ザ・グレート・フリー 自由業、着地点は不明です。



第5回 たまにはやります、キャパオーバー。

── さきほどの質問のつづきで、
同じ方からもうひとつ‥‥
いま、さまざまな企業が
「社会貢献」「業界ナンバーワン」などの
経営理念をかかげています。
グレート・フリーのみなさんの経営理念は?
(ジファンク)
浜野 理念ですか。
それは「夢を与える」的なことですか?
── あ、いえあの(笑)。
天久 「子どもたちの未来、笑顔のために」(笑)。
なしです、僕は、理念ないです。
── 理念はない、と。
天久 うん。おそらく、
あると邪魔なんじゃないでしょうか。
理念は、誰かに聞かれたりして、
あとでついてくるんじゃないかな?
ま‥‥用意しといたほうが
いいかもしれないですね!
── いやいや(笑)。
みなさん、ほんとうのところは
理念のようなものを
お持ちなのかもしれないですけど、
理念を持つことより先に、
まずは、仕事が来ないと仕事にならない、
ということがあります。
理念は、逆に、持っててもしょうがない。
要求されたものに対して
自分が返せるものを返すことが基本にあるから、
フリーにはあんまり理念とかは、
ないような気がする。
天久 会社や集団だと
みんなを団結させるために
理念は必要だと思うんですけど、
個人の理念って、言い方を変えると
単なるワガママとも言えるんです。
うん。
「こだわり」になるのか。
板尾 ‥‥そうですよね。
そこをホンマに、わかりやすく言うとしたら、
「キャラクター」ですね。

ああ、そうですね、そうですね。
板尾 「こいつにやらせたらおもしろい」と、
仕事が来るわけですからね。
僕らにそういう大切なことがあるとしたら、
そこのことのような気がします。
天久 そうですね。
人から声をかけられるときは
理念のすばらしさじゃなくて、
「おまえオモロイから」って感じですからね。
板尾 「楽しそうやから」とか。
じゃあ、理念は「おもしろい」かも?

天久 「なるべくおもしろくする」(笑)。
浜野 その「おもしろそう」と思われる
キャラクターって、
仕事でどんどん変わっていくんですよ。
うん、うん。
浜野 僕は、まだ経験が
2年とか3年なんで
自分のスタンスやキャラが
どんどん変わっていくのがわかります。
天久 どんなふうに?
浜野 「ハマケンは
 モテるキャラじゃなくて
 童貞キャラでいこう!」
みたいなことをディレクターに言われて‥‥
そういうのはちょっと
違うんじゃないかなと思ったんです。
僕の理念が(笑)。

そうやって、向こうに
決められるときもあるんだよね。
「ここ押さえて」って感じで。
浜野 はい。で、そういうのに応えていったりして。
でも、違うんだったら
無理にやんなくてもいいと思う(笑)。
天久 自分の責任感でずっと
つづけられるんだったらいいけどね。
ハマケンは、本業はミュージシャンだから、
タレントとしてコメントを求められたりするのも
ほんとうは嫌だったりするのかな。
浜野 あ、全然大丈夫です。
「曲やるんじゃねえんだ」みたいに思ったり。
浜野 うーん、それも特に‥‥
── ジャンルを超えた
いろんなお仕事がやってくるなかで、
力配分は、みなさん、どうなさってるんですか?
うーんとね、
「ここで100出してもしょうがないだろ」
というときもあるし、それこそ
「120出さなくちゃいけない」局面もあります。
追い込みのあたりはほんとに
寝る間惜しんで、なんてこともあるんで、
それはほんとに、そのときによりますね。
天久 でもやっぱり、たまには
キャパを超えたものも引き受けないと
力になっていかないんじゃないかな。
僕、2年ぐらい前に
瀧さんからプロモーションビデオの
アニメの仕事を振られて。
── 電気グルーヴのPVを。
天久 それまでほとんどそういうことを
やったことなかったんですけど、
できるかどうかわかんないけど
「いちおうできます」と引き受けたら(笑)、
それはやんなきゃいけなくなって
けっこう勉強になりました。
そう。あれは1年ぐらい、
ずーっと絵を描いてた。
板尾 僕はそのPV見ましたけど、
あれは大変そうやと思いました。
途中で天久の頭に
(註:瀧さんのこと)を殺せば
もうこれは描かなくていい、
と、浮かんだという(笑)。

板尾 そうね、たまに
そういうのをやったほうがいいね。
自分の限界をわかったり超えたり、
思いもよらん感じで、できたりするから。
うん。着地点がわかんない仕事を引き受けると
おもしろいんです。
自分でも
「ここに着地したか!」ということになって。
板尾 「できるかなあ」と
最初に思ってたことが。
浜野 いまでもそういうのはあるんですか?
板尾 俺はけっこうあるかな。
俺はもともと着地を
わけのわからんとこに決めてしまうことが
多いんやろうけどね。
「やったことないけど、まあ、何とかなるやろ」
と思ってやって、
「あ、こうなるんや」
みたいなんは、いまでもやってるなあ。
浜野 なるほど。
そういう仕事が来たときに、
ほんとうに「依頼されてる」という気がしますね。
それは、やっぱり期待されてるわけですから。
板尾 うん、そうですよ。
浜野 僕にとってはもう
この座談会こそがキャパオーバーです(笑)。
いま自体がもう120%(笑)。



(明日につづきます!)

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2007-05-08-TUE

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