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アーカイブ 2007/08/07
 
レシピその47
サルティン・ボッカ バッバ風
〜マラソンおじさん〜


知り合いでもないのに
その人を見ると家族の一員かとも思ってしまう。
そんなことってないですか?
私たち夫婦にはそんなおじさんがいます。
時間帯は決っていないのですが毎日のように見かけます。
名づけて「マラソンおじさん」。

我が家のすぐ隣にある公園には、
犬の散歩をする人やジョギングする人、
競歩のように歩く人、太極拳をする人など
いろいろいます。
そんな中、マラソンおじさんは、
グループで走ることなく、いつもひとり。
そしてこの公園にあきたらず、
この地区中を走っています。
無理をせず安定した走り方で、
マラソンを継続した結果できた身体つき、
白髪と、はだかで走るときに見える真っ白な胸毛。
黙々と走るその姿が、
私たちに安堵感と親しみを与えてくれます。

ある日、私はマラソンおじさんに話しかけてみたい
という思いにかき立てられました。
マラソンおじさんの走っているリズムを
止めてしまってもよいだろうか‥‥なんて、
一瞬のとまどいはあったものの、
勇気を持って話しかけました。

マラソンおじさんが止まった姿をはじめて見た私は、
自分の好奇心ゆえに、
リズムを崩したことをお詫びしようとしたところ、
息切れすることもない、
なんとも温和な話し方で、
「日本人と働いていた」と教えてくれ、
とても親日家でした。



マラソンおじさんの名前はマルクさん68歳。
イタリア人を母に、ドイツ人を父に持ち、
12年前からジョギングを始め、
定年になってからは
毎日7〜8時間走っているそうです。
朝食は軽くして、昼食は抜きで走るそうです。
走り始めてから、
自分の身体がどんどんと健康になっていくことが
実感できるものだから、
「もう走らずにはいられない」そうです。
もちろん、バカンスに行った先でも走るそうです。
公式マラソンにも出た経験があるとのことでした。

「私は自分の大好きなモーツァルトや
 ショパンの音楽と一緒に走っているんだよ」
というので、
どこになにを付けているのかしら? と思ったら、
彼はすかさず
「ここの中にあるんだよ」と自分の頭を指さしました。
継続は力なり。
生きて行く上での「もと」になるような
大切なことを実行している人。
そんな気持ちが、私たちをひきつけ、
マラソンおじさんに
家族のような親しみを感じさせるのでしょうか。
私の憧れでもあります。

さて、今回ご紹介する料理は
なんたって、なにをすることもはやい、
友人のベアトリーチェから伝授してもらったものです。
調理時間は短くとも栄養価満点で、
暑い夏、とても助かります。
どうぞお試しくださいね。

サルティン・ボッカ バッバ風


■材料(3〜5人)

仔牛肉:薄切り5枚
生ハム:仔牛肉にのせる枚数分
ヤクヨウサルビア():10枚
オリーブオイル・塩・コショウ・白ワイン:適量
楊枝
※セイヨウサルビア、コモンセージ、
 セージとも呼ばれます。





■作り方

(1)仔牛の薄切りの脂肪を取り除き、
サランラップの間に挟み、肉をそっと叩く。



(2)(1)を半分の大きさに切り、
その上に塩・コショウをして、
生ハムをのせ、生ハムを挟むように
ヤクヨウサルビアを1枚ずつ、楊枝でとめる。
(塩味は生ハムからも出るので
 塩の量を加減してください)



(3)オリーブオイル少々を敷いたフライパンで
まず、ヤクヨウサルビアの葉の側を数分焼く。



(4)肉を返し、すぐに白ワインを加え、
アルコールを飛ばして、肉を取り出す。
その後、肉ソースを少し煮詰める。



出来上がりです。



ソースをたっぷりとかけて召し上がってくださいね。
ヤクヨウサルビアの香りと生ハムで絶妙な味わいです。
食べるときに、楊枝を取るのをお忘れなく。

最後にミラノの暑さをお伝えします。
我が家のわんちゃんと里帰りの兄弟です。
散歩の帰りはエレベーターは使わず、
4階の我が家まで階段を使います。
みんなで舌の長さ比べ。お母さんがダントツです。

 
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