へなちょこ雑貨店。
一寸の虫の五分のたましい物語。

第9回 買い付け報告 その1

どうも、お久しぶりです。
26 two-sixでございます。
ご来店ありがとうございます。

6月27日より7月7日までお店をお休みし、
米国は某州へと買い付けに行ってまいりました。
やっとのことで荷をほどき、
今まさに陳列を終えたところでございます。
お休みしている間にご来店いただいた方がいらしたようで、
ごめんなさい。
だからと言うわけではないんですが、
読者のみなさまへのお土産をご用意させていただきました。
当店までわざわざお越しのうえ、なにかしら、
へなちょこグッズをお買い上げいただけましたら、
へなちょこ土産を進呈いたします。
どうぞご来店くださいまし。
数に限りがございますのでお早めに、って、
一応書いておきますけども、
いつまでも残ってたらさみしいなあ。

ということで、
今回は今までの「26ができるまで」を一時中断し、
買い付けのご報告とさせていただきます。
実質7日間のへなちょこ紀行のスタートです。
オオタケ、オガワに加え、
28才にして2度めのプー太郎となった
ゴチョウ(本名。ダーリンの「誤釣生活」とは
関係ありません)の3人でお送りします。
ゴチョウは、当店内装工事の際に、
無償でシロウト棟梁と化した男であり、
今回は運転手にして荷物持ち、気はやさしくて力持ち。
学生時代から周囲に一目置かれ、
気分の良い夜はサックスを吹き鳴らす、
身長180cmのナイスガイであります。

そうそう出発の日、
オオタケは持病の扁桃腺をはらしておりました。
彼女の扁桃腺炎は、ひどい時は声がまったく出ず、
ものも食えなくなり、結果として
「扁桃腺ダイエット」に成功するというもの。
今回はそこまでひどくなかったものの、薬をあほほど持ち、
成田空港内の病院でも新たに薬をもらってくる始末。
わたしは、彼女の苦痛をよそに、
それを「知恵熱」と呼んでいます。
だって、お前は小学生かっていうくらい、
なにかしようって時に必ず、はれてんだもん。
海外に行こうという時、奥田民生さんのライブに行く時、
店を立ち上げた時もはらしてたっけなあ。

エニウェイ。
けっこうな旅行シーズンとも言えるこの時期に、
旅行会社に無理を言いまくってまで、
なぜこの日程で買い付けにでかけたのか、
から始めましょう。
それは、6月中には予算が組めず、7月以降では
店内の商品がなくなってしまうという理由からであります。

いやあ、そんなのはもちろん
建て前(にしてもナンですが)で、本当の理由は、
6月末の民生さんのツアー・ファイナル2日間アンド
7月12日の「Beautiful Songs」東京公演を
見たいから。
ライブとライブの「合間」に
買い付けに行きたかったのでありました。

さて、そんなわれわれを乗せた飛行機は
無事某州に着陸しました。
予算の都合上、ホテル代と飛行機代込みの
パッケージ・ツアーだったため、
現地に着くと「説明会」とやらが催されました。
堺マチャアキによく似た女性がしゃべる、しゃべる。
やれ、おみやげはここで買え、
オプショナル・ツアーはこれがオススメと
えんえん1時間近くも。
説明会が始まるまでにすでに2時間待たされており、
われわれが解放されたのはその日の夕方でした。
ウアホー。
限られた日数のうちの半日をなんだと思ってるのよう。
オオタケは扁桃腺炎のせいもあって不機嫌倍増。
で、初日終了。
時差ボケもあるし、明日は早朝から
スワップ・ミート(巨大フリー・マーケット)に
行く予定なので、レンタカーの手配だけ済ませて、
とっとと寝ることにしたのでした。

翌日の朝7時半に
シボレーのマリブ(もちろん左ハンドル)に乗って、
スワップ・ミートへ。
スタジアムの周囲をぐるりと囲む駐車場を利用して、
いくつものお店が並んでいます。
日本のフリー・マーケットのように
地べたに敷物を敷くのではなく、
どのお店もテーブルの上に商品を陳列し、
お店の人はもちろんイスに座っています。
そして、しっかりとしたテントを
セッティングしているのも、日本と違う印象を与えます。

すでに観光客の姿も多く、
これはうわさ通りだとわくわくして歩き始めたのですが、
まもなく、出店しているのが
「業者さん」と分かるものばかりであることに
気づきました。
商品のラインナップと物量が
個人のものとは考えにくいのです。
アロハシャツてんこもり、パレオてんこもり、
民芸品てんこもりなどなど。
日本でのフリー・マーケットのように、
個人が自慢のコレクションを披露しているような
お店を期待していたのに、
どうもそういうお店は見当たりません。
「お土産」を探すには楽しかったのですが、
特に「掘り出しモノ」と呼べるものには
出会えませんでした。
残念ですが、ここは早々に切り上げ、
わたしたちにとっての
「いつもの」買い付けに向かうことにしました。

やっと本題に入ると思いきや、わたしたちの買い付けって
エキサイティングな交渉が待っているわけではないんです。
そこでふつうに売っている商品を
日本でいくらで売れるか
「ざっと」計算して買うダケなんですね。
それは買い付けではなくて、買い物?

