ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2009-01-20-TUE

ACミランをめぐるスキャンダル。


franco

これが「ベッカム効果」と言えるでしょうか?
彼がやってきたACミランはカンピオナートで3位。
宿敵インテルに追い付けそうにありません。
その上、ゲーム以外の場でも、
スキャンダルにまみれています。
ACミランの選手たちに
サッカーへの興味が無くなったのかとすら
思えるほどです。

2600万ユーロの価値があると言われている
センターフォワードのボリエッロは、
故障の上に、美女たちとの恋に余念がありません。
少し前に、アルゼンチン人モデルの
ベレン・ロドリゲスにふられた彼の苦しみを、
イタリア中がアシストしたことがありましたが、
当のボリエッロはすぐに新しい美女を見つけて
ご機嫌です。
その美女というのは
パリのオペラ・ガルニエの
プリマ・バレリーナである
エレオノーラ・アバニャートです。
彼らはモンテカルロでのガラ公演の夜に知り合い、
すぐに恋に落ちたようです。

‥‥まあ、ボリエッロのことは置いておくとして、
デヴィッド・ベッカムです。
ミラノの女性たちの、彼への情熱も、
伝染病のように広がりました。
彼がモンテナポレオーネ通りを散策するとなれば、
彼を見たり触ったり、
あわよくばキスまでしてしまおうという
若い女性たちが、彼を襲撃します。

ベッカムは、ジョルジオ・アルマーニと、
一連のメンズ下着のための
大変に高額な契約をしており、
おへそを出してポーズする彼の大きな写真が、
何枚も、ミラノの壁などに貼られています。
ジョルジオ・アルマーニの方も商売上手で
このチャンスにとヴィクトリア・ベッカム夫人と
やはりランジェリーのための契約を、
これまた高額で取り交わしました。

3月までのACミランへの貸与で
ベッカムがミラノに来た本当の動機が、
これで分かったようなものです。
まずは彼と妻のイメージを
さらに価値ある物にするため、
お金のため(それも、たくさんの)。
そして空いた時間に
ACミランのユニフォームでプレイするため。
そんな具合でしょうか。

カカ、引き抜かれる?

逆に、次のシーズンには
ACミランのシャツを着ないかもしれないのが、
カカです。

マンチェスター・シティのオーナーである
アラブの富豪王子たちが、
カカに1億ユーロで5年間の契約を申し出ています。
先々週の火曜日には、
ミラノのど真ん中に在るACミランの本部に、
世界サッカー史上最高額の申し出を携えた彼らが、
やってきました。

彼らは交渉のテーブルに
天文学的な数字を乗せ、
さすがのベルルスコーニ会長も、
これにはびっくりしました。

ACミランのオーナーであり、
世界を襲っている経済危機をのりこえるために、
国民に犠牲を要求している
イタリア首相でもあるベルルスコーニが、
カカの件については、
もう降参だと言わんばかりの
声明を出したのです。
「カカが了承してくれないことを願う‥‥」と。

ACミランの選手たちの売り買いを、
いつも全て掌握し決定していた彼が、
すでに屈服したかのように思えます。

モッジ、テレビに出演。

そしてニュースはまだ続きます。
最新のものは、ACミランに
本物の革命を起こさせる可能性を予感させます。

Rai(イタリア国営放送局)には
水曜日の夜に、「Porta a Porta(お隣に)」という
2時間半の重要な番組がありますが、
ユーヴェのセリエB降格を招いた
スキャンダルの主役であるルチアーノ・モッジが、
なんと先週出演し、彼側の言い分をすべて話しました。

franco

ベルルスコーニはイタリアの
全てのテレビ局をコントロールしており、
なぜどのような理由でモッジは
裁かれるべきではなかったかと、
ルチアーノ・モッジ本人に、
しかも事件後2年半がすぎた今、
注釈させたということは、
世論に対してモッジに名誉挽回させる試みだったと、
ぼくは思っています。

なぜモッジに名誉を挽回させるのでしょうか?
たぶんACミランは、
モッジを総監督として数ヶ月間
雇えないかと考えていて、
彼の手腕でチームを大胆に変え、
イタリアや世界のサッカーの根幹に
返り咲かせたいのです。

審判を買収し、多くの嘘をついたモッジは
極悪人でもあるかも知れませんが、
ひとつのチームを築きあげ
選手を購入すべき時には、
他の誰よりも有能だったという実績があります。

そして、カカ売却で大金が入るのであれば、
本当に大きな事ができるでしょうし、
大きな事ができる人材も必要なのです。


訳者のひとこと

新聞の見出しを見てみましょう。
上:カカに関するマンチェスター・シティ
(小見出し:1億!
      そしてベルルスコーニは
      「彼が受け入れずに
       残留してくれることを願う」
右:カカへの狂乱
左:大きな狩り

ちなみに1月17日(土)の
対フィオレンティーナ戦では、
1:0でACミランが勝っていますね。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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