第2回 心で寄り添うことの、難しさ。

でも「1000人」にほだされちゃったら、
心が「もたなく」なりませんか?

糸井

そうですね‥‥それは、たしかに。

だから、ときどきとんでもない人が来ると、
爆発しちゃったりして(笑)。

伊賀

それを聞いて、安心しました。

糸井

会場:(笑)

糸井

それって、たとえば?

糸井

そうですね‥‥。

「社会の役に立つ仕事がしたいから受けに来ました」
という学生さんがいらしたとすると
「なるほど、じゃあ、5分差し上げますので
 社会の役に立たない仕事を3つ、教えてください」

みたいな。

伊賀

ああー‥‥。

糸井

みなさん、思いつかないですけどね。

だって、ほとんどの仕事は
誰かの役に立ってるからニーズがあるわけだし
お金をいただけてるんです。

なのに
「社会の役に立ちたいからマッキンゼー」
とかって聞くと
ちょっと、つっこみたくなったり。

伊賀

いやあ、それを聞いて安心しました。

というのも僕は、伊賀さんに対して
「大変な仕事をなさってるなあ」
という尊敬と、
「本当に、そんなことできるの」
という気持ちの間で、
モヤモヤっとしていたものですから。

糸井

そうでしたか(笑)。

伊賀

それに、僕の経験から言っても
「心で寄り添う」のって、すごく難しい。

たとえば広告の仕事でも
「好きにならないとできない」んですよ。

たとえば、自動車の広告をやったときは、
実際にクルマ買ってますからね、僕。

糸井

会場:(どよめく)

糸井

しかも‥‥1台や2台じゃないですよね?

伊賀

人に譲ったりとかして。

糸井

うわあ。

伊賀

きちんと計算したら
儲かってない仕事さえあるかもしれない。

でも、自分で買ってちゃんと付き合って、
そのクルマのいいところと
そうじゃないところを探したいんですよ。

「貸してもらう」んじゃ、
やっぱり、どこかおもねっちゃうんです。

糸井

自腹で買ったからこそ、
そのモノの価値をシビアに見られる、と。

伊賀

そうですね。

糸井

疲れそう。

伊賀

疲れます。

糸井

メンタルを消耗しそうというか‥‥。

伊賀

だから、伊賀さんのお仕事も
それに近いんじゃないかと思ってたんです。
心がボロボロになるんじゃないかと。

だって、こういうふうにやってれば大丈夫、
みたいな「様式」にしちゃったら
人との「面接」なんて、できないですから。

糸井

そうですね。

伊賀

心のやり取りをちゃんとやらないと、ダメ。
でも、寄り添いすぎると消耗する‥‥。

糸井

10人くらいにお会いして1日が終わると、
突っ伏しちゃうほど、疲れます。

伊賀

それ、どうするんですか?
「本気じゃない人」を早めに見分ける、とか?

糸井

そうですね‥‥たとえばですが
「ここは、ちょっと
 ガツンと言っといたほうがいいな」
という学生さんには、
そうしたほうが絶対いい結果にもなるので、
ガツンといくんです。

そういうバリエーションがあるので「もつ」
というところは、あるかも。

伊賀

伊賀さんが「芸」をいっぱい持ってるんだ。

糸井

「ガツンとやる」ケースもあれば
「寄り添う」ケースもある。

向かい合って淡々というケースもあるし、
1時間ごとに、
ちがうドラマを演じるじゃないですけども、
そういうふうにしないと
「1日10時間」もやれないと思います。

伊賀

<つづきます>
2013-08-30-FRI