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第0回 2016-06-02-Thu

2016年4月から、株式会社コルクに正社員として入社。現在は『テンプリズム』を連載中の漫画家・曽田正人の担当編集者。オリーブとピクルスに勝る漬物はまだ見つけられていない。

俺の好きなもの
バイスサワー

担当・writer-123

みなさん、バイスサワーを
飲んだこと、ありますか?

「バイスサワーって一体なに?」と思った方。
まだまだ人生に楽しいことがございます。
これを読んで、バイスを飲みにいきましょう。

「お、最近バイスしてなかったな」と思った方。
これも何かの縁でございますね。
今晩、バイスを飲みにいきましょう。

兎にも角にもバイスサワー。
もっともっと、色んな人に
この珍奇なお酒を楽しんでほしい。
そんなわけで、バイスサワーの魅力を
語らせていただきます。

俺は、バイスサワーが好きだ。
だが悲しいことに、バイスサワーを知らない人は、多い。
今日はバイスサワーを紹介しようと思うが…
そもそも、バイスサワーってなんだと思う?

調べるのは簡単だ。でもちょっと待ってくれ。
少し考えてみてほしい。

レモンと炭酸水と焼酎で、
レモンサワー。
グレープフルーツと炭酸水と焼酎で、
グレープフルーツサワー。

なら、バイスサワーは?
バイスと焼酎で、バイスサワーだ。
そう、大事なのは、バイスbaisu)だ。

あえて、バイスが何かは、ここでは説明しない。
そもそも、「バイスとは何か」と気にしてたら、
バイスサワーなんて絶対に飲めやしない。
人によって、たどり着く答えは違う。それでいい。
バイスってのはそういうものだ。分かるだろ?

だが、バイスにまつわる確かなことは幾つかある。

バイスサワーを飲んでいる時間。
その一瞬、人生の辛苦は泡になって消え、
バイスと俺だけがそこに在る。
そんな時を、「バイスアワー」と呼ぶ。
ただ「バイスアワー」を味わうため、
俺はバイスサワーをオーダーする。
「バイスサワー1つで。」「かしこまりました。」
これだけだ。簡単だろ?

バイスサワーを1杯目から飲む人は、
「バイスガイ」って呼ばれている。
誰もが「バイスガイ」になれる訳じゃない。
1杯目から「バイスサワー」を頼めた人間だけだ。
君はどうだ?

だが、行き過ぎると「バイシスト」と呼ばれたりもする。
こんな文章を書いてる俺は、もしかしたら
「バイシスト」なのかもしれないな。(笑)
でも、バイスってのはそういうものだ。分かるか?

頼んだ後には、バイスサワーが来る。
バイス イズ カミング。
もう一度言おう、バイス イズ カミング。
バイスを製造しているコダマサワーさんの瓶と、
焼酎と氷が入ったジョッキが一緒に来るはずだ。
勿論、全て入った状態でジョッキで来る店も、ある。
そこは、君の運次第だ。
バイスっていうのはそういうものだ。
ちゃんとついてきているか?

バイスサワーは、色が綺麗だ。
煙と罵声が飛び交う酒場には、不釣り合いなピンク。
少女のように愛らしく、娼婦のように妖艶だ。
そういえば、どっかの小説家が、こう言っていた。
「いいバイスは女に似ている。
また、いい女はバイスに似ている。」

だが、そんな鮮やかなバイスを飲んだ記憶も、
いつかは色あせていってしまうだろう。
そして、バイスを頼むことを忘れて死んでいく。
そうならないように、俺は、
ツイッターで「バイスサワーbot」を作った。
バイスアイデアだろ?
これで、君が酒場でツイッターをみれば、
タイムラインに流れる、バイスサワーの音を聞くだろう。
そして、たちまち思い出す。
「そうだ、バイスサワー飲まなきゃ。」そうこなくちゃな。


だが、すべての酒場に
バイスサワーがあるわけじゃないんだ。
バイスサワーの在り処は、自分で探すしかない。

これを読んでから、君の目には
「バイスサワー」がよく映るはずだ。
いつか、必ず、君はバイスサワーと出会う。
今晩かもしれないし、最後の晩餐かもしれない。
そのときは、乾杯をしよう。
バイスっていうのはそういうものだ。