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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-03-28

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・漢字で女を書いて、又を書いて、
 その下に心を書くと「怒」になる。
 これは見慣れた漢字だが、この又の部分を口にすると、
 「恕」という文字である。
 ふだん、あんまり使われているのを見ない。
 さらに正直に言うと、ぼくは読み方についても、
 「じょ」だっけ?「にょ」だっけ?と自信がなかった。
 いま、ぼくが超付け焼き刃で『論語』を読んでいるのだが、
 そのなかに重要なことばとして出てくる。

 知ったかぶりはできないので、おそるおそる書き写す。
 「其恕乎。己所不欲、勿施於人」
 〈其れ恕か。己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ〉

 これは弟子の子貢が「たったひとことで、
 一生大事に持っているべきことばはありますか?」と
 孔子にたずねたときの答えだそうだ。
 「それは恕(思いやり)だな。
 じぶんがされたくないことを人にするなってことだよ」。
 それを知って、無学のぼくは「へーえ」と思うわけだ。
 いまの社会では、なんでも「愛」があればになってる。
 「愛」は「憎む」の意味も含んでいるから、
 なかなかあぶなっかしいことばだとは思っていた。
 他にも、古代から「仁」だとか「義」だとか「礼」だとか
 いろんなことばが残っているけれど、
 紀元前500年以上も前の孔子は、
 「ひとことといったら恕だな」とはっきり言ってる。
 「恕」は「仁を一歩進めて許すの意味を含んでいる」。
 超付け焼き刃論語読みのぼくは、かなりしびれた。
 「かっこいいぃぃっ!」と心が湧いた。

 いま机の上には、岩波文庫『論語 金谷治訳注』、
 100分で名著ブックス『論語 孔子 佐久協』、
 祥伝社新書『高校生が感動した「論語」佐久協』、
 『一気に通読できる完訳「論語」佐久協』、
 ちくま文庫『現代人の論語 呉智英』、
 三笠書房『「論語」の読み方 渋沢栄一』、
 中公文庫『孔子伝 白川静』などが置かれていて、
 あれこればらばらに読んでいるが、おもしろいんだよぉ。
 しばらく、本は、ここらへんばっかり読んでみようと思う。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「論語」がおもしろいなんて逆説に聞こえるのもおもしろい。


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