その1620

すべての子どもたちは美しい名前を持っています。
ひとりずつひとつ、かけがえのない名前を。
ところが、その、燃える命ともいえる名前は
しばしば、他者によって
あっさりと「まつがわれて」しまうのです。
そのような例をたくさん集めてみましたよ。
つまり、「名前の言いまつがい」特集。
最後まで、どうぞお楽しみくださいませー。
私の苗字は
「今清水」と書いて「いましみず」です。
何も複雑なところはないのに、
口で名乗れば「岩清水」と表記され、
字で書くと「いまいずみ」と読まれます。
いつものことなので気にしません。
しかしある日、電話で名乗った後、
自分宛に来たFAXに書かれていた名前は
「岩泉様」でした‥‥。
気持ちは汲みますが、元の字の面影もない。
(今清水)
私の名はケイコ。姉の名はショウコ。
ある日母がこう呼んだ。
「シェーコ!!」
‥‥今、どっち呼びました?
(レレレのレ)
息子の名前は「永(ひさし)」。
なかなか、ひさしとは読んでもらえず
「えいちゃん」とか呼ばれることも多々。
大学へ入学して、事務局の方から電話があった時、
ひょうくんのことなんですが」
「へ???」
「氷(こおり)と書いて
 ひょうくんですよね」と言われ
ちょっとそれ点の位置が違ってます! とも言えず、
ものすごいまつがいをしてくれる人だ! とあ然。
(そんな冷たい名前‥‥)
部長に電話がかかってきた。
「吉井部長、西村さんから電話です」
少し不機嫌そうな声で
「うん」と言って電話に出た吉井部長は、
「はい、吉村です!」と
50年以上も名乗ってきた
名前をいとも簡単に間違えていた。
(スティング)
昔、日本語の話せない
カナダ人、アメリカ人、イギリス人ばかりの
会社で働いていた時、
外出中のカナダ人上司宛ての電話を受けた私。
もちろん、電話での会話は英語です。
相手「(私の名は)ラボッです」
私 「(ラボッって名前ってことはないだろう。
    聞き取れなかったんだ)
   すみません。もう一度お願いします」
相手「ロボッです」
私 「(? ロボッ?ラボッ?
    でも、もう一度聞くのは失礼だよな〜)
   すみませんが、綴りを教えていただけますか」
相手「エ〜ァ、オ〜、ブ〜、イ〜、エ〜ァ」
私 「(え〜?! 綴りも聞き取れない〜!
    困ったな〜。でももう聞き返せない)
   はい、わかりました。
   では、上司宛のメモを残しておきます」
相手の名の綴りも聞き取れなかった私は、
上司宛にメモを残しておくこともできず、
しかたなく、上司の帰りを待って口頭で伝えることに。
ラボッ、ロボッ、など、聞こえた感じの
記憶を頼りに上司に伝えるものの、
「そんな人は知らない」と言う上司。
困って、焦りまくった私は、さらに
ラボッ、またはロボッに似た発声を続けて
なんとか上司に伝えようとしどろもどろ。
「ラボッ。ラビッ。ロボッ
 ‥‥もしかしたら、ラバッ?」
あげくに、焦って頭に血が上った
私の口から出てきたのは
「‥‥ラビット?」
すると、日本語を話せないはずの上司が、
いきなりたどたどしい日本語で
「う〜さぎは、電話、しませんね〜」と一言。
あとで聞いたところ、この電話の相手の名前は、
ラブル(LOVEL)だと判明!
(まるる)
両親の結婚式の時です。
新郎の父、つまり私のおじいちゃんは
花嫁の名前を間違え、しかもそれは
父の元カノの名だったとか。
母は20年以上たった今でも根にもっています。
(トモー)
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イラスト:しりあがり寿


2008-07-22-TUE
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN