ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

このコラムのなかで、フランソワーズさんは
たびたび「ダンナ」について書くわけですが、
そこに出てくる「ダンナ像」はいつだって
「人物」というよりは「動物」のようです。
「個人」というよりは「その種の生き物全体」のようです。
コラムのなかで、「ダンナ」はしばしば
「こういう生き物なんだからしかたないよ」
という描き方をされてしまうわけですが、
不思議とそこには悪い印象がなく、
実際、「ダンナ」からの苦情もまったく来たことがない。
どうやらそれは、フランソワーズさんが
「妻」や「女性」という「生き物」の視点で
書いているからではないでしょうか。
いわば、このコラムはジャンルとして
「びっくり動物学」なのです。
そういえば、「イカ」とか、「しまうま」とか、
動物がたくさん出てくるもんなあ。
で、今日はどんな話題でしょ?



第三十八回
ネグリジェをほめる。
〜夫婦新時代の作り方〜

わたしが今、一番欲しいもの、それは
「ネグリジェ」!!

色は薄いベビーピンク。
シフォンのように柔らかい生地で
三枚くらい生地が重ねてあって
胸のところには薔薇のモチーフがあるような。
まさに「映画」に出てくるような「ネグリジェ」!

みなさん、「ネグリジェ」着た事あります?

わたしは、子どもの頃とお産の時の二回だけ着ました。
人生でたった二回よ!!
少な過ぎだろう、絶対。

それも、コットンの普通のカジュアルなやつ。

あーー、どうして「新婚旅行」の時にあのブリブリのやつ
着なかったんだろーー?
もう、大後悔よーー!!

あれさえ着てれば、「お姫様抱っこ」だって
していただけたかも知れないのに。

本当に重要なことって、誰も教えてくれないって思わない?
お産の時だって「後産」のことやら、「乳腺炎」のことやら
誰も教えてくれなかったから、当日びっくりしたもん。
まあ、「たまごクラブ」読んでなかった
わたしもいけないけど。

ていうか、こういう事って「口伝え」に
「伝承」していくべきことでしょ?
「母から娘に」「父から息子に」!
本当に、一体どうなってんだろうねー、日本の親は!

「ネグリジェ」って私たちの世代で着ませんよねー。
下手したら「パジャマ」だって着ないんじゃない?

だめよ!!
やっぱ、女は「ネグリジェ」です!!

わたし、先日子どもの学校の「野外活動」の説明会場で
ひらめいちゃったのよ!

持ち物の欄に
「ねまき(Tシャツに短パン)」って書いてあって
隣に座ったお母さんに
「ねえ、これ、ネグリジェ持たせたらダメ?」
とわたしが聞くと
「え? ネグリジェ? 久しぶりに聞いたわー」
と言って笑ったの。

そうか! 久しぶりなこの響き!
もしかして、
これってわたしの放っておけない「絶滅の危機」?

いや、待てよ。

そういえば、うちの母は昔、わたしが小さかったころ
薄い黄色のちょっとセクシーなネグリジェを
何故か着ていたぞ!!

あれは、何だったんだ?

子ども心に「何か変だ」とは思っていたけど
その頃、我が家は「亭主関白」な一家だったじゃないの!
もしかして、それって「父」のため?
きっと、そうよ!
母がまさか自分の趣味でそんなもん、
着るわけないんだから!
そんな人じゃない!

そういえばあの頃はよその家のお母さんもみんな
「ネグリジェ」を着ていた! しかも、セクシーなやつ!!

ちょうど戦前の古い親に育てられたわたしたちの親世代は
まだまだ、「亭主」に尽くすのが「女房」。
「色気のない女房はダメ女房」っていう図があったんです!
だから、5頭身のコテコテの日本人の母たちは
無理しながらも、変だと思いながらも
あんな「セクシーネグリジェ」を着てたのよ!

そういえば父のことを「あなた〜」って呼んでいました!
なにがあったんだ? あの頃の夫婦よ!!

で、わかったの。
「ネグリジェ」と「強い女」は反比例!!

要するに、女が強くなってから
「ネグリジェ」は衰退の一途を辿ったわけです!

よく考えてみたら、「ネグリジェ」なんて邪魔臭いもん
着てらんないわよ!! 起きた時、どうなってるかわかる?
とにかく、パンツ丸出しになって
100年の恋も冷めるんだから!

「男」のために着てたんだねー。
昔の女は亭主に寝起きを見せなかったのよ!
「鶴の恩返し」のように。
てことは亭主は「ヨヒョウ」だ!

時代が変わって
そんなこと、やってられない「自立した女」は
「ネグリジェ」を脱ぎ捨てたわけです!
「ウーマンリブ」ってやつ?

でも、わたしはこのやり方に異議を申し立てます!

だって、かわいいじゃん! 「ネグリジェ」!
「男」に媚びて、何か悪い?

それに最終的には
朝「パンツ丸出し」でガツンとやっつけるわけだもん
そのギャップって「パンク」じゃん!

「男と女」なんて敵になったり味方になったりしながら
持ちつ持たれつ生きていかなきゃ!

夜はかわいい「マイスイートハニー」も
朝はびっくり「シド&ナンシー」なの!
ステキ♪

こういう、ちょっとした「パンク」が生活に潤いを
与える物なのよ!
ね、「ネグリジェ」がどうしても必要でしょ?

「女」はどこまでいっても「女」。
それを上手く利用しなくっちゃ!!

万が一、自宅が夜中に火事になったとしても
あなたが「ネグリジェ」さえ着ていれば
ご主人も「男が立つ」ってものなのよ!
ご近所から絶対尊敬されるんだから!

「あちらのご亭主はさぞかし亭主関白だ!」
と、そんな噂が風に乗って、なにもしなくても
あなたは「いい妻」になれるの。

それに、ここらで「男」を立てないと
もう、日本はだめになるわよ!

毎日、ボロボロになって働く男たちのために
女は「ネグリジェ」の一枚も着て
「マドンナたちのララバイ」を歌ってあげなくっちゃ!
男なんてそんなことで、いくらでもがんばるのよ!
かわいいもんじゃない! でしょ?

そしたらもう「かみさん」なんて呼べないでしょ。
「ワイフ」よ「ワイフ」!!

わたしたちも、「かみさん」から「ワイフ」に
格上げしたいじゃない?
え? したくない?
うん、わたしも「ワイフ」だけはごめんだ。

とにかく、21世紀が求める
「新しい夫婦像」は「ネグリジェ」から始まります!

さあ、新しい時代の扉を開けましょう!!
「時代の鍵は女が握っている!」




そういえば、「絶滅種」を救いたくなるというのも
フランソワーズさんの
「動物学者っぽい」特長のひとつですね。
「びっくり動物学のシートン」ことフランソワーズさん、
来週はどんなものをほめてくださるのでしょうか。

イラスト:さとうみどり

2004-06-29-TUE


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