hawaii
ほんとうにほんとのハワイ。

■Vol.43 ハワイの宗教
Ho'omanamana - Kahuna
ホオマナマナとカフナ Part1


ハワイの古代宗教は最近、
“huna(フナ)”という呼び方をされ、
一部の人たちの注目を集めているようです。
ところが、フナというのは正しい呼び名ではありません。

昔、ハワイでは宗教を指して
「高潔な、聖なる」という意味の言葉“pono(ポノ)”、
あるいは「礼拝、崇拝」のようなことを意味する
“Ho'omanamana(ホオマナマナ)”と呼んでいました。
基本的にこれらの言葉が示してるのは
人生におけるバランスと調和。
それは人間が本質的に
魂とつながっていることを意味しています。

Kahuna(カフナ=ハワイ古代宗教の僧侶)は
生きているものの中にある3種類の魂を
見ることができたといいます。
それらの3種の魂とは、
Unihipili(ウニヒピリ)“潜在意識”、
Uhane(ウハネ)“霊的な魂”、
Aumakua(アウマクア、これは前に
ご紹介した守り神とは別の意味です)“陰と陽、
男と女など、相反するものが成す調和”。
これら3つの魂のバランスこそが、
カフナが秘術を施す上でいちばん大事なものです。

古代のハワイでは、魂の世界と肉体のある現実世界は
それぞれ密接に関わりあっていると考えられていました。
カフナはそのふたつの世界が持つ力を呼び、
融合させることのできる専門家でした。
カフナには何百もの種類があって、
細かく専門が分かれています。
すべてのカフナはそれぞれの専門分野において
ふたつの力を融合し、術を行っていたというわけです。

ほとんどの土着文化がそうであるように、
昔のハワイ人たちも超自然的なことを信じていました。
そして、常人にはできないことを行う
特殊な力を持ったカフナは、
当然社会的にも高い地位に就いていました。
己の精神を無にし、強大な力を操る
カフナになるためのトレーニングは非常に厳しく、
通常20年以上の修行が必要だとされていました。
カフナは普通、単独で働きますが、
何人ものカフナが集まって術を行えば、さらに
力が強化され効果的だということが分かってからは、
グループで術を行うこともあったようです。

カフナは古のハワイにおいて、
特別に研ぎ澄まされた感覚を持った賢者でした。
彼らはハワイの言葉をつくりだし、
さらにそれだけでなく、カフナたちだけにしか分からない
特別な言葉もつくり出しました。
その言葉は、もとの単語になにかの音を付け足したり、
少しだけ変えたり、または同じ単語に
まったく異なる意味を持たせたりして
とても複雑につくられていました。
つまり、カフナ同士は自由に会話できるけれど、
普通の人にはさっぱり分からないという言葉だったのです。
カフナという語はハワイの僧侶を指しますが、
深くは“秘密を守る人”を意味しています。
彼らは術の秘密を守ることに
細心の注意を払っていたわけです。

カフナたちは食餌療法や、呼吸法、運動法について熟知し、
精神の力をもってすれば
すべてのものを思いのままにできると信じていました。
何百年もの間、ハワイではカフナの超人的な術が
ずっと行なわれ続け、彼らは未来を予知し、
天気に変化をもたらし、病を治し、
さらには人の心を読んだり、
テレパシーを使ったりもしていたといいます。
そしてときには、呪いの力で
敵を死に至らしめることさえも実際にやっていたのです。

2000-11-07-TUE

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