ただ、ふつうの観光ではおそらく
時間をさいてまで行かないであろうお店を回ります。
そこで暮らしている方たちが
「なんのギモンも感じずに」ふつうに使っているものを
探しに行くのです。
ふつうに売れており、使われている日用品で、
そのもの自体のデザインもいいが、
それ以上にパッケージのデザインがかっこいいもの、
とか、思わず腰が抜けてしまうような
あほあほプロダクツなど。

あえて、そこに「エキサイティング」があるとしたら、
「な〜んで、こんなモノが、こんなにふつうに!」
ということへのツッコミであります。
アメリカ人、真顔かい!って。
まあ、改めて申し上げなくても、
わたしたちが商品を選ぶ傾向は、
すでに「今日のへなちょこグッズ」で
お分かりいただけているかと思いますが。



そこで、さいしょにわれわれが向かったのは、
超・メジャーなアメリカ人御用達・
大手スーパー・マーケット。
ああ、だだっぴろいなあ。
土地が有るから基本的にどこの店も「平屋」ですね。
わたしたちの店がある「ジャンク・ヤード」が平屋なのは、
違う理由からだと思いますけども。
でかいのは店だけではありません。
それは日本では郊外の大型ホームセンターでしか
お目にかかれない大きさのショッピング・カート。
身長150cmちょっとのわたしがそれを押そうとすると、
どう見ても「ぶら下がっている」ようにしか見えないので、
ゴチョウにお願いすることにします。

このお店は以前も来たことがあるので、
わたしたちにとっての「定番商品」を見つけると、
さしておたがい相談もせず、「これどう?」とか、
「買うよね?」とかそんな会話だけで、淡々と進みます。
数量については、店に置ける数にも、
発送コストにも限りがあるので、ホドホドに。
今回の旅の目的のもうひとつは、
輸出業務をお願いする方との
ミーティングも含まれているので、
さほど物量を増やさなくてもオッケーのはずです。

バンドエイドや綿棒などの小物を
ぽんぽんとビッグ・カートに投げ入れます。
そして、見つけました。

その名も
「Professor Fluff'n Dust」
(フラッフン・ダスト教授)。

言ってしまえば、静電気を利用した
どこにでもある単なるハタキなのですが、
なぜ「教授」なのか。
それは、パッケージの紙にメガネと鼻を印刷してあって、
逆さにして見ると
「ひげ」をたくわえているようだからです!
あえて逆さまにして見て初めてこのハタキは
「教授」となるわけです。
「fluff」を辞書で引けば、
『けば、綿毛または、とるに足らないもの』とあります。
あえて、ここは教育問題に一石を投じるべく、
「とるに足らない教授」と訳しましょう。

一方、同じ場所に陳列されていた
ワンサイズ大きめの同様のハタキの名は「DUSTIN」

こちらは逆さまにしない状態で見ろ、ということらしい。
なぜか、タキシードを着たトリが印刷されており、
けば部分は教授と違って髪の毛のようです。
しかしタキシード着て、
髪をおっ立てるこたあ、なかんべえ。

これですよ、これ。
この「真顔っぷり」がたまりません。
そしてこの旅お初のレジへ。
カートにはカゴをセットしているわけではないので、
商品をすべてレジ台に乗せなくてはなりません。
底の方の商品を出すためには、背伸びをせざるをえません。
しかも、どういうわけかレジのお姉さんは
同じ商品が複数あっても、
たとえ、それらをまとめて置いたとしても、
いっこいっこバーコードを通す。
つまり、数量をかけ算してくれないので、
えらい時間がかかるし、
もんのすごい長いレシートになってしまいます。
でも、いつものことなのです。
そしてほぼ100%、
長いながーいレシートをわたしたちにくれる時、
ほほえみながら片方のまゆ毛を上げてみせてくれます。
「やれやれ」と。
いや、そんなにレシートが長い原因は、
あなたとわたし、両方にあるのじゃないかい?
しかしそこはこちらも
ジャパニーズ・スマイルで対応。
もうひとつ日本のスーパーと違う点は、
レジのお姉さんが袋に入れてくれること。
てれてれのビニール袋にぼんぼん投げ込んでくれます。
袋が切れるんじゃないかと、内心でハラハラしながらも、
われわれはそれを
またしてもあいまいにほほえんで
受け取って、終了です。

とまあ、こんな具合でお話が進むのですが、
よろしいでしょうかねぇ?

(つづく)


※文中、太字部分は、編集部へなちょこ番によって、
 施されたものです。



「戦利品 その1」
ウワサの
プロフェッサー
Fluff'n Dustと、
ミスターDustin。
パッケージを
取ってしまうと、
ふつうのハタキ
なんですけどね・・・。

2000-07-13-THU

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