その1076
言ったあいつが悪いのか、
聞いたおいらが悪いのか、
どっちもどっち、どっちもどっち。
ただひとつわかっていることは、
「言いまつがい」があるのなら、
「聞きまつがい」だってあるのです。
よくある話と微笑みながら、
どうぞ最後までのんびりお楽しみください。
職場で「係長!」と言っているのが、
よく「ゆかりちゃん!」
と聞こえてしまい、
つい、返事をしてしまったり、
顔を上げて声のした方を見てしまいます。
(係長ではない、ゆかりちゃん)
知人が言った。
「90歳なの」
よくよく聞くと、
「今日取材なの」だった。
(ママムー)
友人が
「うちの虫メガネ」
いきなり自分の
「虫メガネ自慢」を始めました。
「フツー、虫メガネなんか
 自慢するか?」
と訝しく思っていたら‥‥。
「うちの娘がね」
という、子供自慢でした。
(BCE)
テレビでアナウンサーが
「隠し子を取得」
と言ってました。
そんな話題を放送するのか、と慌てた私。
「隠し子?」と、
隣で一緒に料理していた母に尋ねると
「博士号」と、訂正。
母は私のききまつがいに慣れている。
(k)
テレビのニュースを聞きながら
家事をしておりましたところ
アナウンサーが言いました。
愛のクーデター
 2日目を迎えました」
なんのこっちゃいと画面を見ると、
タイのクーデターでございました。
(た)

殺人事件のニュースを途中から見た先輩は
「寝込みを襲われ‥‥」を
「猫に襲われ‥‥」
と聞きまつがい、
人を殺すなんてすごい猫がいるなぁ、
と思ったそうです。そして
「ハシゴをかけ、二階の窓から侵入‥‥」
と聞いて、猫なのにハシゴもかけられるなんて!
とさらに驚いたところで、
はっと聞きまつがいに気がついたそうです。
(今や私も中年社員)

品のよい家庭でおっとりと育った友人。
お花のアレンジ教室でお稽古中、
何やらガラス越しの窓の外で
ダダダと走る数人の若者。彼らは
「中継!」
「中継だ!!」

と口々に叫んで
全速力で駆け抜けて行ったそうです。
同時に隣でアレンジしていた女子2人と
フラワーショップの店員の男子が
いきなり立ち上がり
彼らの後を追って、全力疾走。
友人は、
「まあ、有名人? 何の中継かしら〜?」
小首をかしげて考えていたところ‥‥。
しばらくして帰ってきた3人は
ものすごく暗〜い顔。
肩をがっくり落として曰く、
「間に合わなかった‥‥」
「前の2人はセーフだったのに‥‥」
「きぃーっ! くやし〜」
彼らは、ばっちり
「駐禁」の切符を切られていたのでした。
(近頃やけに多いんだ)
看護師の友人は、学生の頃患者さんに
「スポニチ、買ってきて」
と頼まれて、満面の笑みで返事をし、
売店で購入したスポンジを手に
病室に登場し、
大爆笑をかったことがある。
(たまきママ)
彼女との2回目のデートを終えて
立ち寄った喫茶店で、
まだ初々しかった私たち2人は
無言の状態に陥ってしまいました。
このままじゃアカンと
無理矢理に話題を絞りだそうとして、
「そうそう」といかにも
思い出したかのように
彼女に話しかけると、
同じく話のつなぎに困っていた彼女は
「そうですね。
 それじゃぁ、そろそろ‥‥
と帰る支度を始めてしまいました。
そんな彼女とは、来月挙式の予定です。
(つろっこ)
聞きまつがいです。
昨晩、疲れてぐったりと横になっていると、
5歳の息子が
「背中押して
 あげようか」
と聞いてきました。とても喜んで
「うん、お願い」と答えると、
あっかんべーの
でき損なったような顔をして
「ほら見て」と言いました。
「変な顔してあげようか」
だったみたいです。
(ぬか喜びの父)
ああ、最後の話は、なんて素敵。
「変な顔してあげようか」なんて
ふつうのオトナは思いつきもしないよね。
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あちこちでよい評判となっている
『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』
もうお読みいただけましたか?

イラスト:しりあがり寿


2007-01-25-THU
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN