『言いまつがい』装丁伝説!
あのへんな本をつくった人たち。
祖父江慎×しりあがり寿×糸井重里
第11回 予算と見合うかどうか

糸井 ちょっと軌道修正して
本の装丁の話に戻しますけど、
本って、丸裸な商品じゃないですか。
いくらで売ってて、
いくらかかってるかっていうことが。
とくに祖父江さんから見ると、
紙の原価までわかりますよね。
祖父江 そうなんですよ。えへん。
だいたいですけどね。
糸井 それはやりにくいの?
やりやすいの?
祖父江 うーん、なんか、
昔と立場が逆になってしまってると
思うことはありますね。
たとえば昨日もね、編集の人が、
「ここはこういう紙で
 いきたいんですよ!」って
言うんだけど、ぼくのほうが、
「いやぁ、
 もったいないんじゃないかな?
 これくらいでいいんじゃない?」って
コストをおさえる発言をしていたり。
しりあがり あ〜(笑)。
糸井 じゃあ、よくわかってない人が、
調子づいて高いものを使おうとして、
「今回はこれでいきましょう!」
なんて言うと、祖父江さんとしては、
「シロウトだなあ‥‥」って思うんだ?
祖父江 う、う、うん‥‥。
糸井 ははははははは!
 
しりあがり 部数によって、だいたいわかるもんね。
祖父江 うん。だから、だいたいの部数と定価を
聞くじゃない?
それで話をしていくと
「えっ?
 そうするとこの造本プランじゃ
 もう大赤字じゃん」って悩むよね。
── きっと人によっては、
「いいものつくればいいんです!」
みたいなことを言ったりしますよね。
祖父江 「UV加工で、
 他誌と差をつけましょう!」とかね、
「新しい紙なんで、
 ぜひ使いましょう!」とか、
言う出版社の人もいますよね。
それが予算と見合ってれば
いいんだけどね。
「合ってないじゃん」ってときは
困っちゃうよね(笑)。
糸井 なまじ意見を通して赤字になって、
「祖父江とやると高くつく」
なんて言われても困るしね。
祖父江 うーん、でも、
そういうのはあっても
いいかもしれない(笑)。
なんとなく、どっかにそういう気配が
感じられたほうが
いっそやりやすいっていうのは
あるので。
糸井 なるほどね。
祖父江 べつに、
実際はどうでもいいんだけども、
「あの人とやるとコスト高に
 なるのかもしれない」って
思われてたほうが自由度もきくし、
バカみたいな値段、
言ってこなくなるから。
糸井 なるほど、なるほど。
考えてないようで、
ちゃんと考えてるね(笑)。
ほんっとに祖父江さんって、
考えてないように見えて、
考えてる(笑)。
祖父江 うーん、うーん‥‥。
糸井 ためになるなぁ。
(続きます!)

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2004-03-15-MON
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