飯島食堂へようこそ。 荻上直子さんと、 『トイレット』のごはん。
『バーバー吉野』『かもめ食堂』『めがね』の 荻上直子監督の、最新作が公開されます。 タイトルは『トイレット』。 舞台は北米東部、主演のひとりはもたいまさこさん、 でもそのほかの出演者はすべて外国人、 ことばは英語で字幕付き。 そして飯島奈美さんの料理が重要なキャスト! 「ほぼ日」でも自信をもって紹介したい、 観てほしい映画です。 ということで、おむかえしました、飯島食堂に! ちょっと緊張しながらのスタートですけれど、 荻上監督、こーんな愉快なひとだったんですよー。 荻上直子さんのプロフィール

もくじ
 
2010-08-23
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2010-08-27
2010-08-30
2010-08-31
2010-09-01
2010-09-02
2010-09-03


その1 『トイレット』おもしろかったんだよー。
(荻上監督が先に入り、
 糸井重里の到着を待っている。)
荻上 どうしようどうしよう。
わたしずっと緊張して
何を喋ったらいいのか、もう。
── そんな、緊張なさらないでください。
だいじょうぶですよ。
荻上 はい‥‥。
── あ、まいりました。
荻上 あ‥‥‥‥。
糸井 こんにちはー。
よろしくお願いいたします。
荻上 荻上ですっ。
よろしくお願いいたしますっ。
── とても緊張なさっているそうです。
糸井 じゃあ、とけるまで
静かにしていましょうか(笑)。
── よけい緊張なさいますよ。
糸井 あ、荻上さんのTシャツ、
ちょうど昨日、かみさんが着てたやつだ。
荻上 あ、ほんとですか! あら!
やばいっ!
飯島 なんで「やばい」んですか(笑)。
糸井 なんで緊張するんですか。
もったいない(笑)。
もう、ほめられるに決まってるのに!
荻上 ‥‥ふはっ。
糸井 ただ、試写を拝見してから
時間が経っちゃって、
もったいなあと思って。
観てすぐだったら、
もっと興奮してたんですけど。
荻上 ありがとうございます。
観ていただいて。
ふー。
はー。
へへへへ(笑)。
糸井 どうしましょう(笑)。
こういうひとだとは知らなかった!
もちろん自信たっぷりで
「オレが監督だ!」っていうひとだとも
思わなかったんですけど、
こういうひとだとは思わなかった!
‥‥やあ、そうですかあ。
どうしようっかなあ。
荻上 (小声でスタッフに)やばいっす。
── あせらずに。
お料理も出ますので。
糸井 あせらずに、はい。
そうですね。
飯島さんは荻上さんを
よくごぞんじなんですよね。
こういうひとだったんだねえ。
飯島 そうなんですよー。
ちょっと‥‥。
荻上 や。ちょっと、なんですか!
飯島 飲むとあばれるんです(笑)。
荻上 あっはっはっはっは!
糸井 ああ、そうですか(笑)。
飯島 飲まないと本領発揮できなくて(笑)。
糸井 飲むとあばれるんですかー。へえ。
飯島さんと年格好は
おなじくらいなんですか?
荻上 そうですね、はい。
糸井 みんな、だいたい
似たような年格好のひとたちが集まって。
荻上 はい。
糸井 いやあーーー。
『トイレット』、
おもしろかったんだよー。
荻上 ありがとうございます!
糸井 ぼくはかつて荻上さんに
かつてものすごく失礼なことをしていて。
それはあの、確信犯でやってるんですけど。
荻上 はい、え、なんですか?
糸井 それはね、
荻上さんの『バーバー吉野』が
ものすごくおもしろかったんで、
うちでみんなで観よう、
その感想をコンテンツにしようといったときに、
映画の話をまったくしないで、
髪型の話で終始してしまったの。
そういう罪を犯したことがあります。
荻上 あっはっははははは。
それはー、罪深いと思います。
糸井 映画の話は、
しば漬け程度にしか入ってない。
荻上 ひどーい(笑)。
糸井 ていうことをやったことがあるんです。
本人が見たら怒るだろうなって思いつつ、
そういう愛され方もあるっていうことですよ。
愛しては、いたもんなあ。
その後、わが社はですね、
マッシュルームカットブームが来て、
じわじわと5〜6人マッシュルームになったの。
男まで。
── そう、ひとり、男性も
マッシュルームにしました。
糸井 で、『トイレット』は試写会に行きまして。
期待っていうのは、
その都度あいまいなものですし、
これはあんまり、
「すごいぞ」と思って行くような
タイプの映画じゃないと思うんですが、
最初のシーンで、
長男の男の子に連れて行かれちゃいまして。
すーっと、映画の世界に入っていけた。
ああ、このひとがやりたいことって
こういうことなのかみたいなのが見えた気がして。

何が言いたいっていうこと以上に、
こういうムードを
ずうっと折り重ねていくのが
好きなんだなあっていうことがわかって、
いままでの映画まで含めて
よかったなあと思って帰ってまいりました。
荻上 ありがとうございます。
いまその長男役の男の子(*)が日本に来ていて
うちに泊まってるんですね。
今日奈美さんのご飯を食べられるってことで
朝食を絶対に食べないでおこうって思ってたんですが、
朝起きたらこの子がかわいらしい笑顔で
「Naoko, Breakfast is ready.」って言って
つくってくれたんですよー。
かわいくて食べないわけにはいかないと思って
絶対おなかすかせていこうと思ったのに
食べてきちゃったんです。

*『トイレット』で長男モーリーを演じた
 デイヴィッド・レンドルさんのこと。
 このときプロモーションをかねて来日し、
 荻上監督の家にお世話になっていた。

糸井 そういう子なんですね。
荻上 かわいい。
糸井 演じている役は
本人そのものじゃないのに、
本人の成分みたいなものが
じゅーっとしぼられて、
重なっている気がつくづくしました。
あの子でつかまれちゃって
あとはもういちいちこう、
わかるとか、わかんないとかじゃなくて、
一緒に手をひかれて歩いているような。

もともと『かもめ食堂』も
『めがね』なんかもそうだったんですけど、
なんていうんだろうな、
登場人物と一緒に歩いているような気がして。
こういう表現って、
あるんだなあと、あらためて思って。
荻上 ありがとうございます。
糸井 ものすごくさかのぼっちゃうんですけど、
荻上さん、なんで映画をつくりたいんですか?
荻上 えー! なんでですかねえ。
糸井 ごめんね。
そんな、とんでもない質問なんですけど。
荻上 なんでか?
うーーーんとー、なんでですかねえ。
糸井 ここまで乱暴な質問、
なかなかしたことないんですけど。

(つづきます)

2010-08-23-MON

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