ほぼ日の芋煮会。
 
第2回 飯島奈美さんの「塩味の芋煮」
飯島 うわぁ、りっぱなお肉!


── 明治34年に創業された山形牛の名店、
「佐五郎」さんから取り寄せました。
飯島 すごーい、ゴージャスなお肉ですね。
── 関東出身のチン中村さんをのぞく
他の銀杏BOYZさんたち(山形県出身)も
あちらで、びっくり声をあげていました。
飯島 じゃ、有名なお肉屋さんなんですね。
── なにか、江川卓さんもいらっしゃるとかで。
細川たかしさんとか。
飯島 それじゃあ、さっそく、いいですか?
── おねがいします!
飯島 まず、他の具材を下ごしらえするまえに
お肉に塩をふって下味をつけておきます。


── なるほど。

ちなみに、いつもの「LIFE」より
ざっくりした感じでおとどけしておりますが、
この連載のなかで
分量など正確な「塩味」レシピを公開いたしますので、
読者のみなさん、どうぞご安心ください。
飯島 この間に「里芋」をやっちゃいましょう。
── これがなくては、はじまりません。
飯島 皮をむいて、ひとくちサイズに切ります。
はい、こんな感じで。




── すでに美味しそうです!
飯島 つづいて、長ネギ。


── 斜めに切って行くんですね。分量は‥‥。
飯島 4〜5人ぶんだったら、ネギ1本なんですが
今日は10人以上いるので、たくさん切りますね。

トントントントン‥‥。

‥‥すごい量。こんなに食べきれるかな(笑)。


── 大根やきのこ類など、他の食材は、
あらかじめ
下ごしらえをしてきてくださったとのことで。

それも銀杏BOYZさんのぶんまで‥‥
ありがとうございます。
飯島 いえいえ(笑)。
── まず大根。


飯島 はい。1cm厚の「いちょう切り」にしましょう。
── まいたけ。


飯島 石づきを取って、小房にわけます。
── しいたけ。


飯島 まず、石づきを取って、
このように「かさ」をスライスしましょう。

石づきのほうは
土のついた部分のみを切り捨てて、
のこりを手で割きます。
── こんにゃく。


飯島 これは、スプーンでひとくち大にちぎってます。
「あく抜き」を忘れずにやっておきましょう。

そしてお次は‥‥。
── はい。
飯島 「薪」。


── ‥‥いやいや、飯島さん。

ふだんの「LIFE」ではお目にかかれないような
ポーズをありがとうございます(笑)。
飯島 そろそろ、かまどに火を入れようかと思って(笑)。


── あ、そうしましょう。そうしましょう。
うまくいくかな‥‥。

(少し間)

お、火がつきました。わー、あったかい。
飯島 あったかいですね‥‥。
声 ‥‥ジャーン! ジャーン!
── おかしな人が来ましたね。
声 ジャーン! ジャーン!
飯島 来ましたね(笑)。
音 ガン! ガン! ガン!
ガン! ガン! ガン!
── うるさいですね。
声 ジャーン! ジャーン! ジャーン!
飯島 うるさいです(笑)。
── うちの糸井重里ですね。


糸井 飯島さん、ガンバレー!
銀杏さん、ガンバレー!

ガン! ガン! ガン!
── うるさい‥‥。
飯島 うるさい‥‥(笑)。
── 飯島さんのアシスタントさんが
ビクっと振り返ってました。

たいへん申しわけございません。
飯島 大丈夫です(笑)。
── あれ、ナベのフタですよ。
あはははは。すみません。
飯島 そろそろ火も安定してきましたね。
── じゃ、スープというか、汁ですか。
飯島 お酒とお水を合わせます。

4〜5人分の場合でしたら、
お酒150ccにたいして水300ccです。


── はい。
飯島 そしたら、お肉を入れちゃいます!


── おお、山形牛の名店「佐五郎」さんのお肉、
入っちゃいましたー!
飯島 ここで、ひと煮立ちさせます。
── じゃあ、しばらく「待ち」ですね。

あ、糸井とみうらさんが、こっちに来ましたよ。


糸井 ‥‥それにしても、みうら、よく来たね。
みうら 来ますよ。糸井さんから携帯に直電ですよ?
本当にありがとうございます。
糸井 いや、みうらが日本にいるかもわからずに
電話しちゃったんだけど。
みうら いますいます、日本。

むしろ山形にいる可能性ありましたよ。
即身仏ブームで何回も行ってますから。
糸井 あ、そうなんだ。
みうら 山形駅前に芋煮のオブジェがあるんですよ。
何だったらそこで待ちあわせできましたよ。
糸井 へぇ。
みうら 芋煮オブジェの中で待ちあわせですよ。
糸井 すごいね。
みうら でも、即身仏の中でもとくに有名な「鉄門海上人」は
遊女の誘いを断って、
己れの金の玉を、自分の力で引きちぎって投げたという
伝説が残ってますね。
糸井 豪傑じゃないか。
みうら 袋のほうのミイラもあるんですけどね、
そんなの、やりますか? 自分で。


