ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。
2008-09-09-TUE
2008シーズン開幕。

この8月最後の週末、
イタリア・カンピオナート2008-2009が
開幕しました。
この数年いろいろなことのあった
カルチョ・イタリアーノにとって、
新たなスタートともいえる記念すべき週末です。

30日、土曜日の夜には、モウリーニョの、
待望のインテル監督としてのデビュー戦があり、
(ジェノヴァで、対サンプドリアの
 苦い1対1の引き分け)
そしてミラノのサン・シーロ競技場では、
翌31日、日曜日の15時ちょうどに、
対ボローニャ戦を戦うACミランが
ピッチに降り立ちました。

小見出し

負けたミランにも、拍手が。

シルヴィオ・ベルルスコーニ、ACミラン会長まで、
直前にローマからヘリコプターで駆け付け、
競技場から数メートルの地点に着陸。
彼らは、ロナウジーニョの
ACミランでのデビュー戦を見逃したくなかったのです。

ベルルスコーニ

ロナウジーニョ、パト、シェフチェンコ、
セードルフ、ピルロらが居並ぶ
豪勢な顔ぶれのACミランが、
どんなスペクタクルを展開してくれるのか、
だれもがこのゲームに立ち会いたくて、
多くの観客が集まりました。
対するのは、この5月末にセリエA復帰を
果たしたばかりのボローニャです。

結果は予想に反して2対1でACミランが負け、
最初は言葉を失った
ACミランのティフォーゾたちでしたが、
やがて賞賛の拍手が巻き起こりました。

ACミランは負けたものの、
待ちに待ったロナウジーニョが
ACミランのシャツを着てそこにいることに、
ティフォーゾたちは喝采したのでした。

ロナウジーニョが見せる
まさに「made in Brasil」のフェイントやドリブル、
正確なパスなど、すべてが、
やがてアンブロジーニが放った
1本のゴールにつながる展開です。

事実上ロナウジーニョが一人で
ボローニャに立ち向かったようなゲームでしたが、
彼がいかに優秀であろうとも、
まあ、一人でゲームに勝つのは無理ですね。

ベルルスコーニ会長も、
最後には立ち上がって拍手をおくり、
それから更衣室に向かい、
スペクタクルを展開したチーム全員を賞賛しました。

実際にはロナウジーニョが孤軍奮闘したとはいえ、
ベルルスコーニも、
まさか彼だけを褒めるわけにはいかないでしょう。

ロナウジーニョ

小見出し

いっぽう、インテルは?

さて、ACミランが負けを喫したいっぽうで、
インテルも、そう熱くなったとは言えず、
ASローマ対ナポリ、ユーヴェ対フィオレンティーナも、
イタリア・セリエAの開幕戦を引き分けました。

掛け値のない印象では、
いずれにせよモウリーニョ率いるインテルと
まともに張り合えるのは、
ACミランだけだろうという感じです。

初日はロナウジーニョだけが表面に出た格好で、
シェフチェンコは出場も短時間なら
プレイもふるいませんでしたが、
3人のバロン・ドール選手、
ロナウジーニョ、シェフチェンコ、カカを抱える
世界唯一のチームのアンチェロッティ監督は、
今後の試合の中で、彼らを同時に配置できるのです。

そして若いパトもおります。
彼はやっと19歳になったばかりですから、
ACミランがセリエAで優勝しない場合でも、
まちがいなく最高の面白さを提供してくれるでしょう。

ティフォーゾたちも、対ボローニャ戦の時のように、
支持するチームの違いを越えて楽しめるでしょう。
彼らは、カルチョの素晴らしさは
勝者だけのものではなく、
精一杯の感動を与えてくれる選手たち
全員のものであると、知っています。
それがカルチョの素晴らしさなのです。


訳者のひとこと

このページは毎週火曜日更新ですから、
記事は週末までに送っていただきます。
したがって記事の内容が
1週遅れになってしまいがちですが、
今回はいつにも増してテンポの良い原文でした。
フランコさんのワクワクが伝わってくるようです。
その感じが上手く訳せていると良いのですが‥‥。

モスキーノ
さて19歳のパト君ですが、
本名は
アレシャンドレ・ロドリゲス・ダ・シウヴァ
という長いもので、
愛称のパトは、アヒルという意味だそうです。

翻訳/イラスト=酒井うらら



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