イベント「活きる場所のつくりかた」より
友森玲子さんのおはなし
捨てられる動物のことを知ったから
未来の「はたらきかた」はいったい
どうなっていくんだろう?
いろんな生きかたをしている先輩に聞いてみよう。
そんなテーマで行ったイベント
「活きる場所のつくりかた」には、
7組の方々が登壇しました。
そのおはなしの内容を、
読みもののコンテンツにしてお届けいたします。
今日は友森玲子さんの講演をお伝えします。
(友森さんの内容は全3回です)
友森玲子さんのプロフィール
第1回
余暇で好きなことをしよう。

これは、私たちが経営している
ミグノンプランの建物です。3階建てです。
明治神宮の北参道の近くにあります。


1階は犬の美容室とペットホテル、
グッズショップです。

保護動物も同じフロアにいるので、猫のケージや
年をとった犬が徘徊できる「老犬ウォーク」のような
スペースがあったりします。

2階は動物病院。
外来の患者も診ているのですが、
保護動物で手術が必要な子が多いので、
2階の病院で治療や手術をします。

3階がメインの保護施設です。
犬のための部屋を7つ、木でつくりました。
幅約90センチ、奥行き約180センチの、
ふつうの犬のケージよりも広めの部屋です。
窓際の日あたりのいいところには、
猫のケージもあります。

ミグノンにいる動物は
ほとんどが東京都の動物愛護相談センターから
受け入れをしたものです。
町なかで放浪していたところを保護・収容したり、
飼い主が飼えなくなったりして
持ち込まれた動物です。
よく「殺処分」という言葉を聞きますが、
そのように保護されたり持ち込まれた動物のうち、
保護期間がすぎたものが処分対象となります。

そういった動物は
税金を使って致死処分されています。
いちばんのピークが昭和58年でした。

約56,000と、すごい数が処分されていました。
平成24年にはそれが2,404頭まで減少しています。
このあと最新のデータで、25年度が1,441頭。
約1年で1,000頭も減っています。

保護動物の数も、
9年前の平成19年度に8,144頭だったのが、
24年度には3,604頭になっていて、
ざっと1/3に減っています。
たしか、25年度が2,586頭だったと思います。
東京都の愛護センターが収容する数自体も
1,000頭減っていることになります。

収容する動物の数と、
処分されている動物の数に差があるのは、
返還されたり譲渡されるためです。
「公示期間」の1週間のあいだに
もとの飼い主が現れた場合には返還されますし、
現れない場合は、個人や愛護団体が
引き取ったり保護をします。

具体的にどういう動物が手放されているかというと、
こんな子たちです。

これはミグノンで保護した動物たちです。
みんなかわいらしい子たちばかりです。

手放される理由で最も多いのが、まず、
・高齢者が動物を買い求めた場合
です。
歳をとってから動物を飼うと、
その犬や猫が20年ぐらい生きた場合、
途中で飼い主が体調を崩して入院したり
老人ホームに入ることになります。
最悪の場合は亡くなってしまいます。
そして、動物だけが残されて、収容されます。

次に多いのが
・引っ越し
です。
単純に「引っ越し先がペット不可なので飼えない」という
場合もあります。
また、そこに家の事情が加わる場合も多いです。
近年多くなったのが、
「破算」「離婚」
「吠え声や匂いに対する近隣からの苦情」
などです。

犬が吠えたり噛んだりするのは、基本的に
育て方を間違ったケースなんですが、
そういう理由で犬を手放そうとする方は、なぜか
「たまたま悪い犬がうちに来てしまったので、
 今回はこの子を手放して、
 次にもっといい子を飼いたい」
というようなことを言います。

私たちがそういった
「問題のある子」を保護すると、
最初は「吠えてうるさいな」と思いますし
「こういうことしたら噛むんだな」
ということがわかります。
でも、ていねいにお世話をしていると、
だんだん落ち着いてきて穏やかになり、
新しい家族に譲渡ができるようになります。

では、なぜ私がこんな活動をはじめたか、
というお話をします。

私はもともと動物が好きで、動物病院で働いていました。
そして13年前に、犬の美容室を開業して独立しました。
開業当初は、とにかく開業費を返さなきゃ、と、
がむしゃらに働いたのですが、
4、5年で完済しました。
借金がなくなった瞬間に、
「もう借金がないから、好きなことをしていいんだ!」
と、ものすごくテンションがあがりました(会場笑)。
そこで、店の営業時間を短くして、
新たな習いごとをしようか、
遊べるようにしようか、など、いろいろ考えました。

私はこういう仕事をしているんですが、
アレルギーで、動物のそばにいると
喘息になってしまいます。
仕事中、調子が悪いときはマスクをしていましたが、
自分で動物を飼うことは難しい状況でした。
でも、治療をしながら4、5年働いたら、
ずいぶん改善されました。
ですから、
「もうそろそろ犬を飼っても平気かな」と思いました。
借金を返して余裕ができた分で、
自分の犬を飼おうと思い立ちました。

そこで、改めてどんな犬を飼おうかと思いました。

まず、品種はあまりこだわらない。
雑種の子でもすごく魅力的な子がいるので、
純血種じゃなくてもいいなと思いました。
さらに、それまでたくさんの動物を見て、
子犬から飼う必要はまったくないということは
わかっていました。

ペット業種に就いていても、学校などでは
処分問題について、くわしく習いません。
私も、ただ漠然と
行政で処分されている動物がいると知っていたので、
ちょっと調べることにしました。
たまたま動物愛護相談センターの
収容動物情報を見たときに、
ものすごい数の、
期限を待っている犬猫がいるのを知りました。

「愛護センター」って、古いイメージで、
雑種でギャーギャー騒ぐ犬が引きずられていって
処分されるようなイメージがあったんですけれども、
実際にはダックスフントとか、チワワとか、柴犬とか、
比較的人気の犬種が保護されていました。
まるでペットショップのようでした。

「これはどういうことだろう?」

理由は単純です。
処分される動物というのは、
動物を嫌いな人が「処分してしまえ」といって
連れてくるのではなくて、
自分が欲しくて飼い求めて、でも飼えなくなって
持ち込まれるのです。
人気がある品種が多いのは当たり前だったんです。
私はそのことに非常に衝撃を受けました。

自分はあまり
社会運動をするようなキャラクターではないので、
マイペースで、
「自分が受け入れられる範囲で動物を預かって、
 もらい手が見つかったらまた次の子を預かって」
というふうに、
自分の生涯で何匹かだけでも
助けられたらいいと思っていました。

借金を返し終えて、
犬を飼うつもりで調べていたことがきっかけで、
そんなふうに保護運動をすることになったのです。

そして、数人の仲間といっしょに
東京都に団体登録をしました。
最初は店のペットホテルのスペースを使って保護をして、
同じく店の狭いスペースで、譲渡会をはじめました。

最初の4、5年はそういう感じで
のんびり、のんびりやっていました。
しかし、だんだん欲ができてきて‥‥
最初はお店に2、3頭までと決めていたのが、
4頭、5頭になりました。
そうすると、
普通に買いものに通ってくれていたお客さんが
「お世話が大変そうだから手伝おうか」
と言い出して、
自然発生的に近隣でボランティアが増えてきました。
小さな雪の玉が大きな雪だるまになるように、
人が増えていきました。

(第2回につづきます)

2015-05-07-THU

友森さんの講演を動画で見る

友森玲子さんのおはなし
捨てられる動物のことを知ったから

第1回
余暇で好きなことをしよう。
2015-05-07

第2回
目先の1頭ずつ、で続けました。
2015-05-08

第3回
ありがとうを言わない人。
2015-05-11