HARUOMI HOSONO DREAM DIARY
タヌキの神様
夢を見た・・・

何かに追われている。
見知らぬ地方都市の、港にある市場へ迷いこむ。
今日は休日なのだろうか・・
人気のないだだ広い建物には、
魚介類が床に無造作に転がっていた。

なんだ? 変だぞ?
その中の大きな貝が攻撃的だ。
僕が歩いてゆく方向に回転するのだ。
やけに警戒心が強い貝だ。
そこを抜けてさらに広々とした場所に出ると、
今度は小型の雨蛙が一匹うろつきながら、
なにやら低い声で文句をブツブツ言っている。
今日はついてなかったのか、不満らしい。

そいつは侵入した僕を見つけると、
突如10メートルも先からジャンプし、
僕の手首にガバっと喰らい付くではないか。

しかし痛くはなかった。
なぜなら「あま噛み」だったからだ。

(2001/05/02)
イラストレーション:石井聖岳
解説
この夢も「Dream File 001『横山ノック』」と同じく
オチがある。
敢えて言うが、一連の夢は決して誇張していないし、
起きてすぐに記述する訓練が出来ているので、
見たままであって創作する意図もない。
だがこうして夢を綴っていくうちに、
つくづく自分がなんとふざけた人間なんだろうと思う。
よくマジメな人がそうじゃない人に
「ッザケンジャネエヨ〜!」と悪態をつくが、
悪態をつくような人間にはなれそうにない。

このごろのハローミ
先日山間部に蛙の鳴き声を聴きにいった。
聴きに行くべき音なのだ。
都心で鳴くことは滅多にない。
こんなに心が落ち着く声の持ち主は、
あんな様子の爬虫類なのだが、他人事とは思えない。
だってその昔、
さほど色っぽいわけじゃないが、
ある年増女性から
「電話でくどかれたいワァ〜」と
言われたことを忘れられない。
ッザケンジャネエヨ〜!


2006-09-14-THU
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