4)意見

■1.虐待の防止(1)行政による保護等(1頁)
[意見]
都道府県等の動物愛護担当部局と警察が、
環境省に事件内容が虐待に該当するか照会し、
虐待に該当する恐れがあるときは、
警察を同行の上、立入り検査をして
動物の安全の確認と確保に必要な措置をとるように、
虐待を取り締まる責務と手順を法に定める。

[理由]
行政には強制的権限は一切なく、
また、警察は動物愛護法に精通していません。
そこで行政に司法警察権を与える方法もありますが、
危険との見解もあって叶いそうにありません。
上記の連携モデルは
現場レベルで実践されたこともあるケースなので
検討を求めます。

■1.虐待の防止(1)行政による保護等(1頁)
[意見]
問題事例の受付窓口を、環境省に設置する。
[理由]
警察が動物愛護法に精通していないことが、
虐待事件の解決と防止に支障になっていますが、
すぐに改善できることではありません。
また、自治体の職員にも同じことが言えます。
当面は虐待事例を最もよく熟知している環境省が窓口となり、
警察や自治体の活動が円滑に進むようにするべきだと思います。

■1.虐待の防止(1)行政による保護等(1頁)
[意見]
立入り又は調査を拒み、妨げ、
忌避する所有者や動物取扱業者に対して、
一定の条件を前提に裁判所の許可状によって、
都道府県等が臨検と捜査及び動物の一時保護ができるよう改正する。

[理由]
特に緊急性が必要な場合は、
児童福祉法及び児童虐待防止法を参考に、
一定の条件を越える悪質性がある場合は、
緊急的に行政に司法警察権を与え、
臨検と捜査及び動物の一時保護を定めることを求めます。

■1.虐待の防止(1)行政による保護等(1頁)
[意見]
虐待が生じる前に未然に相談できる体制を整えるために、
都道府県等の動物愛護担当職員等、
動物の愛護に業務上関係のある者及び団体及び警察は、
動物の虐待の早期発見に
努めなければならないことを法律に追加する。

[理由]
動物虐待の防止の実効性を上げるには、
行政の動物愛護担当職員だけでは限界があります。
そこで、実際に運用実績がある児童虐待防止法第3条で定めている
「国及び地方自治体の虐待の予防及び早期発見の責務」を参考に、
警察や検察等も含めた動物虐待の改善及び防止体制の整備と
その責務の明確化を求めます。

■1.虐待の防止(2)取締りの強化及び罰則規定の見直し(2頁)
[意見]
虐待の定義を法律上で、具体的に列記して規定するべき。
1 愛護動物にみだりに給餌又は給水をせずに衰弱させること。
2 愛護動物の傷病を治療せず、みだりに放置すること。
3 愛護動物の生命に支障をきたす
  またはその恐れのある行為もしくは環境で飼養すること。
4 愛護動物の身体に支障をきたす
  またはその恐れのある行為もしくは環境で飼養すること。
5 愛護動物の精神に支障をきたす
  またはその恐れのある行為もしくは環境で飼養すること。
6 愛護動物の大きさ・生態等に対し、正当な理由なく、
  日常的な動作を妨げるような狭い空間で飼養すること。
7 愛護動物の母体に過度な負担をかけ、
年に複数回又は未熟な個体に繁殖させること。
8 愛護動物を保護する責任のある者が遺棄し、
またはその生存に必要な保護をしないこと。
9 愛護動物に不必要な暴力をふるい、
または不必要な行為により恐怖を与えること。
10 その他愛護動物の生命及び身心に支障をきたす
  または恐れのある不作為で不要な苦しみを与えること。

[理由]
取り締まりの実効性を高め、積極的な摘発を促し、
虐待行為を確実に処罰するためにも、
動物愛護法の中で定義を
具体的に10項目前後で規定することを求めます。

■1.虐待の防止(3)闘犬等(2頁)
[意見]
・闘犬・闘牛・闘鶏等を禁止するべきです。
・行事開催者の動物取扱業者登録の義務化に賛成です。
・行事には獣医師を配置することを義務化するべきです。
・都道府県等の動物愛護担当職員を監視員として配置ことを義務化する。

[理由]
すでに一部の自治体の条例で禁止されている通り、
現代の倫理観に照らせば社会的に許容せざるものです。
動物のせり市の主催者を動物取扱業者として取り締まるのであれば、
動物の闘いを見せる目的で人を集める闘犬等の主催者も
動物取扱業者として取り締まるべきです。
また、少なくとも虐待行為を監視する体制は最低限必要です。

■2.多頭飼育の適正化(2頁)
[意見]
多頭飼いを未然に防止するために、
第25条に「生ずるおそれがあると認められるとき」
及び「発生の防止のため」を追記する。

[理由]
多頭飼い崩壊では迅速な対応ができないことが、
常に課題になります。
生じてからだけではなく、
生ずるおそれがある場合でも、
迅速に問題の発生を防止できるよう、
現行の勧告及び命令が機能するように改正することを求めます。

■3.自治体等の収容施設(3頁)
[意見]
収容施設の施設及び管理に関する基準を示すことに賛成です。

[理由]
施設の背景によって現状は様々ですが、
特に、温度や湿度管理、給餌方法、衛生状態など、
動物が最低限保障されるべき住環境等については
全国一律の基準が必要だと思います。

■3.自治体等の収容施設(3頁)
[意見]
第40条に
「都道府県は、幼齢・老齢動物、負傷動物については、
 少なくとも麻酔薬併用による殺処分とする」よう改正する。

[理由]
第25回中央環境審議会動物愛護部会議事録において、
日本は国として
「(幼齢・老齢動物には)二酸化炭素での処理方法というのは、
 おそらく安楽死ではな い」と認めています。
日本は安楽死ではない方法と認識した上で、
動物を殺処分しているということです。
現在、全国47都道府県の自治体のおよそ半数が、
自主的な取り組みで
「炭酸ガス一部麻酔使用」に取り組んでいます。
都道府県自治体に関しては、国として認識している
「幼齢動物、老齢動物、負傷動物には、
 少なくとも麻酔薬併用による殺処分とする」は可能です。
よって、都道府県については第40条に明記することを求めます。
その他の自治体や即時性が困難である場合は、
経過措置を設定してもよいでしょう。

■3.自治体等の収容施設(3頁)
[意見]
第35条を「引き取らなければならない」から
「正当な理由が認められる場合、引き取ることができる」に改正する。
加えて、同条の項に都道府県等の努力義務を追加する。

[理由]
本来、引取りは緊急避難的措置です。
現在の条文を根拠にして、飼養放棄者への教育、説得といった
引取りを防止する努力をせずに引き取ることは本末転倒です。
そのため、正当な理由が認められ、
やむを得ない事情が確認できる場合に引取りできるように改正し、
かつ、その確認や説明の努力義務を追加するよう求めます。

■3.自治体等の収容施設(3頁)
[意見]
個人及び法人が二回以上動物の引取りを求め、
それを引取らなければならない場合は遺棄と定義し、
第44条第3項の罰則に処する。
[理由]
日本における動物行政で本来、
最も問題なのは動物の飼養を放棄する人です。
収容された動物のじつに85%もの高確率で
殺処分されている現状を踏まえれば、
一度ならず二度以上引取りを求めてくる飼養放棄は遺棄に値します。
第44条3項と同様の罰則に処することを求めます。

■3.自治体等の収容施設(3頁)
[意見]
第35条第2項を
「所有者の判明しない犬またはねこの引取りを拾得者その他の者から、
 駆除目的で引取りを求められた場合は引取りしてはならない」と改正する。

[理由]
処分(殺処分及ぶ譲渡等)の85%が殺処分である現状では、
都道府県等による引取りは、
ほぼ間違いなく殺処分であると言わざるを得ません。
第35条第2項 の規定は
「駆除目的での殺処分を社会的に行うこと」を意味し、
動物愛護の精神に著しく反する規定です。
譲渡が保障される体制になるまで、
引取り対象から除 外することを求めます。

■3.自治体等の収容施設(3頁)
[意見]
第35条に「所有者の判明しない犬またはねこ」は
都道府県等及び警察署で、
最低2週間保管するよう規定する。

[理由]
「飼い主がいると思われる犬またはねこ」は
収容施設だけではなく、
警察署へも引き渡しができ、その場合は2週間処分されません。
しかし、同じ「飼い主がいると思われる犬またはねこ」が
収容施設に持ち込まれると
「飼い主がいない犬またはねこ」と同じように
狂犬病予防法に基づき、
2日間公示されその満了後1日以内に
引取りがない場合は処分されてしまいます。
動物愛護に則る収容施設の方が、
設備がない警察署よりも短い期間しか
譲渡または返還の機会が与えられない現状は
正さなければなりません。

■3.自治体等の収容施設(3頁)
[意見]
所有者の判明しないねこ等及び生後90日以内の子犬
(生後90日を経過した犬及び牛、
 馬、めん羊、山羊、豚、鶏及びあひるを除く)は、
狂犬病予防法 6条の抑留に関する事項の適用外であるため、
動物愛護法において都道府県等は告示期間3ヶ月、
少なくとも遺失物法施行令3条2項に基づき
最低2週間は設け ると定める。

[理由]
狂犬病予防法6条の8及び9に基づき、
2日間の公示期間満了後1日以内に引取りがない場合は、
処分されています。
しかし、同法2条の適用範囲では、
6条の抑留の適用は犬のみに限定されており、
ねこ等及び生後90日以内の子犬には適用されません。
都道府県等の条例や国の通達で慣例として、
ねこ等も処分されてしまっていますが、
このような公示期間の実態は、
ねこ等に関して言えば明らかに違法です。
この状態を整理するために、
ねこ等に関しては動物愛護法において
遺失物法に則り、公示期間3ヶ月、
少なくとも遺失物法施行令3条2項に
規定される動物の場合の条項にある2週間は
処分されないように改正しなければなりません。

■3.自治体等の収容施設(3頁)
[意見]
「第4章 都道府県等の措置」に、
譲渡事業の義務化を追加する。

[理由]
未だに譲渡活動をまったく実施していない自治体があります。
殺処分はして譲渡事業はしないというのは愛護ではなく、
ただの動物管理行政です。
最低限、努めるよう法律で義務化することを求めます。

■4.特定動物(3頁)
[意見]
「特定動物の飼養又は保管の方法の細目」に、
動物の生活環境保全に関する事項を追加する。

[理由]
上記細目には、動物の生態や習性等に配慮した生活環境の保全が、
まったく記されていません。
これでは特定動物の生活は保障されていないに等しい状態です。
家庭動物や展示動物の「飼養及び保管に関する基準」と同じように、
動物愛護管理法に則った動物の健全な飼養の基準の追加と管理を求めます。

■5.実験動物の取扱い(4頁)
[意見]
登録制にするべき。

[理由]
現在は自主管理体制であるため、業界主導で管理しており、
実験動物の現状が不透明です。
現に文部科学省や厚生労働省等の基本指針等を、
適用していない施設が存在します。
実験施設及び実験動物生産販売業者を登録制として、
記録の保管及び情報開示を義務化することを求めます。

■5.実験動物の取扱い(4頁)
[意見]
自治体による立入り検査等の際は、専門家を同行させる。
[理由]
専門的知識が要求されるため、
自治体の職員では判断が困難であることが想定されるため、
専門家を同行して実施することを求めます。

■5.実験動物の取扱い(4頁)
[意見]
外部査察を義務化する。

[理由]
実験動物業界は自主的管理のレベルに留まっていますが、
先進国で業界主導管理なのは日本ぐらいしか見当たりません。
自主的な組織による監視ではなく
第三者による客観的な監視制度を求めます。

■5.実験動物の取扱い(5頁)
[意見]
実験施設及び実験動物生産販売業者を動物取扱業に含むべき。

[理由]
人の飼養する動物はすべて動物愛護法の対象であり、
現在の動物愛護の理念では、
実験及び産業動物も福祉が保障されなければなりません。
2010年の国際獣 疫事務局(OIE)で
畜産農業及び実験動物を動物福祉向上に含む綱領が
制定されたことを受け、
日本がこの規約を無視するわけにはいきません。

■5.実験動物の取扱い(5頁)
[意見]
第10条の「動物」につく(  )内の定義条件を削除し、
実験施設及び実験動物生産販売業者も、
動物愛護法の適用を受けるように改正する。

[理由]
人の飼養する動物はすべて動物愛護法の対象であり、
現在の動物愛護の理念では、
実験及び産業動物も福祉が保障されなければなりません。
2010年の国際獣 疫事務局(OIE)で
畜産農業及び実験動物を動物福祉向上に含む綱領が
制定されたことを受け、
日本がこの規約を無視するわけにはいきません。

■5.実験動物の取扱い(5頁)
[意見]
第41条第1項の「配慮するものとする」を
「利用しなければならない」とする。

[理由]
現行法では3R(代替法、使用数削減、苦痛軽減)のうち、
第2項で苦痛軽減しか義務化されていません。
代替法と使用数削減は、努力目標に留まっています。
これでは原則すら義務化されていない野放し状態と変わりません。

■5.実験動物の取扱い(5頁)
[意見]
実験施設及び飼養施設に、実験動物監視者として獣医師を選任し、
常時配置することを義務づける。

[理由]
2010年に国際獣疫事務局(OIE)によって、
実験動物福祉に関する国際綱領が制定されたことを受け、
実験動物に携わる獣医師の役割の重要性が高まっています。
自主規制による運営を実施しているのであれば、
少なくとも、実験動物が人道的な取扱いを保障される環境を
担保するために、
飼養、保管、外科的措 置、麻酔等苦痛軽減処置等において、
獣医師を選任し、常に監視及び助言を受けられる体制にすべきです。
同じ自主規制であるアメリカにおいても、
獣医師の選任は法制化されています。
なお、実験動物技術者では監視になりませんので除外します。

