へなちょこ雑貨店。
一寸の虫の五分のたましい物語。

第27回 ブックカバー量産篇うらばなし1

毎度ご来店ありがとうございます。

12月24日は皆さま、
寒い中ご来店ありがとうございました。
ならびに「ほぼ日」編集部の皆さま、
クリスマス企画に参加させていただきまして、
本当にありがとうございました。

思いのほか読者の皆さまの出足が早く、
すっかりあわててしまい、
手際が悪くなりましたことをお詫びいたします。
なにしろ当日開店“後”にふと思い立って
「クリスマスなのに福袋」を
つくっている最中でしたもんで、
背後に視線を感じて振り返ったら、
まぶしいばかりのオレンヂとグレーが
目に飛び込んできたので、びっくりしてしまったのでした。

当日はオープン以来の大盛況(一瞬)でございました。
お陰さまで明日のお米とお正月のお餅が買えました。
20世紀の素晴らしい締めくくりとなりましたです。
どうもありがとうございました。

さて、この場を借りまして、
年末年始の営業のご案内をさせていただきます。
年内は29日まで平常営業、年明けは5日からとなります。
「正月なので福袋」をご用意してお待ちしております。
おせちに飽きたらへなちょこグッズということで、
どうぞご来店くださいまし。


開店以来(?)の店内盛況のようす

さて、ブックカバーをお買い上げの皆さま、
先日はご感想メールをありがとうございました。
お客さまに「ありがとう」と言われるヨロコビは
何ものにも代え難いものでございます。
「早速、今読んでいる『○○』に装着しました!」と、
ご愛読の書名を添えてくださった方が多く、
お人柄を想像して楽しませていただきました。
どうもありがとうございました。

そこで今回と世紀またぎの次回は
「ブックカバー量産篇」完成までのお話を
お届けいたします。
どうぞおつき合いのほど。

時はさかのぼってまだ残暑キビシイ9月の半ば。
「第18回 26初!オリジナルグッズ紹介」を
掲載させていただいたところ、
予想以上の反響をいただきました。
そこで単純なわたしたちの脳裏に
これは量産してみる価値があるのではなかろうか、
という欲望がよぎりました。
しかし、ひとくちに量産と言っても
ゴチョウ(本名)が家庭用ミシンを駆使して
生産するからには
それなりの期間とリスクが生じます。
ゴチョウの寝不足と疲労はさておき、
頼みの家庭用ミシンが壊れてしまったら
作業は先に進みません。

これはやはり専門の業者に依頼すべきだろうと思い、
例によって起業家向け情報誌「アントレ」の登場です。
じぶんたちの記事が掲載されている10月号を手に取り、
その巻末にある情報記事からA社を発見しました。
A社の宣伝文句は、
「あなたのお店のオリジナル商品を
 小ロットから製造いたします」
という、今のわたしたちにとっては
救世主のように思えるものでした。

アパレル系であるというA社の記事は、
「ショップの独自性を追求した商品を小ロットで生産」、
「1色2〜3枚からの発注が可能」などの
甘美な文句が続きます。
「ぜひ一度、詳しい話を聞いてみてください」と
結びの一文。

ではぜひ聞いてみようと思い、
さっそく電話をしてみました。
すると御大自らが出、すぐにでも詳しい話をしに
来店してくれるとのイロヨイお返事でした。

同時に、別件で関わりのあったジーンズ関係のB店にも
量産の相談をすると、
「心当たりの縫い場に聞いてみる」
という返事をもらえ、量産が現実味を帯びてきました。
そこで、せっかく量産するのであれば、
遠方にお住まいの方にもお届けするぜ!ってなことで
いきなり通販カタログの制作を始めることにしたのです。
フットワークがいいね、と言えば聞こえがいいが、
単なる単細胞の集まりであると。

この通販カタログは第24回で紹介させていただいた
「MEGAMOUTH」なんですが、この回でご紹介する前に、
じつは今までに「へなちょこ雑貨店」宛へご感想のメールを
くださった方にお送りしていたのです。
突然の「カタログいる?」メールに
早々にご返答いただいた皆さま、
その節はありがとうございました。

そのメールには「商品のリクエストなどあったらお願い」
という一文を加えており、
それによるとブックカバーをご希望の方が
たくさんいらっしゃることが分かりました。

これは、量産イケるぜ。

そう踏んだわたしたち。
まずはA社と詳しくお話することにしました。
電話をしてから2日とあけずにA社の社長自らがご来店。
ゴチョウがつくったブックカバーを見せると、
「(アパレル系ということで)今までにこういう商品の
 制作はしたことがないが、ぜひうちでやらせて欲しい」と
 意外なほど意欲的な言葉が飛び出しました。
ではまず早急にサンプル品を制作してくれるようお願いし、
同時に見積もりもお願いすることにしました。

B店には、ジーンズ関係のお店ということで、
デニムに関する細やかなご指導をいただきました。
しかも最小ロットも50と魅力的!
この時点ではあれほどの「ヒット商品」になるとは
予想できておらず、
「まぁ、最初は50ヶくらいつくってみましょうや」
という考えだったのです。
在庫を抱えては利益が出ない。
ここは謙虚にローリスク。

おお、おお。
いいぞ、この調子ならば、
A社かB店のどちらかにお願いして
第18回の掲載からさほど間をあけずに
量産報告ができそうな感じだわ。
ふんふふ〜ん。

ところが、どっこいいぃぃぃ。

皆さんはご記憶でしょうか。
ワタクシが悲しみに打ちひしがれていた第21回を。



そうです、店のiMacが壊れたんでした。
ある日のメールチェック時、「はた」と止まったカーソル。
「ああ、再起動しなくちゃ」程度の軽い気持ちで、
本体横にある「再起動用三角(オガワ命名)」を
ゼムクリップ改造スペシャルの先っちょで
突っついたところ‥‥。

「じゃぁん」といういつもの音とともに現れたのは
目にも恐ろしい「?」アイコン。

‥‥‥。

いや、これはきっとナニかの間違い。
もう一回ゼムクリップ改造スペシャルで突っつけば、
きっと目を覚ますハズだわ。

「じゃぁん」
やがて、
「?」。

「?」、じゃねぇんだよーっ。
なにが分からない? ナニが望みだ!
わたしがナニをしたっていうんだぁっ。

いやぁ、もう冗談はやめてさ、機嫌直してよ。
ごめんね、ごめん。
悪いところは直すからさ、仲良くしてよ、ね?
こすこす(さすってみた)。
かたかた(そうっとゆすってみた)。

「?」「?」「?」
点滅が許せん。
「ワカンナイ」、「ワカンナイ」と
何度も言われているようだぞーっ。
いやぁぁぁぁぁっっっ。

※数十回ひとりで繰り返し。

この日、あらゆるメール、商品リスト、
そして「へなちょこ雑貨店」の原稿などを抱え込んだまま、
きまぐれiMacちゃんは
長い眠りについてしまったのでした。
こうして「ブックカバー量産でがっぽり」の夢は
一歩近づいて、百歩遠のいてしまったとさ。

保存媒体をお持ちでないみなさん、
たとええらく叱られても、
メールで友だちにデータを送信するなどして
バックアップを取りましょうね。

*2000年は世紀末なのに、
 いろんな始まりの年になりました。
 2001年もどうぞよろしくお願いいたします。
 素晴らしい新世紀をお迎えくださいまし。

(つづく)

「MagneticPoetry」


英単語が
マグネットになっていて、
それを組み合わせて
「おやつは
冷蔵庫のなかです。
お母さんは
3時に帰ります」
という、メッセージを、
冷蔵庫に貼る。
米国では、 親子の
コミュニケーションは
このようにして
取られています。
これは、
そのマグネットメーカー
(専門メーカーがあるんだな) が生産した、
ミニチュア冷蔵庫
(扉を開くとちゃんと電気がつく)。
中に極小単語マグネットを、
アホほど詰め込みました。。

2000-12-29-FRI

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