ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2008-12-24-WED

UEFAチャンピオンズリーグ、
そしてACミラン。


先週の金曜日に、
UEFAチャンピオンズ・リーグ(CL)準々決勝の
組合わせ抽選会がありました。
すごい組合わせになっております。

世界チャンピオンのフランチェスコ・トッティは、
ヨーロッパチャンピオンのファブレガスと対戦。

totti
バロンドール受賞のクリスティアーノ・ロナウドは
イブラヒモヴィッチと。

cristiano-ronaldo

Ibrahimovic

イタリアのカンピオナート最強選手の
デル・ピエロとネドヴェドは、それぞれ
ランパードやドログバと対決します。

del-piero

drogba

これ以上に魅力的な組合わせがあり得ただろうか
というくらいのCL準々決勝戦のシナリオが、
出来上がったわけです。

これはイタリア対イギリスというよりは、
現・世界チャンピオンの国と、
ここ2年間のCL決勝進出国の対決です。

途方もない3試合の行方は?

途方もない3試合を具体的に見てみましょう。
ASローマ対アーセナル、
マンチェスターU対インテル、
ユヴェントス対チェルシー、ということですね。
イタリアのクラブチームらが
世界チャンピオンのアズーリと同レベルであるかどうか、
これらの試合の結果でわかるでしょう。

桁外れの選手たちがピッチにいるだけでなく、
ベンチには、これまた偉大な監督たちが並びます。
ファーガソン(マンU)対モウリーニョ(ACミラン)、
スパレッティ(ASローマ)
対ウェンゲル(アーセナル)、
ラニエリ(ユーヴェ)対スコラーリ(チェルシー)、
ですよ。
これはもう選手をみても監督を見ても、
選りすぐりの優れ者たちの対決と言えます。

scolari

当然、2月末から3月頭にかけて、
CL準々決勝戦が中継されますから、
最高の視聴率を叩き出すことになるでしょう。
この組合わせの試合は、
放映権の金額からすると
チームには願ってもない幸運でしょうが、
イタリアのティフォーゾたちは気が気ではありません。
イタリアのチームが3チームとも、
準々決勝で早々と敗退してしまうリスクもありますから。

5月の決勝戦がローマの
オリンピコ競技場で開かれるので、
イタリアサッカー界は、
今回のUEFAチャンピオンズ・リーグに、
とても期待しています。
その決勝戦にイタリアのチームがいないとなれば大問題、
他の多くの試合と変わりないことになってしまいます。
みなが「ローマでの決勝戦」に期待しているのは、
イタリアが優勝をかざって、その試合が
「la partita dell'anno (Game of the Year)」に
なることなのです。

とりわけヤキモキしているのはインテルです。
マッシモ・モラッティ会長は
CLで勝つために、
世界一高価な監督であるモウリーニョを雇い、
クアレスマ、アマンティーノ・マンシーニ、
ムンタリらの獲得に、70億ユーロも使ったのですから。

2月24日、2試合中の1試合が終わるまでは、
マッシモ・モラッティとインテル関係者のだれもが、
良い夢を見ながらゆったり眠るなんてことは
できないに違いありません。
イタリア国内では優勝しながらCLでは負ける、
この歴史的悪夢が、まるで妖怪のように
彼らにつきまとっているのです。

ベッカム旋風がやってきた。

その一方で、
ユーヴェのクラウディオ・ラニエリ監督は、
過去にチェルシーも監督したことがあるのですが、
彼もまたデル・ピエロやネドヴェドと同様に
イヤな記憶がいっぱいで、
待つ間の時間はとても長く感じられることでしょう。

ASローマは、歴史や国際的なレベルという意味で、
今のところユーヴェやインテルほどのことはない、
とは言え、
アーセナルに敢然と立ち向かうに必要な要素を
すべて持っています。
プレイの優秀さはもちろん、
意欲や性格的な面でも大チームに引けはとりません。

決勝戦がローマで行われた事はすでに2回あり、
これは幸先が良いはずです。
というのも、その2回ともにイタリアのチームが
決勝に進出していますからね。
ASローマとユーヴェですが、
ASローマはリヴァプールに負け、
ユーヴェはPK戦でアヤックスに勝っています。

もう一つのイタリアサッカーのビッグ・チーム、
ACミランは、
今回のチャンピオンズに参加していません。
その代わりにUEFA杯で健闘しているのが、
いくらかの慰めになるでしょうか。
準々決勝ではウェルダー・ブレーメンと対戦します。

ベルルスコーニ首相のこのチームは、
本質よりもイメージや格好のことを考えているのですが、
先週の土曜日、いよいよデイヴィッド・ベッカムが
1月から3月までACミランでプレイすると、
オフィシャルに発表されました。
ベッカムは、この期間がすぎたら、
また合衆国のカンピオナートに戻ります。

イタリアにやって来たベッカムの一言一言は、
世界中に流されました。
首相ベルルスコーニはベッカムのために
ロンドン=ミラノ間で自家用ジェットを飛ばし、
宿舎として、ミラノのフォーシーズンズホテルの
スイートルームを100日分用意しました。
この部屋は1泊8000ユーロと言われています。
このこともあって、ベッカムはイタリアで
他に類を見ない「メディア的現象」‥‥、
ちょっとしたスキャンダルを巻き起こしています。

beckham

beckham

beckham

そして大変ご満悦のベルルスコーニといえば、
カカ、ロナウジーニョ、ベッカムを擁するACミランは、
より美しいサッカーをプレイするだろうと、
早くも公言してはばかりません。
これを聞いたティフォーゾたちは?
‥‥どうも納得していないようですけどね。
新年の1月まで、あと1ヶ月待ちさえすれば、
ベルルスコーニの言葉が現実のものになるかどうか、
わかります。

新年、そうです、年内の更新はこれが最後になります。
今年は、ぼくの本を日本で発売することもできました。
みなさんの応援に心から感謝いたします。

みなさん、
Buone Feste 2008-2009!!
良い年末年始の休暇を!!


訳者のひとこと

私からも、みなさまのご愛読に感謝いたします。
どうぞ良い新年をお迎え下さい。

更新始めは1月14日(水)の予定です。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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