その1390

甲と乙があって、
甲には乙の言うことが聞き取れず、
乙は甲のことばを誤解した。
以上のような状況において、
「かみ合わない会話」は生まれる。
互いの論、寄り添わぬこと果てしなし。
このうえは両者の食い違うさまを
楽しむほうが得策であろう。
最後までごゆるりとご閲覧あれ。
この間、バイトの休憩室での彼女との会話です。
彼女「現像出しといて」
おれ「源三?? だれ???」
彼女「カメラだよ、カ・メ・ラ!」
おれ「亀田? 亀田源三って誰だよ!?」
どこのお爺さんがでてきたのでしょうか‥‥。
普段から会話がうまくできてません。
(仔猫の子)
先日、実家の母に電話したときのことです。
私「お母さんさぁ、
  家にばっかりいると健康に
  よくないからジムとか行きなよー」
母「いや、ここら辺は
  ジムなんて私の年じゃあねぇ。
  レジ打ちくらいしかないねぇ」
レジ打ちなんてスポーツ、聞いたことないので、
私「ん? なんの話をしてるの?」
母「え? 私に事務のパートに出ろって
  言ってるんじゃないの?」
(親のすねをかじる大学院生)
転んで怪我をしたところが化膿してきたので、
「いい薬があるよ」と教えてもらい、
薬名を覚えて、薬局へ行きました。
「○○○(薬名)ください」と言うと、
薬局のお姉さんに
軟膏ですか?」と聞かれ、私は
1個です!」
お姉さんは、笑いながら2種類の薬を出して
「どちらですか?」と聞いてくれました。
その後、絆創膏がほしくて
「絆創膏ください」と言うと
お姉さんが
「どういうタイプのですか?」と聞くので
「一番普通のやつ」と言おうとして
「一番‥‥」と言いかけると
お姉さんは
「あ、ニチバンですね」と
ニチバン絆創膏を出してくれたのでした。
(しぇる)
イベントの運営の仕事をしている後輩。
「なんと、山ほどお客さん
 来たんですよー。
 この仕事しててほんとよかったです!」
と興奮気味に話しているので、
やりがいのある仕事でよかったね、
と一緒に喜んでいたら、
「テレビで見るよりかっこいいし、
 トークもおもしろいし、
 スタッフにも優しいし、
 ますます好きになりました!」
なんだか話がかみ合わない。
と思ったら彼女は、
「山ほどお客さんが来た」ではなく
イベントのゲストに
山本耕史さんが来た」
と興奮していたのでした。
勤労意欲のもとはお客様であってほしかった。
(ミーちゃんとハーちゃん)
友人が海外出張からの帰りに
成田の入国審査で、
係りの人がパスポートを見ながら
「お太りですか?」と質問。
中年太りが気になる友人は、ちょっとムッとして
「そう見えますか?」と答えました。
相手は何も言わなかったのですが、しばらくして
「お一人ですか?」と聞かれたのに
気がついて一人赤面したそうです。
(てんてこまい)
先日、親戚一同で
中華料理を食べていたときのことです。
中学生の甥っ子が、
小籠包を食べるときにつけるタレみたいなのを
「これって、お酢?」と聞きました。
すると伯母が
「え? 小籠包って、
 オス・メスがあるの?」
(RUN)
うちの夫に
「ねえこれ見てよ、面白くない?」
と聞いたら、ろくに見もせず
「見た」としか返事しないのでムカついて
「『見た』、終わりか!」と言ったら、
なぜか夫のほうが突然怒り出しました。
「逆ギレ!?」と
私も反論しようとしたところ、夫は、
『メタボリック』とか言うな!」と。
どうやら最近気にしているお腹周りのことを
「メタボリックか!」と
言われたと勘つがいしたみたいです。
(あだ名は「メタボ」)
ある日車の中で。
母 「‥‥テイボゥがさぁ」
自分「へ!? なにいきなり
   バイリンガルっぽくなっちゃってんの?」
妹 「どしたの? どこらへんが?」
自分「いや、だって今、
   『Table』って‥‥」
母 「何それ!?
   川の堤防の話なんだけど」
以来「川のテイボゥ」は
我が家の合い言葉です。
(れのん)
友人に赤ちゃんが産まれました。
名前は「ここあちゃん」。
母親に、ここあちゃんのかわいさを熱く語る私。
そして、話を聞き終えた母が発した言葉は‥‥
「へー、かわいいねぇ。
 で、ここあちゃんて何犬?
「‥‥ここあちゃんは人間だよ」
と返すのが精一杯でした。
(とんこ)
「かみ合わない会話」に限らず、
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イラスト:しりあがり寿


2007-12-05-WED
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN