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アーカイブ 2007/12/09
 
レシピその55
豚肉のミルク煮
〜パトリチィアの鏡のこと〜


ちょっと前までは、
枯れ葉のかさかさという音を楽しんでいた
わんちゃんの朝の散歩も、
今ではキラキラの霜が奏でる音にかわりました。
ミラノも冬になって来ました。

さて、みなさんは贈り物を
贈るほうが好きですか?
それともいただくほうが好きですか?
「お返しを考えなくてはいけないので、
 いただき物はきらい」という
人の話を聞いたことがありますが
私は贈り物をいただくことが大好きです。
なぜなら、贈り物を見るたびに、贈り主や
贈られたときの情景を思い出すことができるから。
また、自分では買うことを思いつきもしなかった
贈り物をいただいたときは、新しい発見があります。

私が大事にしている贈り物の中に、
“パトリチィアの鏡”があります。
パトリッチィアは、
隣の家に住むバッバの長男アウグーストの彼女で、
高校の先生をしながら
ママのバール(喫茶店)を手伝っていました。

私が2人目の子を出産したときに、
彼女から贈られた出産祝いは、
黒のビロードの布にくるまれた
存在感のある重い大きめの手鏡で
シルバー枠のシンプルなデザインの物でした。
そこに添えられた
彼女からのメッセージには
「いつも忙しいあなたに。
 これからはもっと忙しくなると思いますが、
 時たまは自分の世界を持ってください。
 そして特に子どもを叱ってしまったときなどに
 そっとこの鏡をのぞいて
 自分の顔を見てください。
 その顔は子どもが見ているあなたの顔です。」

確かに子どもを叱った後に鏡をのぞくと、
鏡に映った顔は顔中の筋肉がこわばっていて
自分でも信じられない自分になっています。

子ども達が2桁の年齢になってからは、夜になると
「母と妻としてのスイッチをこれから切ります」
と宣言して、みんなが何をしていようが、
なんといわれようが自分の部屋に行き、ドアを閉めました。
こんな決断をさせてくれたのも、
“パトリチィアの鏡”のお陰です。

今では、子ども達が大きくなり、
自分の時間が持てるようになりましたが
主婦の1日はあいかわらず忙しいものです。
外出のない日は、朝、顔を洗った後は
鏡なんて1度も見ないで終わってしまう日もあります。
もっとも安楽地である家の中にいて、
自分を見つめることができない、
見つめようともしない‥‥
そのあまりの緊張感のなさに
危機を感じることがあります。
そんなときに、私が私でいるために
そっと引き出しから“パトリチィアの鏡”を出して
のぞきこみ、
自分の中の置き去りにしてしまった自分と向き合います。

さて今回のメニューは、
前回と同じサブリーナから教えていただいた
豚肉のミルク煮です。
いろいろな作り方がありますが、
忙しい彼女の作り方はとっても簡単。
どうぞ試してくださいね。

豚肉のミルク煮


■材料(5人分)

豚ロースかたまり肉:600g
ミルク:600cc
粗塩:大さじ1杯(粗塩がない場合は普通の塩で)
コショウ・オリーブオイル・ローズマリー・サルビア:適量
コーンスターチ:少々(片栗粉でも可)


※写真以外に、コーンスターチも。


■作り方

(1)粗塩とローズマリー、サルビアを一緒に細かくする。
普通の塩を使う場合は、
ローズマリーとサルビアを細かくしてから塩に混ぜる。



(2)肉全体にもみ込むように混ぜる。
数時間置く(一晩置いておくのがよいです)。



(3)フライパンにオリーブオイルを入れて、
オリーブオイルが熱したところに肉を入れ、
表面全体に軽く焼き目をつける。



(4)(3)にミルクを入れる。



(5)(4)が煮たってきたら弱火にしてフタをして、
時々、肉をころがしながら45分〜1時間くらい煮る。



(6)肉だけを取り出して、アルミホイルで包む。
このことで、温度をできるだけ逃がさず、
肉の乾燥を防ぎます。



(7)煮汁を目の細かいザルなどでこす。



(8)コンスターチ(もしくは片栗粉)で
とろみをつける。



(9)(6)でアルミホイルに包んだ肉を取り出し、
人数分に切り、皿に盛り、(8)の煮汁をかける。



出来上がりです。
ポロねぎのオリーブオイル蒸し焼き、
マッシュポテト、
キャベツなどのオリーブオイル炒めなどを
付け合わせにしてもいいですね。

この日の我が家の夕飯は
プリモ・ピアット(メイン前の料理)に
ミネストリーナ()、
セコンド・ピアット(メインディッシュ)を
豚肉のミルク煮にいたしました。

Buon Appetito!

ミネストリーナは、野菜がたっぷり入った
 ミネストローネとは違い、
 ブロードにパスタを入れただけの軽いスープです。

 
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