ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

277.そんなふうな文章。

絵の得意な人なんかだと、ちょっと時間があると、
そのへんの紙の空き地に、さらさらっと
絵を描いていたりする。
アレって、気持ちがいいんだよね。

同じようなこと、文章でやってる人もいるのかなぁ。
教科書の余白に、断片的な詩を書いたりね。

今日のガンジーさんは、
なんたってタイトルが「恋文」だぜ。
こんなふうな文章を、書きたかったんだろうな。
けっこうややこしい相談を聞いていたから、
郷愁の恋愛、なんていうムードを、
自分の書いた文字で浮かび上がらせたかったのかしらん。
文体の遊びって、ガンジーさん、好きだよねぇ。


ま、読んでおくれやす。

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「恋文」


月が欠け風が変わり若葉が映える。
あれから早やひととせ、あなたは何処にいるのだろう。
強がりを言って別れたあの日から私は変わってしまった。
何もかもが虚しい。
日々の言葉を失いただ季節だけが移ろう。
テトラポットに砕ける波、耳を聾する狂った風、
人の気配すらない海。
そんな月日を過ごして来た。

恋しい。愛しい。ただ会いたい。言葉なんかいらない。
あなたのやさしい匂いが欲しい。
手を伸ばして触れていたい。
瞼を閉じるとそこにあなたがいる。
このまま目を閉じていたい。
このまま、いつまでも。

じゃじゃじゃじゃーん!
あなたと別れたアンコ大学の構内、
じゃなかったアンカレッジの空港。
やけに荷物が軽かった。
そうだ俺はカルカッタへ旅立つ日だったのだ。
「ほぼ日ブランチ」の開設のため
ボスのイトイを探さなければならなかった。
そのことで頭がいっぱいだったのだ。
だからあなたが何か言いたそうにしていることに
まるで気付かなかった。それが悔やまれる。
今さら言い鯛を食ったからって
どうなるお好み焼き、じゃねぇ、もんじゃない。

英語に堪能なあなたを
自分勝手なエィゴときめつけなじってしまった。
世界を駆け巡っているあなたに
英語は母国語以上だったのに。
「すぐ会えるさ」そんな軽い気持ちでサヨナラを言った。
そう、ながい別れになろうなんて
これっぽっちも思わなかった。

だからイトイボスをスターバックスの店で見つけ、
隣の席にいる金髪女に
なにやらナンパしている彼を急き立て
ゲートを抜けた時にも、その気持ちはおなじだったんだ。
「すぐ会えるよ、すぐ」

カルカッタから次ぎの目的地、誰が投げた?
野茂だ!
そう、英国はヒースロー空港へ飛び立った時すら
ミーちゃんは仕事に戻ったことと思い、
さして気にもしていなかったのだ。
思えばあのサヨナラがいけなかった、
「じゃぁね!」にすればよかったのだ。
So Long!は長い別れを意味する。
そう、ロングなんだ。
ん?ジャーニーも長旅のことだ。
「それじゃね!」ならよかったのに。

ミーちゃんの長い髪が目にうかぶ。
まるでトイレットぺ―パーのような。
なぜ手錠で繋いでおかなかったのか。誰の所為にしょう、
そうだボスのせいだ!
彼が俺のパスポートを持っているからだ。
今の俺は命綱であるそれを彼に握られているんだ。
でも返してもらう気はない。
出来るだけながく預けておこう。

Me が恋しい。
馬鹿、自分を恋しがってどうする、Youだ!
いや「彼女」だから She だ、
いやいや「彼女が..」だから Her だ。
はぁー、くたびれた!「完」

ガンジー

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若いときに、ちょっと道を間違えたら、
ガンジーさんって「小説家志望」だったかもね。
どういうジャンルの小説を書いたんだろうなぁ。


(つづく)
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2001-06-01-FRI

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