこで読む本を持って、あそこですよ、あそこの霊園ですよ、谷津じゃなくて、上野公園のこっち側の、お墓。田舎の人ばっかりだから。
- 田中
-
(笑)
- 糸井
-
俺は度忘れしてるんだけど、そこに1人で行って、場所取らなきゃいけないから、全部ブルーシートに石を置いて、で、自転車止めて、そこで、夜、人が集まるまで本読んでるんです。
- 田中
-
はぁ。
- 糸井
-
うーん‥‥、すごいねぇ。
- 田中
-
すごいですね。
- 糸井
-
たしか鍋のセットか持って行ったんじゃないかな。
- 田中
-
(笑)すごいですね。
- 糸井
-
で、欠点は、鍋が上手じゃなくて、こう、鍋の具材を、「さぁやろう」っていう時に火が点いて、グツグツ言い出すと、一遍に入れちゃう。
- 一同
-
(笑)
- 糸井
-
それで、「ちょっと、吉本さん、それはどうかと思いますよ」。
- 田中
-
(笑)
- 糸井
-
「あぁ、そうか、そうか」って言うんですよ。だいたいどうかと思われても、「そうか、そうか」っていうことで、すぐ謝っちゃうんです。
- 田中
-
すぐ謝る(笑)。
- 糸井
-
いや、そういう見本を見てたせいがあると思う。その、間違わない場所みたいなのを、僕はなんか吉本さんを見てたのがすごいでかいような気がしますね。
- 田中
-
そうだね、本当にすごい大事なことで、「偉そうくならない」、これは大阪弁ですけど、「偉そうくならない」って、すごい大事だなって。
- 糸井
-
そうですね。鶴瓶さんとかものすごく上手ですね。
- 田中
-
まったく偉そうくならないですね。
- 糸井
-
あれは、あれはもう鍛え抜かれた偉そうくならなさですね。
- 田中
-
あれはもう細心の注意を払わないと、やっぱり、そのね、マネージャーとか、テレビ局とか行ったら、もう下にも置かないじゃないですか、やっぱり。
- 糸井
-
たしかにねぇ。あの人はトップだなぁ。一緒に大阪の街歩いたことがあって、
- 田中
-
ええ、ええ。
- 糸井
-
「お好み焼き食いに行こう」って言って、で、鶴瓶さんだって気付きそうな人がいたら、攻めていくもんね(笑)。
- 田中
-
はぁ、自分から(笑)。「えぇ、鶴瓶や」って言いそうに、前に自分から行く?
- 糸井
-
あの男から、「こんばんはぁ」(笑)。
- 一同
-
(笑)
- 田中
-
はぁ。
- 糸井
-
すごいなぁ。で、それがまぁ、一番の、「攻撃は最大の防御や」って言うんだけど、さんまさんも結構近いみたいだからね。ああいういい見本が関西には多いね。
- 田中
-
本当に素晴らしい。鶴瓶さんに、僕はもうそんな面識があるということでもないんですけど、一時、鶴瓶さんが仕事の関わりで、遅刻した時にどうするかっていうのを教えてくれたんです。遅刻した時にね、30分とか遅れて、「その会議室から、『すいません』、これはあかん。みんなが、『何や遅れて』って、みんな怒る」と。「違う」と。「30分遅れたらどうするか。ドアを勢いよくパーンと開けて、『アウアウ、アウ、アウウウ、ウーッ』ってよだれをたらせば大丈夫だ」って。
- 一同
-
(笑)
- 田中
-
「ここに座って、『大丈夫ですか』って、『鶴瓶さん、心配ないですよ』、必ず言ってもらえる」っておっしゃってました。
- 一同
-
(笑)。
- 糸井
-
あぁ。
- 田中
-
これはすごくね、僕、勉強になって。
- 糸井
-
あぁ、してそうだ。
- 田中
-
絶対に、「すんまへん」って入ったらだめなんですって。バーン!「ウウ、ウンウン」、もうなんか、もう取り乱してしまって、わけがわからない自分っていうのを作れば大丈夫。
- 糸井
-
身体性だね。
- 田中
-
身体性(笑)。
- 糸井
-
『パペポTV』、
- 田中
-
はい、上岡さん(:上岡龍太郎)とずっとやってた。
- 糸井
-
あれがすごく人気が出て、で、大阪城ホールでやるってことになって、その時のポスターの仕事頼まれて。
- 田中
-
あぁ。
- 糸井
-
で、それは企画ごと僕がやってよかったんですよ。で、カメラマンが決まって、それは浅井慎平で、で、石岡瑛子さんじゃなくて、怜子さんの、妹さんのほう。で、まぁ、非常に晴れがましい舞台で、大勢の人の目の前で深夜放送やるわけで、というので、考えた企画が、モザイクを使おうと思って。
- 田中
-
はいはいはい。
- 糸井
-
で、上は完全な燕尾服で、下半身丸裸、ちんこ出てますっていう。
- 田中
-
(笑)
- 糸井
-
で、撮る時はもう出ててもらって、で、嫌だったら、まぁいろんな方法があるわけでと思って提案したら、2人ともOKで(笑)。
- 田中
-
(笑)
- 糸井
-
上岡さんも鶴瓶さんもOKで、
- 田中
-
そんなアホな(笑)。
- 糸井
-
上岡さんはやっぱり素晴らしいんですけど、やると決まったら、もう身じろぎもせずに、上燕尾服で、下ブラブラさせたまま、もう、なんていうの、蝋人形のように立つんです。で、鶴瓶さんは時々後ろを向くっていう(笑)。
- 田中
-
(笑)
- 糸井
-
で、ちょっと形状を調整する(笑)。
- 田中
-
(笑)こうやって?
- 糸井
-
揉んだりほぐしたりして。
- 田中
-
ちょっとでもいいように(笑)。そんなの(笑)。
- 糸井
-
いいように(笑)、モザイクかかるなりに、やっぱり大きさのこともあるし。
- 田中
-
(笑)
- 糸井
-
「あ、ちょっと待て」って言って、上岡さん、その間も、別に、「何しとるんや」とか言わずに、ずっと、こう待ってる。
- 田中
-
(笑)
- 糸井
-
で、この組み合わせは素晴らしいなぁと思って、で、2人のプロを見た思い出。その調整する鶴瓶さんもね、後で、ずっと経ってから、その話になって、すっごいうれしそうな顔して、「あれはなぁ、大きさやないんや。被ってるから」(笑)、「その調整なんだ」。
- 田中
-
調整ってね(笑)、まぁね、一瞬だけ見栄え良くするっていう。
- 糸井
-
微調整、微調整(笑)。そういう、それ、両方こうできる、その、なんていうんだろう、「身内」っていう感覚の持ち方の上手さ。
- 田中
-
はい。
- 糸井
-
で、それはだから、「身内」イコール、また「ご近所」なんで、あの人にとってみれば、またみんな「ご近所」で、やっぱり、ちょっと言ってましたけど、「本当に悪いのんと遊んでた」って言ってたからね。
- 田中
-
はぁ。
- 糸井
-
みんなが、「こういうろくでもない連中でしょう」っていうようなもんじゃない。だから、鶴瓶さんが喧嘩が強い説があってね、あれ、ちょっと本当なのかなぁみたいなことも。
- 田中
-
怒ったら怖いっていうね(笑)。
- 糸井
-
と思います。
- 田中
-
いやぁ。
- 糸井
-
ここで終わりにして。
- 永田
-
はい。
- 糸井
-
つまり、「どうするんですか」話は、公な所じゃなくて、もっといびれるような所で。