もくじ
第1回近すぎる嫁姑関係 2017-05-16-Tue
第2回お母さんを泣かせる 2017-05-16-Tue
第3回お母さんに謝りに行く 2017-05-16-Tue
第4回正直になろう 2017-05-16-Tue

コピーライターです。

中国人のお姑と、日本人の私。

中国人のお姑と、日本人の私。

担当・小森谷 友美

第4回 正直になろう

やってしまったことは、もう取り返しがつかない。
でも、また同じようなことが起きたら、
わたしは今度こそ、
正直に自分の気持ちを伝えようと決めている。

あの日の夜、わたしはお母さんに
こう言えばよかったんだ。

「きょうは体調が悪くて、
ぜんぜん部屋を片付けられませんでした。
ごめんなさい。
妊娠中のこともあって、
中華料理を食べられそうにないので、
ひとりで休んでもいいでしょうか?」

でも当時のわたしは、
「自分の気持ちをどう言ったら伝わるだろう?」
とは、1ミリも考えなかった。
そればかりか、お母さんに
「空気を読んでほしい」
なんて厚かましいことを思っていた。
ようは、自分の気持ちを伝えることを
怠けてしまったのだ。

その結果、必要以上に、
お母さんを傷つけることになってしまった。
わたし自身も、一年以上ずっと、
もやもやした気持ちを抱えることになった。

でも今回、お母さんと腹を割って話してみて
わかったことがある。

わたしが正直に話したら、
お母さんはきっと、それを受け入れてくれる。
どんなにみっともない姿を見せたりしても、
わたしのことを嫌いになったりは、しない気がする。

お母さんは今回、こんなことも話してくれた。

「わたしは、いまがいちばん幸せ。
チャンジは仕事もあって。
友美ちゃんに会えて。孫もいて。」

きっとこの先も、いろいろなひとと、
いろいろなことがあるだろう。
そのたびに、自分の正直な気持ちと向き合い、
「どうすれば伝わるのか」
を全力で考えていきたい。
少なくとも、「空気を読んでほしい」と
他力本願にするのだけはやめにしたい。

正直に話すのは、勇気がいるし、
すごく面倒くさい。リスクもともなう。
でも、だからこそ得られた
このすがすがしい気持ちを、
わたしは忘れたくない。

そんなことを教えてくれた、中国のお母さん。
こんどは、中華料理のつくりかたを
教えてもらおう。

いつか、わたしの息子が恋人を連れてきたら、
そのときはお母さんのように
たくさんの料理をつくってあげたいと思っている。

その日が、とても楽しみだ。

(おわります)