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ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その8 晴耕雨読第一期総括

このコーナーのタイトルはdarlingの名づけにより、
「ハブの棒使い。――やればできるか、晴耕雨読。」
となっております。
こちら(奄美)に越してくる前に、
南の島で晴耕雨読家を目指しますなんて
大見得を切ったのがサブタイトルの由来です。

さて、奄美はすでに梅雨明けです。
梅雨の間に十分に「雨読」ができたのかどうか、
(会社員時代に必ずやれと言われた)総括をしてみます。

結論から申し上げると、さっぱり読書は進みませんでした。
会社員のころは通勤電車の中や仕事の空き時間など、
寸暇を惜しむように本を開いていた自分が別人のようです。
ヒマはいくらでもあるのですが、
ついつい山や海に何か探しに出かけてしまいます。
「書を捨てよ、フィールドへ出よう」生活にはまってます。
それでも、いくつか印象に残った本を紹介しておきます。

「奄美、もっと知りたい」神谷裕司著(南方新社)
著者は朝日新聞社奄美支局の前任者です。
取材を通して知り合った地元民の生の情報は信憑性が高く、
著者自身の思いや意見も反映され、とても参考になります。
通り一遍でない奄美を知るための好適なガイド本でしょう。

「鹿児島県のことば」木部暢子編(明治書院)
わたしは福岡県の出身ですが、
同じ九州弁といっても薩摩弁はなかなかに難解です。
その薩摩の人たちがお手上げなのが島口(奄美方言)です。
琉球王朝に征服されたり、薩摩藩に直轄統治されたりした
複雑な歴史を感じさせる本土とも沖縄とも異なる言葉です。
この本を読めば薩摩弁や島口の文法のことがわかります。
が、それで使えるかというと…高校英語教育と同じです。

「荘子」金谷治訳(岩波文庫・全4冊)
わたしの座右の書のひとつです。
今回また内篇を読み直しました。
―吾ガ生ヤ涯(カギリ)アリ、シカシテ知ヤ涯ナシ。
 涯アルヲ以ツテ涯ナキニ随(シタガ)ウ、危ウキノミ。
(有限の身の人間が無限の知を求めるとはなんと危うい!)
深いですねえ。コンビニ哲学みたいですねえ。

「タラント氏の事件簿」C・D・キング著中村有希訳(新樹社)
去年までは年間100冊ペースで読んでいたミステリーも
この2ヶ月で読破したのはわずかに5冊。とほほ。
この短編集はよほどすれっからしのファンか
よほどの初心者ならば楽しめます。
普通の読者にはこの面白さ、わかりづらいだろうなあ。

てなところが、まあまあ印象に残っている本でした。
いよいよ夏空が広がってきました。
となれば「晴耕」の季節到来ですが、この炎天下、
2時間ほど草むしりをしただけで死にそうになりました。
まず来春までは無理でしょう。

書かない詩人ってかっこいいけど、
晴耕雨読しない晴耕雨読家っていったい…?

2000-06-30-FRI
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