その1676

あるところにふたりの人がいて、
仮にそれを甲と乙としよう。
甲と乙は元来なかよしで、
ふたりしてしばしばいっしょに過ごしたが、
あるとき会話が成り立たなかった。
甲は乙のことばを聞きまつがい、
乙は甲のことばを都合よく解釈した。
結果、生じる「かみ合わない会話」。
今日はどんな単語をきっかけに
かみ合わなくなるのやら?
どうぞ、最後まで、ごゆっくりー。
新聞を開いた母が
藤沢周辺って、いいのかねぇ〜?」
と言うので、
「さぁ? 江ノ島とか?」と私。
その後、二人でしばしの沈黙‥‥。
そう、母は映画欄か何かを見て
藤沢周平って、いいのかねぇ〜?」
と言っていたのでした。
藤沢周辺について聞いてくるなんて、
おかしいと思った。
(bamo)
カルタを五十音順にそろえて
しまおうとしていた息子(当時幼稚園児)。
「ねぇ、ママ、教えて〜。
 『も』の次ってな〜に?」
「やだよ」
「いじわるしないで、
 教えてよ〜!」
「だから、『や』なの」
「教えてよ!」
「だ・か・ら、『や』だって!」
「なんでだよ〜、教えてよ〜(泣)」
「だからね、『や』なんだよ〜(泣)」
(kushipy)
すっかり秋の気配が漂ってきたある日、
同僚が「最近、日も短くなりましたな〜」とポツリ。
さらに「ねえ?」と同意を求める声。
わたしの返事は
「へ? なんのヒモが短くなったの?」
「ヒモじゃないよ、日! 日照時間!」
とあきれられてしまいました。
ふだんはそんな風流なことを
言わない人だから、つい。
(にし)
友人がテレビ見て、
うちがマンガ読んでいたとき、
友人がテレビの俳優を見ながら、
ニマイメ(二枚目)だねー」と。
まんがに夢中だったうちの頭の中では、
ニマメ(煮豆)」に変換完了。
うち「(まんがを読んだまま)
   甘いよねぇ〜」
友人「なんか溶けそうじゃない?」
うち「(ページめくりながら)
   そのくらいがいいよね〜」
友人「それっていいんかなぁ?」
うち「(テレビには目もくれず)
   おかんの好みでさぁ、慣れたよ」
友人「ふーん」
無事に会話終了〜。
(聞きまつがい女王)
職場にて、
カッターを持ってるかどうか訊かれ、
「持ってます、持ってます!」
と勢い込んで言ったところ、先輩には
「ポーツマス、ポーツマス!」
と聞こえたらしく、
「え、あんたそんなキャラだったっけ?」
と不思議がられた。
(猫ひろこ)
小学生の女の子に
「将来なにになりたいの?」と訊いたら
「ブリキ屋!」と元気よく答えた。
「ブリキ屋とは!
 これまた堅実なお子さんですねぇ!」
とお母さんに言ったら
プリキュアになりたいって
 言ってるんですけど‥‥」と。
(kubo)
吹奏楽部の私とO、
そして吹奏楽部じゃないAとの会話です。
A「ねえねえ、コントラバスって
 (値段が)高いの? 低いの?」
私「(音が)低いよ」
A「(値段が)高くないの?
  あたしバイオリンより高いんだと思ってた。」
私「(音は)バイオリンが一番高いんだよ。
  コントラバスは一番低いよ。ねえ、O?」
O「(話を聞いていなかった)え、なに?」
私「コントラバス(の音)は低いよね?」
O「何いってるのさ! 
  先輩とか(レベルが)めっちゃ高いじゃん!」
A「先輩のは(値段が)高いの?」
私「先輩は(音の高さに)関係ないじゃん」
O「先輩は金賞取ってるんだよ!?」
私「いや、音の話をしてるから!」
A「いや、値段の話」
私、O「え!?」
なぜ「高いの? 安いの?」ではないのか。
(高いよ)
ある日の中学生との会話。
ほぼ日のことを話そうとした時のこと。
私「糸井重里さんってわかる?」
中学生「わかんない。何に出てる?」
いろいろ挙げるも、彼女には全てわからない様子。
困り果てた私「樋口可南子さんはわかる?」
中「ホワイト家族のお母さんでしょう?」
私「そうそう! その人のだんなさんなんだけど」
中「‥‥いぬ?」
ごめんなさい。糸井さんが白い犬になっちゃいました。
(シロ)
どのようなジャンルのネタでも
私たちにお送りください。
下の「投稿する」ボタンをクリックし、
ことのあらましをシンプルに書いて
できたところで送信ボタンを押してください。
連載の傑作をそれぞれ700以上も収録した
『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』
お読みでない方は、ぜひどうぞー。

イラスト:しりあがり寿


2008-09-16-TUE
もどる
© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN