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ほんとうにほんとのハワイ。

■Vol.29 ハワイの伝説
Menehune メネフネ Part2


実は、私の父は子供のころ、
メネフネに会ったことがあります。
これはすごく有名な話なのです。
ただし“うちの家族の間では”なんですけれど。
私たち姉妹は小さいころその話を聞くのが大好きでした。
私たちは何度も何度も同じ話をせがみ、
父はその度に、もっと面白くしたりドラマチックにしたり、
話を脚色してしまうので、
私たちもいちいち怒ったり笑ったりしたものです。
いま思うと、きっと父も同じ話を何度もするのに
飽きてしまったのでしょう。
もちろん、父は私たちにそんな素振りを
かけらも見せたりしませんでしたが。

いつも私たち姉妹は父のベッドによじ登り、
“お父さん、あのメネフネのお話をして!!”
とおねだりしました。
すると父はきまって、
なんのことかさっぱりわからないという顔で
“メネフネの話ってなんだ?
 一体どんな話だったっけな?”と答えます。
私たちがジタバタして“お父さん!!”と叫ぶと
ようやく父はうれしそうに笑いながら
“ああ、あのメネフネの話か!”と思い出したふりをして、
お話を始めてくれるのでした。

さて、その父のストーリーとは、こんな内容でした。

父が7歳か8歳くらいだったある日の夜。
父はリビングルームに座ってラジオを聴きながら
従兄が遊びに来るのを待っていました。
そのとき、父は誰かが
ドアを軽くノックする音を聞きました。
きっと従兄が来たのだと思った父は
玄関のドアを開けに行きました。
ところが、ドアを開けるとそこには誰もいない。
聞きまちがいだと思った父は、
またラジオを聴きにリビングへ戻りました。

すると、父が座った途端に、
また“トントン……”とノックする音。
今度は、従兄がいたずらしてるんだと思った父は、
ドアを開けて外の暗やみに向かって怒鳴りました。
“アーノルド! そこにいるのは分かってるんだ。
 いたずらをやめないと、お祖母ちゃんに言いつけて
 ドアにカギをかけちゃうぞ。
 そしたら、お前は中に入れないんだからな!!”
父はドアを閉めると、
ドアのすぐ横に立ってアーノルドを待ちました。
彼が入ってきたら、いきなりタックルしてやろうと
待ち構えていたのです。

何分か待ったのですが、
アーノルドが入ってくる気配はなく、
かわりにまた、“トントントン”。
考えた父は、ドアを開けずに
ドアの横にある小さな窓から外を確認しようとしました。

そうしたら、家の前にある橋の上を
アーノルドが自転車に乗って
こちらに向かってくるのが見えたのです。
いたずらして逃げ出すところではなく、
こっちに向かっている……。
父は、わけが分からずドアを開けました。
父の姿を見つけたアーノルドは
うれしそうに手を振ったのですが、
次の瞬間、ピタッと止まってしまいました。
さらに彼は、驚きに目を見張ったかと思うと、
自転車の向きをクルッと変え、
もと来た道をすごいスピードで
帰っていってしまったのです。

父は何が起こったのか分かりませんでした。
アーノルドがノックしてたのではないとすると、
一体誰が……?
それに、彼は何にビックリして
逃げ帰ってしまったんだろう?

父は、ふと足元に視線を落としました。

するとそこには、なんと、
とても小さな男の人が立っていたのです……!
父の膝ぐらいの背丈の彼は、
父を見上げてにっこり笑いかけています。
男の人は上半身裸で、マロという
ハワイの伝統的な衣装を身に着けていました。
髪は短く刈り込まれ、小さいながらも
均整のとれた立派な大人の体つきをしています。
そして、彼は優しそうな眼差しで、
父を見つめて微笑んでいるのです……。

<To be continued>

2000-09-02-SAT
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