ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2009-09-15-TUE

メイド・イン・イタリーは成功の約束。

「made in Italy」といえば、
ファッションや飲食の分野では
すでに世界中のどこでも成功を約束されています。

アルマーニ、ミッソーニ、グッチ、
フェラガモ、ヴァレンティノらはもとより、
プラダやドルチェ&ガッバーナも。
これらはアメリカやアジアのお洒落な人たちにとって、
ある種の基準でもあります。

食の世界でいうと、
スパゲッティ、ラヴィオリ、カンネロー二、
そしてピッツァなどが「美食」を象徴。
とんでもない美味しさのワインを愛する人々にとっては、
バルバレスコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、
バローロ、サッシカイア、キャンティなどの
銘柄が居並びます。

ファッションや美食に加え、
今やサッカーも、成功を約束する
「made in Italy」の仲間入りを果たしました。

世界に広まるイタリア人監督の名声。

マルチェッロ・リッピ監督は、
2006W杯ドイツ大会での優勝を、
来年の南アフリカ大会で守る立場になるでしょう。

franco

デ・ロッシ選手が引っぱるイタリア代表アズーリは、
9月9日にブルガリアを下し、
あと2試合だけを残す時点でアイルランドと4点差。
W杯予選リーグの突破は99%確実でしょう。

franco

そして次の試合は
まさにアイルランドとの対戦ですが、
先方の監督はこれもまた偉大な「made in Italy」であり
ドイツやオーストリー、ポルトガルなどの
カンピオナートで勝利した、
元アズーリ監督のジョヴァンニ・トラパットーニです。

franco

リッピは、アズーリの監督に就任した時に、
このトラパットーニからサッカー的財産を相続しました。
イタリアで、ヨーロッパで、そして世界で、
手に入れられる勝利はすべて手に入れてきたリッピも、
次期のW杯を終えたあとは監督業を引退し、
総監督としてユヴェントスに戻る予定です。
その時には、トラパットーニから相続した
財産をだれかに引き継ぐことになりますね。

現代のサッカーを生んだ国イギリスで、
イタリア人の監督たちが
大いに成功していることを見れば、
国内にとどまる財産というより
世界に広まる「監督としての名声」という財産が
積み上げられ、相続されていることがわかります。


次期W杯で主役となるイタリア人監督は‥‥。

イギリスで活躍中のイタリア人監督には、
まずファビオ・カペッロがいます。
彼は過去にACミラン、ASローマ、
ユヴェントスで勝利をおさめ、
後に10年の間隔をおいて2回マドリードに移り、
スペインのカンピオナートで2度優勝しています。

franco

UEFAチャンピオンズ・リーグ1993-4大会で
ACミランを優勝させたこと、
そして現在イングランド代表の監督であることは、
世界のサッカーと
何よりも自分自身に対する挑戦といえるでしょう。

イングランド代表は先週、
クロアチアに大差をつけて
W杯南アフリカ大会の予選を突破しました。
8戦全勝ですから、
英国にとっては典型的な勝利を
イタリア人監督が果たしたことになります。

英国はすぐさまカペッロの勝利を讃えました。
彼が「准男爵」の称号を受けるだろうと
ささやく人もいます。
南アフリカ大会で優勝すれば、
エリザベス女王が彼に「サー」の称号を
与えるつもりでいる、と。
来年の6月には本当に、
彼が「サー・ファビオ」と呼ばれることに
なっているかもしれません。

そして、
チェルシーを率いて
目覚ましい活躍をしているイタリア人、
カルロ・アンチェロッティも、
英国の人々を熱狂させています。

franco

チェルシーは立続けに5勝しており、
チャリティー・シールド(ユニティー・シールド)では
マンチェスターを下して優勝し、
イギリスサッカーの頂点に立ちました。
プレミアリーグやUEFAチャンピオンズ・リーグでの
勝利を予想する人もいます。
かつてACミランを
2度のUEFAチャンピオンズ・リーグ優勝に
導いた監督ですから、
それは期待のし過ぎでもないように思えます。

さらにもうひとり、
イタリア代表のリッピ監督と
イングランド代表のカペッロ監督の他に、
次期W杯の主役になってもよさそうな
イタリア人監督がいます。
ロベルト・マンチーニです。

マンチーニはインテルを率いて
カンピオナート3回、
コッパ・イタリア2回、
レーガ・スーパーカップ2回に勝利しており、
契約上は2013年までインテルとつながっています。

彼を解雇してモウリーニョ監督に替えたインテルは、
契約上の金額を気前よく
マンチーニに支払い続けていますが、
マンチーニ自身は、南アフリカ大会で
どこかの国の代表チームを監督するためなら、
インテルとの
この超リッチな契約を放棄するつもりです。

どこかの国が、
名誉と栄光をめざしてマンチーニに声をかければ、
彼はきっと引き受けるでしょう。


訳者のひとこと

イタリアというと、
ヒラメキと遊び心の天才肌のような
印象がありますが、
じつは、そのヒラメキと遊び心を
実現させるためには、
技術的な裏付けも必要です。
かれらの地道な努力も
歴史的な遺産と言えるでしょう。

まさに
「ローマは一日にしてならず」ですね。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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