SAITO
もってけドロボー!
斉藤由多加の「頭のなか」。

マック回帰への日々 その8
成人おめでとう、マッキントッシユ君!!
(プレゼントの詳細発表です)

*プレセント募集は終了いたしました。
 たくさんの御応募、ありがとうございました。

突然ですが、今回は拙著『林檎の樹の下で』の
引用からはじめます。

 

「フットボールの全米チャンピオンを決定する
「スーパーボウル」は、
全米に放送されるテレビ番組の中でも
最も視聴率が高いと言われる。
1984年1月22日、ワシントン・レッドスキンズと
オークランド・レイダースによって行われた
「スーパーボウル」の生放送中のCMから
マッキントッシュ発表の火蓋は突然切って落とされた。

「諸君、我々を阻む者はいなくなった。
 我々は世界を支配するのだ」
 
画面中央にそう独演する支配者が現れ、
その前には囚人のような姿をした人間たちが
無表情のまま座らされている。
演説は延々と続く。
SFに登場するコンピュータ管理社会
さながらの映像である。
ここに突如として若い女性が
看守を振り切って走り寄ってくる。
勢いをつけて手に持った大きなハンマーを
支配者に向かって投げつけると、
爆発とともに次のようなテロップが流れてくる。
「1984年1月24日、アップル社は
 マッキントッシュを発表いたします。
 そして我々は、今年1984年が小説『1984』に
 描かれているような年にはならないということを
 お目にかけましょう……」

1984年、アメリカはロスアンゼルスで
オリンピックの開催が間近に迫っていたが、
同時にアメリカのアーティストたちが鎮静化されていた
「自由」と「解放」をテーマに、
多くのパフォーマンスを繰り広げた年となった。
ジョージ・オーウェルが1948年に描いた未来小説
『1984』に引っかけてのことである。
アップルのこのCMも、
「ビッグブラザー」と呼ばれる独裁者を中心とした
管理社会を描いた、この小説がモチーフとなっていた。
そして、同じモチーフが用いられていたこのCM映像は、
企業の製品広告と呼ぶには、あまりに大胆なものだった。
CMの中に、新製品の姿はどこにも出てこないのである。

このCMの監督には、映画『ブレードランナー』を
1982年に発表したばかりの
リドリー・スコットが起用されていた。
『ブレードランナー』は、レプリカントと呼ばれる
人造人間の人間社会における苦悩を描いている点で
『1984』と似ている。
同じスーパーボウル内では、
チャップリンを起用した
IBMの個人向け新機種「PCジュニア」の
CMも流されていたが、
およそパソコンのCMとは思えないこのアップルの
『1984』には、放映終了後
多くの問い合わせが集中することとなっただけでなく、
後にカンヌで賞を受賞するというおまけまでもたらした。

このCMの中に出てくる独裁者
「ビッグブラザー」は、
業界内においてビックブルーと呼ばれている
IBMを比喩していることは明らかだった。
IBMの大型コンピュータの
集中管理を官僚制にみたてて、
それをまっこうから否定するCMとなったわけである。
パーソナルコンピュータが、
こういった支配から人類を救うというわけだ。
さらに、実際に発売された際の
マッキントッシュのキャッチコピーは
「The Computer For the Rest Of Us」、
意訳すれば
「残された人類のためのコンピュータ」とされていた。

結局、マッキントッシュのプロモーションに
注ぎ込まれた広告予算は
最初の百日間で1000万ドルを越えたという。

1月24日、世界同時発表という謳い文句の
アップルの新機種発表は、
時差の関係からまず日本で幕が上がった・・・

(以上引用おわり 本書に関する情報はこちら)


以上が、今からちょうど20年前に起きた
マッキントッシュのデビューの瞬間です。
1986年の秋、
僕がはじめて個人所有するためのコンピューターに
マックを選んだのは、
創業者スティーブ・ジョブスという男が醸し出す、
傲慢ともいえるほどのビジョンに惹かれてのことです。
それから10年間、アップルは僕を
いつもわくわくドキドキさせ続けてくれました。
そしてある日僕は会社を退職し、
ソフト会社をはじめることにしました・・。

いまこの原稿を書いているマックが
通算何台目になるかは、数えたことはないし、
どれだけの原稿や、
そしてものにならずじまいにおわった企画書を
書いてきたのかもわかりません。
マック、マック、と騒いだところで
所詮ただの機械にすぎませんし、
わくわくがなくなって、
VAIOに浮気していた時期もあります。
ですがひとついえること、それは、
(かつてのアップルのCMコピーにありましたが)
マックのおかげで人生が
かわってしまったということでしょうか。

前回に予告しましたとおり、
そんなマックへの感謝の気持ちをこめて、
はがきサイズのステッカーを作ります。
これを、「ほぼ日」の読者のかた200名さまに
プレゼントしたいと思います。
ご希望の方はこのページの下にあるフォームで
ご応募ください。
デザインは、こんな感じです。
年末まで使っていただけるよう、
すこし頑丈な素材でつくることにしました。



「自分もマック20周年を祝いたい」という企業の方、
個人の方、裏原宿のTシャツ屋さんなどが
いらっしゃったら、
どうぞ、このデザインを使っていただいて結構です。
シールなどにして製品などに貼ってくださればなお光栄です。

どこかでこのマークを見かけることがあったら、
「ほぼ日『斉藤由多加のあたまのなか』の
 読者の人がやっているんだな」
などと思ってください。その人はきっと、
ちょっとかわっていて、
それでいていい人に違いありません。



締め切りは、2月1日(日曜日)。
発表は発送をもってかえさせていただきますので
どうぞ御了承くださいませ。
なお、ステッカーは、バレンタイン・デイ前後の
発送をめざし、現在製作中です。
ちょっとお待たせしてしまうことになりますが
御容赦くださいね。
たくさんの御応募、お待ちしています!

*プレセント募集は終了いたしましたので
 応募フォームは外させていただきました。
 たくさんの御応募、ありがとうございました。


斉藤由多加さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「齋藤由多加さんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ろう。

2004-01-26-MON

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