「ほぼ日」の就職論。

面接試験の「本当の」対策。

第5回 一緒に、働きたいかどうか

糸井 任天堂って、会社説明会を
社長の岩田さん自身がやってるんです。
河野 それは素晴らしいですね。
糸井 新卒の学生さんの前で、
岩田さんが2時間くらい話すんです。
みんな、本当に行ってよかったと
感動するらしいですね。
河野 それは、そうでしょうね‥‥。
糸井 そのくらい、他社との違いを
会社のほうから、
プレゼンテーションしてるわけです。
河野 グローバル企業になった今でも
そうし続けているというのは
本当に素晴らしいことだと思いますね。
糸井 会社って、そんなふうに
きちんとやっていれば、
きちんと褒めてもらえるんですね。

逆に、手を抜くと必ずバレると思う。
河野 バレますね。
糸井 そうですよね。
河野 そこは、学生に対する
企業側の礼儀なんですよ。

そこまで礼儀を尽くされたら、
応募した側も、
きちんと礼儀をわきまえて、
その会社で何をしたいのか
しっかり考えて行くだろうし、
そういう人材が
採用されていくことになるでしょうね。

そこに、いい循環が生まれる。

糸井 そういう「いい循環」の方向に
世のなかは向かってると思いますか?
河野 人材を紹介さし上げている
僕が言うのも変な話ですけど、
まず「顔の見えない大量採用」を
やり続けるというのは、
すべてを壊すと思います。
糸井 大量に採用しなきゃならないような
事業計画が、
まず前提としてあるわけですよね。
河野 そうですね。
糸井 企業の経営理念からして、そうなってる。
河野 でも、重要な分かれ道は
その企業が
人材を「コスト」とみているのか、
それとも「価値」とみているのか、
という点だと思います。

任天堂の岩田さんの場合は
人を「価値」とみているからこそ、
ご自身で会社説明会を
やっているんだと思うんです。
糸井 小さくても、そういう会社に
もっと学生が興味を感じるようになったら、
もっとおもしろくなるだろうなぁ。

河野 そうですね。
糸井 だから、企業側には、
学生さんに
他の会社よりも、自分の会社のほうが
こんなに魅力的なんだということを
わかってもらえるような
プレゼンテーションが必要になる。
河野 ええ。
ですから本当は
おもしろいと思えたなら
会社の規模の大小なんて
たいして関係ないはずなんですよ。
糸井 それは、いわゆるIR、
つまり株主に向けたのものじゃなく、
もっと「何をやってるのか」という部分で
見せていかなきゃダメなわけで。
河野 規模は大きくないけれども
自分の大切にしてきたことを
共有できる会社。

企業側も学生側も
お互いが、うまく出会えるように
やり方を変えていく必要があるでしょう。
糸井 逆に、これから社会に出て行く
人たちに関して言うと
ひとつのヒントになりそうなのは、
いつまでもおもしろいのって
ずっとフリーの感覚でやってきた人だぞ、
ということですね。
河野 それは‥‥。
糸井 やっぱりそういう人たちって、
ある種の危機感を
つねに持ってるし、
自由というもの意味を
わかっていたりするんですね。

そういう人って、話をしてると
歳をとっても
いつまでもおもしろいし、
いつまでも伸びていきますよね。
河野 なるほど。
糸井 だから会社員だったとしても
「擬似フリー」の意識でいられたら、
ずっと頭のなかが
くるくる回ってくんだと思うんです。
河野 ほう、ほう。
糸井 そして、
会社という組織のなかで、
そういう仕組みを
作れるようになっていくのが、
これからの時代ですよ。
河野 なるほど。

採用する側の意見として
学生さんに考えてほしいのは、
くりかえしになりますけど
本当に自分が大切にしてるものを
振り返ってみましたか、ということ。

これから面接に臨む学生さんたちには
何にドキドキしたり、
ワクワクしたりしたきたのか、
もう1回きちんと考えてほしいですね。
糸井 やっぱり、
人って人がいちばん好きですから。
河野 はい、人です。
結局、そうなんですよね。

この会社で、働きたいかどうか。
この人と一緒に、働きたいかどうか。
糸井 最後はやっぱり、そこなんでしょうね。

<終わります>
2007-04-12-THU
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