SAITO
もってけドロボー!
斉藤由多加の「頭のなか」。

第10回 ゲームの話その3
第6回のつづき)

で、この「シーマン」なるゲーム、
まだろくに宣伝をしていないのですが、
セガのBBS( www2.sega.co.jp/bbs/ )では
大変な議論をかもし出しました。
「ああいうの大スキ!!!」
「いや、気持ち悪い!」
「俺はぜったいに買う!!」
「死んでも買わない。どこがいいんだ!?」
「あんなものがいいというセンスを疑う」
それはもう、まっぷたつです。
でも、そんなのぜんぜんいいんです。
嫌いな人は嫌いでいいんです、このソフトは。
なぜかというと、このシーマンは、
「どうぞ、大好きになってください。
 あるいは、どうそ、大嫌いにもなってください」
というコンセプトつくっているから。
これは、どういう意味かというと、
「ただし、無関心ではいてほしくない」
という切なる気持ちがあるわけです。

かつて、同僚で、犬猿の仲だったふたりの男女が
突然、婚約しました。
「な、なんで、あんなに仲の悪い二人が結婚するんだ!?」
そう口走った僕に、
一人の先輩がこういったのです。
「アホ、斎藤。よお覚えとき。
 『好き』の反対は『嫌い』やないで。」
「はっ? じゃ何ですか? 『好き』の反対は?」
「『無関心』や。『好き』の反対は『無関心』や」
そういったのです。
10年以上たっても覚えているくらい、
インパクトのある言葉でした。
たしかにあのふたり、
無関心なんて、とんでもないくらい、
しょっちゅう喧嘩してました。

「2001年宇宙の旅」に対する批評家の評価が
賛否両論まっぶたつに分かれたとき、
キューブリックさんは一言、こういいきったそうです。
「でも無関心な批評家はひとりもいなかった……」

いまつくっている人面魚のソフト。
最初はギョってしてください。

どうぞ、嫌ってください。
でも、気にしてください。
そのうち、それが奇妙な愛情に化学変化するように、
いま作っています。
(「シーマン」はまだ発売しておりません。
くわしくは www.vivarium.co.jp へ)

1999-04-05-MON

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