その1271
そ、そんなバカな!
私は思わず耳をうたがった。
うたがって、よかった。
だってそれは「聞きまつがい」だったのだ‥‥。
というわけで、行ってみましょう、
「聞きまつがい」特集。
今日もいろんなことばがいろんなふうに
「聞きまつがわれて」いますよー。
最後までのんびりとご覧くださいませ。
仕事中、前の席の人が突然
浄瑠璃持ってます?」と
聞いてきた。
「浄瑠璃?!」と思わず聞き返したら
「いや、定規」と淡々と返されてしまった。
そりゃそうだ‥‥。
(浄瑠璃ってどう持つんだろう)
会社で仕事が一段落したので
みんなでお菓子を食べようとした時、先輩が
「はい、褒美じゃ!
と言うので
なになに? と思って
先輩が持っているお盆を見たら
「ほうじ茶」の間違いでした。
なーんだ、ガッカリ。
(ティータイム)
結婚式場で着付け助手のバイトをした姪、
花嫁さんに
「そのゾーリを取ってください」
と言われたのを聞き違え、
ホーキを渡してしまった。
「晴れの日に、掃除させる気?」
と、先生に嫌味を言われたそうな。
どっちも「はく」ものですが‥‥。
(ヤスジロー)
主人と買い物をしていたときの事。
何点か買い物をしていた主人が
おもむろにこちらを向き
屁するから、これ持ってて。
 屁するから
と言いました。
私が驚いているのを尻目に
主人は買ったものを私に渡し、
奥にあるクリアケースを手に取りました。
そうです、主人は
「ケース取るから‥‥」と言っていたのです。
(いちごぱふぇ)
なんの話をしていたか忘れましたが、
彼が何かひとしきりしゃべったあと、
ロナウジーニョのまねして
 言ってみた」と一言。
「でもさ、あの人外人でしょ?
 日本語しゃべれたっけ?」と私。
「‥‥誰もそんなコト言ってないけど。
 うちのおじいのまねしたんだよ」
こういう事が、日常茶飯事な
私の耳はおかしいのか‥‥。
(みかきち)
数年前まで、書店でアルバイトをしていました。
ある日、売り場で
棚割りの相談をしていた課長に向かって、
カウンターから店員が
大きな声で叫びながら走ってきました。
なんでもハウス相談室
 からお電話ですぅ〜!」
周囲のいぶかしげな視線を受けつつ、
話し始めた課長。
しばらくすると、本棚につかまり、腰砕け。
話の内容から察するに、
「ランダムハウス講談社」さんからの
お電話だったようです。
ハウスしか合ってないし。
(関西系書店員)
勤務先で、取引先から電話が来た時のこと。
支配人に
『パンドラの箱』様からお電話です」
と取り次いだら後から
「『箱』じゃなくて『畑』だよ」と‥‥。
「パンドラ」の畑さんからの電話でした。
電話が不得手な私には痛恨のいちげきでした。
(ぽぽ)
とある受付の仕事をしているのですが、
おじいさんに、
「孫は、ありますか」
と聞かれました。
わ、私に孫が!?
これでも若く見えるし、
未婚には見えると思うんだけどなー
私に子どもがいるかどうかかな?
それとも私の祖父母が健在かどうか、とか?
それとも自分の孫の話を聞いて欲しい序章とか?
いろいろ考えながら、
「えっとー‥‥」とニコニコしてみたら、
もう一度言ってくれました。
「輪ゴムは、ありますか」
(るんるん)
昔よく裏山で
兄が隊長、自分が隊員として
探検遊びをしていたころ。
遊びつかれて家に戻ると母親が、
「ちょっと買い物行ってきて」と。
そこではりきって「ラジャー!」と
敬礼ポーズを取ったにもかかわらず、
「だれもブラジャーなんか頼まん!」
「ふたりで裏山で変な遊びなんか
 してないでしょうね!」
とこっぴどく怒られました。
(グーリー)
ある日、隣の部屋から娘の声が。
「え、なーに?」
もう一度娘の声。
「聞き取れないよ‥‥」
と部屋の戸を開けると、そこにはダンナ一人。
私はダンナのオナラ
会話していたのでした。
(ぷっ。)
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イラスト:しりあがり寿


2007-08-08-WED
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN