ほぼにちわ、中年陸上部の西本です。
今回は、シェフとべっかむ3には
ハーフマラソンに向けての自主トレを
しっかりしてもらっておいて、
わたくし、趣味でもある「駅伝」のことを、
この正月にやってみたいと思っております。
それは、
 
「箱根駅伝の全区間、全大学、全選手を
 総勢50人のカメラマンで撮りつくす」
 
というものです!
 
駅伝って面白いんですよ。
チームをつくって走っても楽しいし、
観戦しても面白い。
勝利のための戦略づくりやトレーニングのことも
知れば知るほどドラマチックです。
いつオリンピックの正式種目になるんだろうとすら
ぼくは思っているのですが、
それはさておき、駅伝の好きなものにとって
一年でいちばんもりあがるのが、お正月です。
 
なぜなら、箱根駅伝があるから。
 
もちろんこたつに入って
テレビ中継を見るのもいいのですが、
いろんなスポーツがそうであるように、
現場の空気というのはまた格別です。
ただ、球技など、一ヶ所で観戦できるものとちがって、
駅伝は、東京・箱根間を2日かけて往復する競技。
沿道で応援していても、
選手は一瞬で走り去って行きますし、
現場で「全貌」をつかむのは難しいんですね。
箱根駅伝の好きな人のなかには、
交通機関をうまくつかって、
要所要所に先回りして応援するという
つわものもおりますが、
「大勢で、各所にちらばって、
 それぞれがきちんと記録したものを集めたら、
 すごいドキュメンタリーになるんじゃない?」
ということを思いつきました。
 
その記録方法とは、写真です。
 
いまや、スマホのカメラ機能も高くなっている時代。
好きな人は、コンパクトなデジタルカメラ(コンデジ)や
一眼レフカメラ、あるいはクラッシックにフィルムカメラで
撮っている人もおおぜいいます。
だったら、カメラ好きの仲間を集めて、
箱根駅伝を撮ったらどうだろう?
 
そう考えたぼくがまず相談したのは、
写真家の菅原一剛さんでした。
というのも、菅原さんが部長をつとめる
「東京観光写真倶楽部」というチームがありまして、
2005年10月の活動開始以来、
東京のあちこちを「観光」しながら
写真を撮り続けているんです。
定期的に開かれる撮影会では
部員が街の中に散らばり、それぞれのペースで
観光しながら写真を撮影。
全員が撮影された写真は菅原さんがセレクト、
WEBやリアルな展覧会を通じて公開しています。
テーマは「築地」だったり「秋葉原」だったり、
あるいは「東京の離島」だったり。
その、新年のテーマとして
「箱根駅伝」をとりあげてもらえないかなあ?
と思ったのでした。
その話をしたところ、菅原さんは、
 
「駅伝! それは面白いかもしれないね。
 じつは、ある小説を読んで、
 駅伝にとても興味が湧いていたところだったんです」
 
という反応!
 
「1区から10区までのコースに
 東京観光写真倶楽部精鋭メンバーに散ってもらって、
 たのしく撮るというイベントは、できると思いますよ。
 けれど、それだけで『すべて』になるかどうかは、
 ちょっとわからないなあ‥‥」
 
わかりました。
そこでわたくし、中年陸上部がお世話になっている
文藝春秋のスポーツ雑誌「Number」編集部に
協力を要請しました。
もともと、箱根駅伝は「Number」さんにとっても
重要な取材対象。
もちろんプロのカメラマンが要所要所に配置されます。
彼らの写真と、菅原さん率いる「東京観光写真倶楽部」の
メンバーの写真が、
プロもアマも関係なく並ぶと、
テレビや雑誌、新聞では伝わらない
箱根駅伝の新たなドキュメンタリーができるはず!
そして「Number」編集部のかたからも
よい返事をいただきました、

[Number涌井さん]
ちょうど年末の12月20日発売号で
Numberとしてはじめて
10ページにわたる箱根駅伝の特集を組みました。
今回の企画もなんらかのかたちで
形にすることを考えています。
今回は弊社のスポーツカメラマン2名と
Number本誌でも活躍している
フリーランスのカメラマンの中でも
趣味で箱根駅伝を撮り続けていた方にも
「一緒に面白いことをやろうよ」とお声がけしたところ、
大好きな箱根駅伝を思いっきり撮影できる! と
みなさん、すごく楽しみにされているんですよ。(談)

ということで、
このちょっと無謀かもしれないプロジェクト、
発進いたします!


 




さてここからは、東京観光写真倶楽部のメンバーと
菅原一剛さんのミーティングのようすをおとどけします。
どんなことがおこなわれるのか、
読んでもらえたら、おわかりいただけると思います。


菅原さん (集まった東京観光写真倶楽部の部員を前にして)
東京観光写真倶楽部、
新年のプロジェクトを提案します。
それは「箱根駅伝」のドキュメントというか、
撮れるものを全部とってしまおう!
というものです。
じつはぼく、この企画、かなり前のめりなんです。
そもそもぼくは大阪の大学出身ですし
箱根駅伝は縁もゆかりもないのですが、
三浦しをんさんの『風が強く吹いている』

という箱根駅伝をテーマにした小説を読んで以来、
ここ数年、箱根駅伝を観戦するのを
正月の密かな楽しみにしていたのです。
そして箱根駅伝の時期になると
ガイドブックを買ってチェックするんだけど
ぼくも撮ってみたいと、つねづね思っていたんです。
そんなこともあったので「ほぼ日」さんから
この企画を聞いた時、
「それはやりたい!」と即答しました。
西本さんと話したのは、
「箱根駅伝の全区間、全大学、全選手を撮影しよう」
というものです。
ただ、ぼく一人で箱根駅伝の
全てを撮りつくすことはできません。
そこでこれまで40回以上、
一緒に撮影旅行に出かけて
いろんな街のアーカイブを撮り続けてきた、
東京観光写真倶楽部のメンバーにも
協力してもらおうと思ったのです。
実はここにいる、
東京観光写真倶楽部の部員の川北さんは
法政大学で箱根駅伝を目指していた
元長距離選手なんですよ。
選手の目線で箱根駅伝を語れて撮れる貴重な戦力です。
川北さん わたしも4年間法政大学で
箱根を目指して走ってました。
2年生の時にメンバーに入って走れそうだったのですが、
本番直前に故障してしまって走れませんでした。
箱根駅伝というのは
ぼくにとって永遠のあこがれの届かなかった世界。
いまだに夢で練習している自分が浮かんできます。
箱根が終わるとほとんどの選手が
競技から引退して社会人になります。
実業団に行く人は走ることが仕事になります。
同じ走るにしてもこれまでとは違う生活が待っている。
これが最後のレースという
せつなさを持ちながら走っている人が多いのです。
 
ほぼ日 これはよく聞かれることだとは思うのですが
箱根駅伝を走っている時、
選手はどんな気持ちなんでしょう?
川北さん 走っている選手に聞くと
「とにかく声援がすごい」と。
200km以上、絶え間なく声援が続くレースは
世界中見渡しても箱根駅伝だけです。
走っている選手は意外と
「今日の夕飯はなんだろう?」
とか考えていますが、
選手の調子によっては
覚醒レベルみたいなものがあって
集中力が高まって、
意識ははっきりしてるんだけど、
周りが静かに見えるときや
周囲が一枚もやがかかったような状態に入ります。
そういうとき、なぜか沿道の方と
波長があって目があうことがあるんですよ。
菅原 母校が箱根駅伝を走るとか、
家族や親類が走るという特別な方以外は
おそらく漠然と箱根駅伝を眺めていたと思うんです。
今回はせっかくの機会なのでガイドブックを読んで
撮影に望んでもらいたいと思います。
そこには箱根駅伝を走るであろう、
全選手のデータが掲載されてます。
事前に自分の区間を走る
選手の顔と名前を覚えておくだけで
選手が目の前に現れた時に
「きたーっ!」と興奮するはず(笑)
そうやって撮った写真は
漠然と選手をフレームに入れて撮った写真とは
絶対、違うはずなんです。
川北さん 走っている選手としては
「●●大学頑張れ」という声援も嬉しいのですが、
一番、選手がうれしいのは名前で呼ばれることです。
これは本当に力が出ます。
菅原さん 特にベースボールマガジン社のガイドブックには
趣味や好きな芸能人だけでなく、
勝負メシまで書いてある(笑)。
それを読んでいるだけで、
「この子は今朝も勝負メシのカステラを
 食べて走っているはずだ」
と思うだけで、選手との距離感が違ってくるはずです。
最終的には全ての写真をセレクトして
みんなで鑑賞ができるようにしたいと思ってます。
全区間、全大学、全選手の写真ですから
箱根駅伝は10区間20校200名の選手が走りますから
最低でも200枚ですね(笑)。
おそらく1000枚は超えることになるんじゃないかな。
プリントするだけでも大変なことになりそうです。
そして、みなさんが撮影してセレクトした写真は
Numberさんを通じて出場大学の陸上部にお送りして
選手に渡していただく予定です。
ほぼ日 とはいえ、ランナーを撮るには
それなりの準備が必要です。
ということで、強力な助っ人を用意しました。
数多くの箱根駅伝オタクの中でも一目をおかれている
通称「駅伝マニア」さんという方です。
 
  この方、毎年一人で箱根駅伝全区間、
全大学、全選手を写真におさめているんです。
ただ、2012年の箱根駅伝は10区の青山学院の選手だけを
取り逃がしてしまったそうで、
今度の箱根駅伝はリベンジに燃えているとのこと。
ですので、たとえ、みなさんが撮り逃がしたとしても
この人が最後の砦として撮影してくれるはずです。
部員 一人で全区間をまわるなんて
そんなことが可能なんですか?
駅伝マニアさん すべて地下鉄や電車の移動で可能ですよ。
2012年の移動はこうでした。

朝8時のスタートを大手町で見届けてから
ダッシュで8時3分大手町発の三田線を目指します。
選手が8時にスタートした瞬間に
ぼくの箱根駅伝もスタートするのです。
そして三田線の田町が5km地点。
ここはまだ集団で移動してます。
そして田町から川崎に移動して
3回目の1区をみます。
このあたりで先頭集団が
バラバラになったところを撮って
次は保土ヶ谷で2区をみます。
保土ヶ谷は2〜3区の中間地点くらい。
そして3区は藤沢、4区は大磯と
JRで移動しながら撮影していきます。
そして5区は小田原駅の近くに行きます。
3区か4区をあきらめれば
山に入ることもできるのですが、
箱根登山鉄道も乗車まで1時間待ち、
タクシーで行こうにも交通規制で入れないので
往路はここで終了。
部員 復路は箱根に泊まるのですか?
駅伝マニアさん 本当は箱根に泊まって
芦ノ湖からの6区のスタートも見たいのですが
まずは始発で箱根湯本までいき
徒歩で塔ノ沢という温泉街で選手を待ち構えます。
そこからは前日同様、7区大磯、8区藤沢と戻って
9区は新子安もしくは横浜駅前で見て
田町で10区アンカーの選手を撮影します。
そしてゴールの大手町に向かうわけですが
ゴール付近は歩けないほど人がいるので
選手の撮影は難しいですけれども
レース終了後には大手町のいろんな場所で
各大学の監督や選手が
OBや関係者に挨拶をするんですが、
これも箱根駅伝の風物詩のひとつ。
大手町まで来られる方は
ぜひご覧になるといいと思います。
 
菅原さん ということはsuicaのチャージは
ギンギンに入れておくべきなんだね。
駅伝マニアさん そこ、結構、ポイントです!
オトナチャージしておいてください。
ただ、ぼくの移動パターンでみんなが移動すると
全部同じ写真になってしまいます。
ですので、みなさんは一駅ずらしてもらうと
今回の企画の場合はいいかもしれませんね。
部員 電車の移動だけでなく、
駅からコースまでの移動が大変そう。
駅伝マニアさん 往路は先頭と最後尾の選手との差は
それほどでもないのですが、
復路は最後尾の選手が
なかなか来ないことがよくあります。
復路は駅まで走ることが多いです。
ですから、箱根駅伝では
ランニングシューズが必須です。
そして、長時間の移動も苦にならないように
機材も軽くしておく必要があります。
菅原さん それでは当日の装備や機材について
お話をしましょうか。
駅伝マニアさんのアドバイスを参考に
ぼくも箱根仕様で機材を揃えましたから。
 


長くなりました。次回「機材編」に続きます!

 

2012-12-29-SAT

 


取材・企画協力:日本写真学院 文藝春秋 Number編集部 東京観光写真倶楽部 PHaT PHOTO写真教室