堺屋太一さん、
どうしましょう?

経済企画庁に出張しての鼠穴対談

その1 「経済活動ではなく、文化活動なんです」


まず最初に、先日はインパクITテスト募集に、
たくさんのメールを、どうもありがとうございました。
早速、具体的にとても役に立っています。
いずれ「インパク」のプレサイトで、問題や問題の行方が、
記事になると思いますが、ほんとに助かりました。
ありがとう!
で、ちなみに、「インパク」のサイトは、
11月1日からプレサイトとしてオープンしました。
http://www.inpaku.go.jp/
このあたりから、もうじょじょにぼくは関わっています。
ちなみにアートディレクターは、「ほぼ日」のロゴデザインの
青木克憲さんです。あいかわらず、かっこいいっしょ?

さて、10月25日に、堺屋太一さんに会ってきました。
編集長と大臣という関係というよりは、
「ほぼ日」の取材として、時間をもらって話してきました。

はじまった早々、堺屋さんの側から、
「ほぼ日」のたいそうな人気の秘訣について
逆取材ってやつをされたりして、あらま、でした。
ぼくもちょっと自慢気に、語ったりして、
それから本番はスタートしました。

         
糸井 いよいよ、動き出して、
期待も不安も高まるところですけど、
今の堺屋さんのお気持ちとしては、 どんなものですか?
堺屋 あの、だいたい
イベントをやると、波がありまして、
最初は子どものような夢ではじまって、
ああもしようこうもしよう、ここも使おうという、
まあ、私はそこを「稚夢(ちむ)」と呼んでいますが、
それがあるところにいくと、情熱が湧くんです。
鬼のような気迫で迫ってくる。
だから「稚夢」のあとは「鬼迫」。

ところが、情熱だけでもできない。
技術の問題、お金の問題、人間関係など、
難しい話が続出する。
そこで、人の才能が必要なんですよ。「人才」。
そして最後はやっぱり、「義務感」。
仏の心ですよね。
イベントには、嫌なことがいっぱいある。
規則にふれる、トラブルが起こる、
各部門の対立、人間同士、組織同士の衝突、
そんなことがいっぱい出てくる。
けれども、それを何とか辛抱してやっていく。
これが、「義務感」です。

そういう、夢がおこり情熱が湧き、
さまざまな手練を使い、
それからがっくりして人を諦め許し、
それからまた、夢がおこってくる・・・
そういう波があるんですね。
それが、最初は波が大きいんですが、
だんだんと細かくなってきて、しまいになると、
一週間ごとに、夢が膨らんでは
がっかりするようになって、
それが今度は3日ごとになって、
ついには今日よくて明日、
朝よくて夕方がっくり、
というようになっていくんですね。

今の中で言うと、去年の11月から
インパクを作ることを考えはじめて、
まもなく一年なんですけど、一番
情熱が燃えて、子どもの夢がひろがったのが、
今年度のはじめですね。4月頃です。
それで、一番「止まった」と感じたのが6、7月。
こりゃだめかなあという気がしました。
最近は、もうひとつの波が上がって下がったあとに、
3つ目の波が上がってきているところですね。
糸井 ああ、なんかリアリティがありますね。
堺屋 3つ目の波が上がっているところで、
よし、このまま、この調子で行けば、
かなりいい線に行くんじゃないか、
という感じです。
糸井 リズムが出てきた、という感じはあります。
堺屋 リズムが出てきたのと、インターネットで
行事を開くという概念が、伝わるようになってきた。
はじめは、インターネットの行事ということ自体が、
なかなかご理解いただけなかったですから・・・。
まあ、これが非常に速いスピードで、
半年くらいでご理解いただけるようになってきたから、
そこはいいと思います。
糸井 IT革命という言葉が一人歩きしていて、
何かわからないけど景気と結びつけたがる
話題ばかりが先行していますから、
何かこう、それがうまくいったら
景気がよくなるし、それが下手をしたら
景気がまずくなるというような
短絡的な発想で語られているところで。
逆に、とてもやりづらい面もありますよね?
堺屋 景気と結びつけられるというのは、短絡的ですね。
私が15年前に書いた「知価革命」で予想したことが
今「IT革命」として実現している。
お陰で知価社会(knowledge based society)は、
世界共通概念になりました。
インパクは、そんな中です。

文化運動ではなしに、
経済活動だと思われているからなんですね。
インパクというのは、文化運動なんですよ。
だけど、現実的には、
経済活動だとかPRだと見られていまして。
糸井 ちょっと悔しいですよね。
インパクの「パビリオン」を設営なさる人たちが
集まる会議に、ぼくは二度ほど
参加させていただいたんですけど、
あ、においがわかってきたな、と思ったんです。
「踊るアホウに見るアホウ」じゃないけど、
踊るアホウの力を、来年にぜんぶ引き出せたら、
これはすごいおもしろいことになるぞと思います。

それと同時に、記者会見では、これは
記者ですから、伝える側の方たちですよね、
その方たちのほうは、かなり冷たかったです。
これがもっと足がそろってくれないと、
踊っている人が馬鹿みたいに見えてしまう・・・
そこのところの広報をどうするかが問題だと思います。

(つづく)

2000-11-01-WED

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