■6.産業動物の取扱い(5頁)
[意見]
産業動物の「5つの自由」を法に明記する。

[理由]
2010年に国際獣疫事務局(OIE)によって、
畜産動物及び実験動物も
動物福祉向上に含む綱領が制定されたことを受け、
動物愛護法に産業動物の福祉の原則である
「5つの自由」を明記して規定することは不可欠です。

■6.産業動物の取扱い(5頁)
[意見]
「産業動物の飼養及び保管に関する基準」の
第3から第7までを義務化する。

[理由]
第3から第7まですべてが、
「努めること」もしくは「配慮すること」と結ばれており、
基準制定の効果がありません。
すべて義務化及び罰則の設定を求めます。

■6.産業動物の取扱い(5頁)
[意見]
産業動物業者を動物取扱業に含むべき。

[理由]
人の飼養する動物はすべて動物愛護法の対象であり、
現在の動物愛護の理念では、
実験及び産業動物も福祉が保障されなければなりません。
2010年の国際獣 疫事務局(OIE)で
畜産農業及び実験動物を動物福祉向上に含む綱領が
制定されたことを受け、
日本がこの規約を無視するわけにはいきません。

■6.産業動物の取扱い(5頁)
[意見]
第10条の「動物」につく(  )内の定義条件を削除し、
産業動物業者を動物愛護法の適用を受けるように改正する。

[理由]
人の飼養する動物はすべて動物愛護法の対象であり、
現在の動物愛護の理念では、
実験及び産業動物も福祉が保障されなければなりません。
2010年の国際獣 疫事務局(OIE)で
畜産農業及び実験動物を動物福祉向上に含む綱領が
制定されたことを受け、
日本がこの規約を無視するわけにはいきません。

■6.産業動物の取扱い(5頁)
[意見]
飼養・管理に係わるコストが増加し、
私達国民の経済負担が増加することにつながっても、
産業動物の福祉を向上させ、
健全な環境で管理された畜産物を求めます。

[理由]
飢えや渇き、病気や怪我、
行動の抑圧、恐怖、不快から解放され、
自由で健全な環境で飼育された畜産物を求めます。

■7.罰則の引き上げ(5頁)
[意見]
第44条の罰則規定を、殺害のときは
「個人の場合3年以下の懲役または300万円以下の罰金、
 法人の場合1億円以下の罰金」、
傷害のときは
「個人の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金、
 法人の場合5000万円以下の罰金」に改正する。

[理由]
児童虐待防止法では、
殺害と傷害は当然のように量刑が違います。
また、器物損壊罪では
物品に「3年以下の懲役または100万以下の罰金」が規定されています。
動物が殺害された場合は倫理上、
物品よりも命ある動物に重きを置くべきです。

■7.罰則の引き上げ(5頁)
[意見]
第44条の第2及び3項において、
第2項の虐待のときは
「個人の場合1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、
 法人の場合5000万円以下の罰金」 に、
第3項の遺棄のときは
「個人の場合1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、
 法人の場合5000万円以下の罰金」に改正する。

[理由]
虐待は傷害に匹敵する行為であり、
第44条の傷害の場合と同様の罰則を与えるべきです。
また、これまで虐待と遺棄を同様の罰則としてきたことから、
それに倣って以上のように改正することを求めます。

■7.罰則の引き上げ(6頁)
[意見]
第46条及び47条の動物取扱業等の罰則を引き上げる。

[理由]
罰則規定の改正に合わせ、引き上げることを求めます。

■8.その他(1)犬のマイクロチップの義務化(6頁)
[意見]
犬猫のマイクロチップの義務化には反対です。

[理由]
まだ環境整備が十分でない上に、
肉体に異物を挿入する方法は
少なからず倫理的な問題があるので、
一様に法律で義務化できるような事ではないと思います。

■8.その他(1)犬のマイクロチップの義務化(6頁)
[意見]
繁殖業者が出荷する犬猫には、
マイクロチップ装着を義務づける。

[理由]
子犬子猫のトレーサビリティを確保するために義務づけます。
トレーサビリティは、店舗ではなく、
繁殖業者の段階から確保しなければ意味がありません。
犬は 生後2週齢、猫は4週齢から装着できます。
出荷する前に
「個体識別番号」「出生日」「出荷日」を登録した上で
出荷を義務づけます。

