石川くん。
枡野浩一による啄木の「マスノ短歌」化。

[だい]といふ字を百あまり
砂に書き
死ぬことをやめて帰り来[きた]れり
 (石川啄木『一握の砂』より)
 ※[ ]の中はふりがなです。


第10回 石川くんと砂


石川くん、早まっちゃ駄目だ!
   *
どんなに駄目な男でも、
死んでいるよりは生きているほうがいい!
とは限らないかもしれないけど……。
君が死んだら借金はどうなるの?
妻や子やママは?
君にはまだなすべき仕事があるんじゃなかったのか?
君みたいな男だって、
いてもいいし、いてほしいと、おもう私だ。
   *
「大」という字を百回以上も書くのはなぜ??
トイレが混んでたの? 便秘?
書き取りのテストでまちがえたの?
好きな男の名前が大ちゃんなの?
犬と書いたつもりだったの?
早くつっこんでくれないと終われないよ?
砂に書くのはラブレターでしょう?
   *
ああ、
やっと笑ってくれたね。
おでこちゃん、
君は泣いている顔より、笑った顔のほうが、超可愛いよ。
   *
ほら、涙をふいて、また来週ね。
いつまでも、ぐずぐずカニとたわむれてないで!!

枡野浩一

http://talk.to/mass-no

2000-06-03-SUN

BACK
戻る