糸井 オレはしない。
みうら オレもしないですね。
糸井 いや、でも、わからない。
その場になってみたら。
みうら その場ってどんな場ですか。
糸井 その場になってみたら‥‥。

でも、少なくとも、この煙たくて日陰の場所に
わざわざいる必要はないな。
みうら そうですね。
糸井 動こう。
みうら どこか、あったかいところに。


── ‥‥よくわからない話をして、行ってしまいました。
飯島 じゃ、煮立ってきたので、灰汁(あく)を取りましょう。
── はい。 気を取り直して。
飯島 で、灰汁を取り終えたら、
お水を足して、だし昆布を入れ‥‥。


── はーい、だし昆布、入りました。
飯島 もういちど沸騰したら、灰汁をさらに取り、
いったん、お肉を出しちゃいましょうか。

ボールなどに移して、
乾かないよう、ラップをしておきます。




── 今度は、その他の具を煮込んでいくんですね。
飯島 はい、ここからはもう、パッパッといきます。

下ごしらえをしておいた
里芋、大根、まいたけ、しいたけ、こんにゃく。
── 入りましたー。


飯島 で、ここで、あとひとつ、とっておきのものを。
── とっておき。
飯島 昨日、たまたま
山形の名イタリアン「アル・ケッチャーノ」の銀座店で
お食事したんですけど、
そのとき、
奥田政行シェフに、アイディアをもらったんですよ。
── ほー‥‥。
飯島 それがこれ‥‥鷹の爪です。


── へぇ、赤唐辛子を入れるんですね!
飯島 「塩味」って「さっぱりしている」から
「身体があったまる〜」って感じを
どうやって出そうかな、と思っていたんです。

一味唐がらしかなぁと思っていたんですけど、
奥田シェフに話したら
「芋煮そのものに鷹の爪を加えたら?」って。
── なるほど!


飯島 これで「さっぱりだけど、あったまる」芋煮に
なるんじゃないかなぁ。
── おおー、楽しみです!
飯島 それじゃあ、ここでフタをして、
野菜が柔らかくなるまで中火で煮込みましょう。
── じゃ、ちょっと待ちですね。
飯島 はい。‥‥あ、梅佳代さんだ。
うめ こんにちはー。はじめまして。


飯島 はじめまして、こんにちは。


うめ お芋を食べにきました。
飯島 あはははは。梅佳代さん、ご出身は?
うめ 石川県です。
飯島 石川県の‥‥。
うめ 金沢。能登。
飯島 わたし、このあいだね、
ロケで、輪島のほうにある棚田に行って、
おにぎりつくったんですよ。
うめ へぇー。
飯島 すっごく、おいしかったですよ。
うめ そうなんや。
飯島 市場に行くと、貝とかが茹でてあって。


うめ 朝市? わたしまだ行ったときなくて。
飯島 えー、そうなの?
うめ 住んどったからかな?
飯島 すっごく、おいしかった。輪島の朝市。
── 北陸って、食材がすばらしいですよね。
飯島 富山湾のホタルイカとか‥‥。
うめ へぇ、そうなんや。
飯島 うん、今度お帰りになったら、ぜひ。
うめ へぇ、わかりました。(とつぜん横を向き)パシャリ。
糸井 わっ、梅佳代だ!
<つづきます!>
その2
愛媛の「芋炊き」は夜にやる。


これが愛媛の「芋炊き」だ! イラスト:和田ラヂヲ

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「え? 空にお月さんが出てるのはなぜかって?
 そりゃ当たり前じゃないですか。
 愛媛の「芋炊き」は、夜やるんです。
 季節は9月ですから、
 中秋の名月を愛でながら芋を味わうんですよ。
 あんまり月、見てないけどな、みんな。
 何? その提灯は何かって?
 業者が仕切ってるんです。スペースを。
 むしろを敷いたりとかして。
 で、鍋から具材から、ぜんぶ用意してるんです。
 業者が。だから手ブラでオッケーなんです。

 え? その業者さんは、
 芋炊きのシーズン以外は、何をしているのかって?
 それは業者さんに問い合わせないと。

 ちなみにですけどね‥‥ぼくらが「お花見」と言えば
 だいたい「焼肉」なんですよ。
 東京じゃ、やんないんでしょ? 花見で焼肉。
 こっちのほうじゃ、桜の下で肉を焼くんです。七輪で。
 桜にとっては、いい迷惑ですけどね。
 それも、はじめはふつうに肉を焼いてるんだけど、
 宴もたけなわになるにつれ、
 どんどん、ちがうものが焼かれはじめるんですよ。
 自由な空間ですよ」


和田ラヂヲ氏提供 花見のひとコマ1


和田ラヂヲ氏提供 花見のひとコマ2

 
2010-03-15-MON
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