■8.その他 (2)犬猫の不妊去勢の義務化(6頁)
[意見]
犬猫の不妊去勢の義務化には反対です。

[理由]
不妊去勢は人の住環境に
動物を無理やりに合わせているのであって、
決して義務化してよいような事ではないと思います。

■8.その他 (2)犬猫の不妊去勢の義務化(6頁)
[意見]
猫が屋外へ出ることができ、
または出ている環境で飼育している場合は、
不妊去勢手術を義務化する。

[理由]
所有者のいる猫が屋外で
繁殖行動できるような状態で飼養することは、
引取り数の半数を子猫が占めている現状からみて
看過できません。
「家庭動物等の飼養及 び保管に関する基準」の
第5の3に原則として繁殖制限措置が挙げられてはいますが、
猫の引取り数や殺処分数は改善されていません。
そこで、例えば法第三節に加えて、
罰則対象にして徹底をはかり、
また、啓蒙することで、
悩みどころの猫の引取り数の削減につながると思います。

■8.その他(3)飼い主のいない猫の繁殖制限(6頁)
[意見]
都道府県等は、飼い主のいない猫の繁殖を
適切に管理するため、
活動主体となる地域住民に
必要な指導及び助言に努めなければならない。

[理由]
殺処分頭数の65%以上を占める猫の繁殖制限は、
動物愛護の重要課題です。
しかし、未だになんの措置も講じていない
自治体があるのが現状です。
主体は自治体ですが、後押しする義務が法律にはあります。
地域猫活動の普及と成功事例が進んだ現在において、
全く講じないことは認められません。

■8.その他 (4)学校飼育動物および公園飼育動物の適正飼養(7頁)
[意見]
家庭動物や展示動物にあるように、
「飼養及び保管に関する基準」を作成し、学校に義務づける。

[理由]
情操教育の場である学校において、
虐待や杜撰な飼養は許されません。
学校側が意識していない状況だと思われるので、
基準を作成し、
動物愛護法に抵触しないよう啓発していくことを求めます。

■8.その他 (5)災害対応(7頁)
[意見]
動物愛護管理法に、
都道府県等が講じるべき基本的な事項を規定するべき。
特に、「避難所における飼育体制の整備
(動物同伴可能な避難所及び仮設住宅 の確保の事前計画)」
「動物の救護(負傷又は放し飼い状態の動物の保護と収容)」、
「シェルター設営や一時預かり先の確保」、
「迷子動物の捜査等動物飼養 者への支援」は欠けがちですが、
必ず問題が表面化するので規定すべき。

[理由]
自治体の地域防災計画等に反映されるようになりましたが、
かなり内容や徹底度に幅があります。
全国一様に規定が必要な事項については、
少なくとも都道府県の自治体には作成を義務化することを求めます。
特に動物同伴可能な避難所は、
事前に取り決めて住民に周知していただきたい。

■8.その他
[意見]
第38条、第39条の動物愛護推進員及び協議会は、
都道府県の自治体には「設置しなければならない」と改正する。

[理由]
現行法では「委嘱することができる」
「組織することができる」という規定であるため、
現在にいたっても都道府県の自治体にもかかわらず、
5〜6つの自治体が未だに設置していません。
言うまでもなく、動物愛護の実行主体は
自治体であることを踏まえれば、双方とも必要不可欠です。
指定都市や中核都市は除いても義務化することを求めます。

■8.その他
[意見]
5年後の改正時は、
人が動物を管理する基準を定めた「動物愛護法」ではなく、
動物の権利を保障する「動物福祉法」を制定する。

[理由]
人の権利ばかりを押しつける傲慢な社会は、
結果的に虐待や多頭飼い崩壊を許し、
野生動物の異常繁殖や住民が
被害を受けるような事態を招いています。
例えば、虐待や多頭飼い崩壊では、
人の所有権が当然のように優先されて、
保護が手遅れになります。
また、野生動物の駆除では殺処分ありきで、
未然に防げるような問題が取り組まれずにいる状態です。
もし、少しでも動物の権利が保障されていれば、
事件を未然に防ぎ、
緊急性が高い場合は一時保護できるようになったり、
野生動物を観察している専門家と協力すれば、
異常繁殖や駆除が必要ない住環境を
維持するよう努めることができるのです。
道徳論だけではなく生活環境の改善のために、
私達国民が求めている社会は、
人と動物が共生できる社会です。
次回改正の際は動物福祉法への移行もしくは新設を求めます。

 
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