HABU
ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その6 海の生き物あれこれ

晴れた日に海岸線を走ると、海がきれいです。
ありふれた表現ですが、絵葉書のようです。
浜の手前の集落ではもちろん人々が生活しているのですが、
そんな生活臭さを感じさせない、
現実離れした能天気に美しい光景が続くのです。

潜ったことはないので、伝聞調になってしまいますが、
奄美は日本でも有数のサンゴ礁が発達した海だそうです。
スクーバなんかできると、退屈することはないでしょうね。

でも潜れなくても、サンゴ礁とそこに住む生き物たちを
のぞき見することはできます。今回はその話。

大潮の日の干潮には、海が遠くまでひいて
広々としたリーフが海面から顔を出します。
そうすると子供も大人も関係なしに、浜に降りていきます。
リーフに取り残されたタコや貝を捕まえたり、
リーフの割れ目に逃げ込んだ魚を釣りに行くのです。
楽しそうなので、わたしも海岸に降りてみました。

砂浜近くのサンゴは半分は死んでしまっているようですが、
汀線の突端まで行くと、十分きれいです。
枝状のサンゴ、卓状のサンゴ、脳状のサンゴ。
紅いサンゴ、蒼いサンゴ、黄色いサンゴ。
サンゴ礁の間を小魚が泳いでいます。
橙色、緑色、白、紫。なにしろカラフルです。

近くで釣り糸を垂れていたお兄ちゃんが竿を上げました。
20cmくらいのチヌがかかっています。
リーフの間を見てみると色鮮やかな大物のブダイもいます。
海底を箱めがねでのぞいていたおじさんが
先っぽに鉤のついた棒竿でなにやらつついています。
こちらはタコがひっかかったようです。
拍子抜けするほど簡単に晩御飯のおかずがそろいます。
わたしも壷焼きにするサザエを3個ゲットしました。

食べるのには向かなさそうな生き物もたくさんいます。
パイプウニ…太いトゲが加工されて風鈴などになって
 よく沖縄などの土産屋に並んでいる大型のウニです。
アオヒトデ…ゴムで作ったおもちゃにしか見えない
 輻長が15cmはあるでっかくて青々としたヒトデです。
オオイカリナマコ…長いものは2mにもなるという
 一見ウミヘビをおもわせる気持ちの悪いナマコです。

実際のウミヘビもくねくね体をくねらせて泳いでいます。
彼らの毒は陸上のいかなるヘビの毒よりも強力、
その強さはハブの比じゃありませんが、
よほど脅かさない限り、咬まれることはないようです。
毒といえばアンボイナ。別名ハブ貝。
8cmくらいの円筒状の巻貝ですが、
歯舌という毒矢のような器官で魚を捕食するのですが、
人がさされると命をおとすことも少なくありません。
タコにも毒をもったヤツがいます。
コバルト色の斑紋をもつ美しいヒョウモンダコ。
これも咬まれると中毒死する可能性があります。

海は恵豊かな反面、危険でもあると思いながら
浜に引き上げる途中、スイジガイを見つけました。
ニッと横に広げた唇の回りに6本のとげをはやした形。
6本のとげを「水」の字に見立てて、水字貝です。
この貝、奄美では玄関の軒先に吊るし魔除けにします。
わたしも拾って帰り、さっそく玄関先に吊るしました。

ところが、近所の家に下がっている貝と比べると
どこか様子が違います。なんかバランスが悪い。
よくよく見てみると、

「しまった、上下さかさまだ!」

魔を寄せてしまったかも…。

2000-06-17-SAT
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