はじめまして、オリタです。
ひょんなことから、みなさんに
日本製のホラー作品を紹介することになりました。
たくさんの作品を観てはきましたが、
あくまでも個人的な趣味としてでしたので、
「Jホラーソムリエ」なんて呼ばれるのは
恐れ多い感じがしますが、
「ほぼ日」のスタッフの方から
「友だちにすすめるように」というふうに
リクエストされましたので
あれこれ悩まず、気軽にやっていこうと思います。
「こういうものがありますよ」という
きっかけのひとつにしていただければ幸いです。
短い期間ではありますが、どうぞよろしくお願いします。

さて、最初のテーマは
「『リング』が好きな私に、おすすめの作品は?」
とのことですね。

ご存じのように、『リング』(1998年)は
鈴木光司氏の原作を映画化し、
大ヒットしたホラー映画です。
特別ホラー映画に興味がない方でも、
テレビなどで『リング』のワンシーンは
見たことがあるのではないでしょうか。

古井戸からはい出てくる「貞子」が
Jホラーのアイコンとして有名になってしまいましたが、
『リング』はホラーの要素だけではなく、
ミステリー、人間ドラマ‥‥といった要素が
絶妙なバランスで組み合わされた作品でもあります。
そんな『リング』がお好きなあなたには、
こちらの作品をおすすめします。





『仄暗い水の底から』(2002年)
監督:中田秀夫
脚本:中村義洋・鈴木謙一
メディア:DVD
販売元:バップ
『リング』シリーズに続いて、
中田秀夫監督が鈴木光司氏の小説を映画化した作品です。
古いマンションを舞台にした、日本特有の
暗くて湿度のあるホラー演出はここでも健在ですが、
母子の愛情ドラマを軸にしているため、
グロテスクなシーンは控えめになっています。
家族やカップルで観ても楽しめるでしょう。
怖さ :★★★☆☆
母子愛:★★★★☆



『女優霊』(1996年)
監督:中田秀夫
脚本:高橋洋
メディア:VHS
販売元:バンダイビジュアル
『リング』より前に中田監督と
高橋洋氏(『リング』の脚本を担当)が組んだ
映画撮影スタジオを舞台にした作品です。
物語全体が禍々しい空気をかもし出している、
初期Jホラーを代表する傑作のひとつなのですが、
残念ながら未だDVD化されていません。
大きなレンタルビデオ屋さんであれば、
見つけるのはそれほど難しくないと思います。
怖さ:★★★★☆
愛憎:★★★★☆



『ラストシーン』(2002年)
監督:中田秀夫
脚本:中村義洋・鈴木謙一
メディア:DVD
販売元:パイオニアLDC
『女優霊』と同じく、映画製作現場を
舞台にしたファンタジー作品です。
中田監督の持つヒューマンな部分が
お好きな方におすすめします。
劇中劇である怪奇映画や突如起こる超常現象など、
ホラーファンにアピールするシーンも
少しではありますが含まれています。
怖さ :★☆☆☆☆
映画愛:★★★★★



『庭』(2004年)「怪談新耳袋-開けちゃだめ編-」より
監督:高橋洋
原作:木原浩勝・中山市朗
メディア:DVD
販売元:キング
脚本の高橋洋氏が監督を手がけた
掌編ドラマ(「怪談新耳袋」シリーズ)です。
氏の得意とする生理的恐怖演出が
(なんと)5分間に濃縮されていて、
見てはいけないものを見てしまったような
気持ちにさせる危険な作品です。
怖さ:★★★★★
禁断:★★★★☆



『霊ビデオ』(1997年)「学校の怪談f」より
監督:中田秀夫
脚本:小中千昭
メディア:VHS
販売元:ポニーキャニオン
『リング』と同時期に制作された
テレビドラマシリーズ「学校の怪談」の一篇です。
切ない思春期ドラマとショッキングな
ホラー演出がほどよくブレンドされ、
ただ怖いだけではない、充実した内容となっています。
アイテムとしてのビデオや独特のショッカーシーンなど、
『リング』で完成される手法がいくつか登場します。
未だDVD化されていないため、
気軽に見ることは困難なのですが、
機会があればぜひ見ていただきたい秀作です。
怖さ:★★★★☆
青春:★★★★☆



『リング』シリーズについて
鈴木光司氏の小説「リング」を
原作とした映画『リング』には、
数々の続編、リメイクが存在しています。
引き続き中田×高橋コンビが手がけた
『リング2』はオカルト指向、
鶴田法男監督による
『リング0〜バースデイ』は叙情的な残酷悲劇、
とそれぞれに違った魅力があります。
ハリウッドリメイクされた『THE RING』は
『リング』の舞台をそのままアメリカに翻訳したもので、
別バージョンとして楽しむことが出来ます。
ちなみに、この夏、
中田秀夫監督の最新作『怪談』が公開されます。

2007-08-03-FRI





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