ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

291.静かに語ること。

この「ガンジーさん」という連載の紹介文、
最後に、ぼくはこう書いた。

 「あれってウソだったんじゃないの?」と、
 疑われるくらいの飽きられるくらい長い連載に、
 してやろうではありませんか。

と言ったときの「長い連載」ということばは、
1年や2年のことじゃない。
このごろ、やっと、
病気を気づかうというテーマのメールが少なくなった。
いわゆる同情やお涙頂戴を嫌うガンジーさんの、
いい意味で思うつぼにはまったのだけれど、
実際のところ、みんな、何にも忘れてはいない。
いちばん、何も忘れちゃいないのは、
実はガンジーさんご本人だ。

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「忘却と幸福」

「時間とかけて水と解く」
その心は悲しみを癒してくれる。
時間は悲しみを発酵させ和らげてくれ
水は悲しみを洗い流してくれる。
どちらも有り難い存在だね。
とくに水なんか自分が泥を被って他を清めてくれる
献身一筋の行いだ。
「如水会」なんて集いが多いのもそのためだろう。
『そごう』の元会長なんか水に遠く及ばない存在だね。

でも時間の作用は悲しみだけではない。
感激や感動も薄めてしまう。
俗に言う「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」というヤツだ。
ガンジーが「ほぼ日」にデビューした頃は
大変な反響だったらしい。
今、ほぼ1年を経過して
その読者の方々はどう変化しただろう?
浮気っぽい人、操をたてて毎日読んでくれている律儀な人。
毎回そんなに面白い話題を提供できるわけじゃないのに
付き合ってくれてる有り難い読者、
いろいろいてこそ面白い世間だ。

糸井さんの言う
「あれ、嘘だったの?」と思って、それでも
読んでいてくれる人もいる反面
すっかり忘れられてる事もあるはず。          
     
またイベント好きな人は
「なぁーんだ、一向に死なないじゃねぇか」       
とがっかりしてるんじゃないかな?

この2つのタイプの違いは実は大きい。
悲しみは忘れても感激を忘れない人に軍配があがる。
人生のだ。
上記の例えは自惚れ千万、汗顔の至りな言い方だがね。
ガンジーはその事を肝に銘じて実行してる。
去年の誕生日に贈られた花の数々記帳の名前。
今でも週1回は見せてもらっています。

忘れるべき事、それは
癌で明日がわからないという病の現実。
そして忘れてはならない事、それは
糸井さんの親切やその呼びかけに応えてくれた
やさしい読者の皆様。
感動をいつまでも忘れない事は
幸福が持続している証拠なんだ。

諸君も読者の皆さんもこれは人生において大事なことだよ。
きゃぁきゃぁ騒いであとはケロ!
感謝感激雨あられ、と言ってて3日で忘れる人。
熱しやすく冷めやすいのが普通の人だから
その反対をいけば人生も楽しいし成功も思いのままだろう。
ほんとうに偉い人は恩着せがましい事はしないし言わない。
それだけに
報恩の念に厚い人には更なる援助をしたくなるはず。

ガンジーが手本を示そうなんて構えてるわけじゃない。
人生ゴールの手前で考えてるホントのことだよ。
いまさらカッコつけようなんて思わないもんね。
ただ諸君にそうして欲しいから書いている。
わかった?わからねぇ?
そうだろうなぁ、
ちっとも偉いところのないガンジーだもんなぁ。
こりゃエライこっちゃ!


ガンジー

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ガンジーさんの連載がスタートしたころよりも、
いま現在のほうが、アクセス数はずっと多い。
ということを、あらためてお知らせしておこうかな。

まだ、1年も経っていないんだよね。

(つづく)

『よろずガンジー相談所』の情報はこちら

2001-06-15-FRI

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