飯島食堂へようこそ。  おじさんを 雑に扱う いい女 清水ミチコさんと、 健康ごはん。

清水 いま難しくて、
歌謡界はとにかく歌詞を変えてやったら
いけなくなってきたんです。
そういう流れもあるんですよね。
糸井 ふーん。
清水 あと、完成品を聞かせてください、
その上で判断します、みたいなのもあるから、
そうすると、あんまり激しくできない。
糸井 あ、そういう約束事もあるんだ。
清水 人によりますけどね。
糸井 かいくぐって、ここまで来たけども。
── 「ユーミソさん」は
だいじょうぶだったんですか?(*)

*『バッタもん』収録の
「ボイス・アドベンチャーSPECIAL」のこと。
「ユーミソさん」のラジオ番組に
清水さんがゲストで出ると、
逆にモノマネをされてしまい‥‥という、
筒井康隆的に不条理な
パラレル・ワールドが展開される。
清水 はぁー(ため息)、
だいじょうぶじゃないですよ、
これからですよ。
一同 (笑)
糸井 え、あ、そうなんだ。
清水 これからっていうか、あんまりこう
ちゃんとお会いしたことも、
許可とったこともないんです。
どう思う? みんな。
怒らないよね、ねぇ。
わたしほんとに本人になりきってる、
日本一の人じゃないですか。
その本人が言ってるんだから、
まちがいない!
一同 (笑)
糸井 怒ったらみっともないっていうのを
わかる知性の人ですよね。
清水 ‥‥言うなあ(笑)。
糸井 はははは。
清水 それで、わたしユーミ「ソ」
って言ってるから(笑)。
糸井 それはだからさぁ、
昔からそういう人たちは
いっぱいいるじゃない。
清水 はははは。
かいくぐり。
── まねだ聖子。
糸井 全部に許可なんて取ってないでしょ、ぜんぜん。
清水 全部じゃないと思う。
糸井 いくつか取ってるんですか。
清水 うん。
レコード会社の仕事なんですけど、
担当はしんどいんじゃないかな。
曲はやっぱり難しいんですよ、
取らないと。
でも、桃井さんとか、
いつもやってる人は取ってない。
じつは1枚目のときに、
全員の許可を取り始めて、
半数以上ダメだったのね。
糸井 無理だよね。
清水 わたしは、モノマネっていうのは、
許可してもらってやるもんじゃないと
思っているし、
法律的にギリギリで、やってきた感じ。
糸井 お荷物‥‥みたいなものですね。
清水 なんですか、わたし、
そんなことないですよ(笑)。
糸井 ソニーの‥‥(笑)。
清水 どういうこと!
お荷物じゃなくて、
パンク、パンク!
糸井 あ、パンク!
パンクってお荷物って訳すんだ。
糸井 「オレたちみたいな
 お荷物バンドは」(笑)。
でも、こうしてCDが
出てるってこと自体がうれしいですよね。
清水 うん。
そうなんですよ。
そっちのほうが、すごいことだと思う。
糸井 おそらく、レコード会社は、
ずっとやってないと思うんですよ。
この世の中の流れからすると、
誰かがやめたって言えば
おしまいになっちゃうような
ことじゃないですか。
清水 ややこしいですからね。
糸井 だから、ここまできたっていうのは
個人の努力ですよ。
清水 4月からライブがはじまるんです。
糸井 ぜひ先行予約をさせてください。
清水 ありがとうございます。
糸井 けっこう、長いこと
おやりになりますよね。
清水 そうなんですよ。
自分が飽きないようにするには
どうしたらいいかを。
糸井 飽きる飽きないの問題は、
現代の、一番難しい、
最後の問題ですね。
ぼくも、飽きる飽きないのこと
ばっかり考えてます。
清水 どうしたらいいんですかね。
志の輔さんも、
とにかく、わたしたちの商売
「飽きる」との戦いだっておっしゃってて。
糸井 不確定要素を入れるしかないですよね。
清水 どういうこと、どういうこと?
例えば?
糸井 友達が、今日はちがう人が来てるとか。
清水 そうなんですよ。
顔がイメージできると、
ぜんぜんちがうんですよね。
糸井 いつ、誰が来るかっていうだけでも、
ライブの場合は助かりますよね。
じゃあ、ゲストの入れ替えをするとか、
自分がわかってないことをするしかないですよね。
清水 予想つかないことですね。
糸井 それ以外は、ちょっとない。
で、ウケなかったらどうしよう
っていうのは、1回忘れるんですよね。
山田五郎と一所懸命歌おう、みたいな。
清水 (笑)なんで、そう自殺行為に
持っていかなきゃいけないのよ!
一同 (笑)
清水 あ、でも、わたし
糸井さんの歌、聴いたことありますよ。
糸井 ふっ‥‥(笑)。
清水 「ヘンタイよいこ
 白昼堂々秘密の大集会」。(*)

*1982年5月、
雑誌『ビックリハウス』のなかで
「ヘンタイよいこ新聞」を連載していた
当時の糸井重里が主宰したコンサート。
品川プリンスホテルのゴールドホールで行われた。
井上陽水さん、ムーンライダーズ、
東京乾電池、「ヘンタイよいこバンド」らが出演。
糸井重里も歌を唄った。
糸井 それを見てるの、あなたは!
清水 見てますよ。
糸井 現場?
清水 現場、現場。
糸井 品川で。
清水 品川です、そう。
糸井 そんな子だったの?
清水 そう、もちろんですよ。
めちゃくちゃ投稿もしてましたよ。
糸井 ふーん!
ぼくは、桃太郎の格好してたんですよ。
清水 矢野さんと清志郎さんも出てらっしゃいました。(*)

*「ヘンタイよいこバンド」として
坂本龍一さん、矢野顕子さん、
忌野清志郎さん、チャボさんがバンドを組んで
「い・け・な・い ルージュマジック」などを歌った。
糸井 へぇー、清水さん、あのときいたの?
清水 いましたよ。
糸井 すごい子どもだったんじゃない?
清水 いやいや、ぜんぜん、ぜんぜん。
もう短大も卒業したって
頃じゃないですかね。
── ぼくが高校生でしたから。
清水 いたんですか?
── はい。
清水 3人いたんだ。
おなじときに。
糸井 ねぇ。
この場に3人。
清水 ね、糸井さん、
超いやそうに歌ってたよね。
── はい、いやそうに歌ってましたね。
清水 しぶしぶ‥‥(笑)。
── でも、アルバム出してましたからね。
『ペンギニズム』
糸井 ‥‥ぐぅ。
清水 ははっ‥‥
死にましたね、今!
── この話するとね、
社長、黙っちゃうんですよ。
清水 あはははは!
だからね、そうやって
みうらさんのこと言うから。
わたしだって‥‥(笑)。
── それこそ、ソニーが復刻して。
紙ジャケで。
清水 ええ!
ソニー、お荷物追加!
一同 (笑)
清水 わたしなんか重くないんですよ。
糸井 ぼくはね、荷物は1個だけ、
って決めましたからね(笑)。
8個もないです!

(つづきます!)

2010-03-05-FRI

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