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アーカイブ 2008/09/28
 
レシピその75
魚のトマトソース焼き 〜会計の名人〜


朝夕の空気は、もうすっかり秋ですが、
太陽が出ると、夏の終わりを引きずっていて、
長袖から半袖に着がえる日もあります。
季節の変わり目です。
少しずつ季節が変わって行くさまを楽しめるころです。

さて、アトリエの近くに小さなマーケットがあります。
個人店と違い、お昼休みも営業していますし、
ちょっとした買い物にはとても便利です。
この小さなマーケットには、会計の名人がいます。
会計の名人といっても、計算能力だけに
優れているわけではありません。

この小さなマーケットの会計の人たちは
回転椅子に座って仕事をしています。
名人である彼女は、少し低めの安定している声で、まず、
「ポイントカードをお持ちですか?」
「買物袋は何枚必要ですか?」
(スーパーの買物袋は有料ですので、
 このことは必ず聞かれます)
と、他の会計の人にも聞かれる
必要事項の質問をした後で、
品物のバーコードを機械に通しながら、
「シニョーラ、お元気ですか?」
「あら、なんか疲れてません?」
と、目と目をあわせながら、話しかけてくれます。
彼女がお客さんに話す内容は、
ひとりひとり、お客さんごとに違います。

そして、会計が全て終わると、
「今日も一日、よい日でありますように」とか、
「楽しい週末を過ごしてくださいね」と
ほほえみながら、挨拶してくれます。
みんなが我先に急ぎ、
待ち時間の長さに、いらだっている夕方でも、
彼女の会計にあたると、最後にはこちらもほほえんで、
「そちらこそ良い日を」という言葉が
自然に口から出ます。

彼女は年の頃は50代前半。
小柄で目立つ顔のつくりではなく、
派手さもなく、どちらかというと
街中にいたら見過ごしてしまうタイプの人です。

座って仕事をしている彼女が、
お客さんと視線を合わせるためには、
頭をあげなくてはいけません。
そして、会計を素早く的確にするためには
目線を下げなくてはいけません。
その動作をさりげなく行いながら、
慇懃無礼でもなく、なれなれしくもなく、
それぞれのお客さんに、ちょうどよいあんばいで、
気持ちをこめて話しかける‥‥
そんな彼女は、すばらしく光を放っています。
あたたかく、すがすがしい光です。

彼女が行っていることは、
サービスの肝心かなめなことではないかと思うのです。
自然とその小さなマーケットに足が向かい、
彼女を探して、そこに並んでしまいます。
それはきっと私だけではないと思います。

さて今回ご紹介するのは「魚のトマトソース焼き」です。
青空市で鮮魚店に並んでいたときに
人からすすめられた白身魚を使いました。
冷凍した魚を解凍したものですが、
とてもおいしくできました。
(いつもは生鱈を使っています)
ソースは煮込まないで、
トマトの新鮮な味で魚をいただきます。
すぐに出来上がります。
お忙しいときの一品になさってみてはいかがでしょうか。

魚のトマトソース焼き

■材料(3〜5人分)

白身魚:500g
熟しトマト:3個
黒オリーブ:適量
ニンニク:1かけら
オリーブオイル:ソース用大さじ3、魚を焼く用大さじ5
イタリアンパセリ:好みの分量
白ワイン、小麦粉、塩、オレガノ:適量



☆下準備
・オーブンを200度であたためておく。
・トマトは湯むきして細かく切る。
・オリーブは種を抜き、輪切りにする。
・イタリアンパセリと芯を取ったニンニクは、
 一緒にみじん切りする。
・魚は一口大に切る。





■作り方

(1)まず、トマトソースをつくります。
トマト、黒オリーブ、イタリアンパセリ、
ニンニク、オレガノ、塩に
オリーブオイル大さじ3を入れて
よく混ぜ合わせる。



(2)直火でもオーブンでも使える
耐熱性の高い入れ物に
オリーブオイル大さじ5を敷いて火にかける。
まな板に魚を並べ、
塩をぱらぱらふりかけてから小麦粉をふり、
裏返して、同様に塩と小麦粉をまぶす。



(3)耐熱性の高い入れ物があたたまったら、
塩をして小麦粉をまぶした魚を入れ、
強火で、表面に色がつく程度に、さっと焼く。



(4)裏側も同様に焼く。



(5)火は強火のままで、
魚が半分くらいまで浸るくらい白ワインを入れて、
アルコール分を飛ばす。



(6)用意しておいた(1)のトマトソースをのせる。



(7)200度にあたためておいたオーブンを
上火だけにして、
魚に火が通るまで5〜10分ほど、よく焼く。



出来上がりです。
アツアツのときはもちろんですが、
冷たくなってもおいしいです。


 
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