フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

トヨタカップ2007、イタリアの動向。


さあ、サッカークラブのチャンピオンチームたちが、
日本に集結する日も近づいて来ました。

12月13日、
クラブチームにとって最大の催しである
TOYOTAプレゼンツ
FIFAクラブワールドカップジャパン2007

(以下、トヨタカップ)において、
ACミランの最初の試合が行われます。
この催しはかつてはただ
「インターコンチネンタル」と呼ばれていたのですが、
ここ数年、
世界中のクラブチームにとっての
真の唯一の世界選手権となりました。

ヨーロッパチャンピオンであるACミランが、
アジアチャンピオンである浦和レッズと、
準決勝で対戦する可能性も、今回はあります。

franco

イタリア人たちの考える
ことしのトヨタカップは。

日本に関するすべてのことへの、
ぼくの情熱を知っている
ACミランのアンチェロッティ監督は、
電話で、冗談を言いながら、
この埼玉県のチームがどれくらい強いのかと、
ぼくに尋ねました。

ぼくは、くわしく深くは答えられませんでしたが、
日本のカンピオナートで上位にあり、
複数の優秀なブラジル人選手や優秀なフォワードや、
すでにヨーロッパサッカーを経験している
小野選手を配置しているチームだ、
とだけ答えました。

アンチェロッティは、こう切り返してきました。
「わたしは浦和レッズが準決勝戦に進み、
 彼らを対戦相手にできることを願っています。
 力ではなく技術を優先させる日本のサッカーが、
 わたしはいつも好きでしたからね。
 この数年ACミランは多く勝利していますが、
 それはいつもゲームに狙いを定める方法を
 知っていたからです。
 マルディーニ、カカ、シードルフ、
 ピルロ、ガットゥーゾなどの
 チャンピオンを擁する我々のチームは、
 世界の他のどのチームより
 常に勝利の最大の可能性を持っており、
 優勝候補なのは明らかなことです。
 でもわたしは、このトヨタカップを、
 不安を持ちながら待っているのです。
 というのも、わたしのクラブチームの監督のキャリアの中で
 優勝していない唯一の大会がこれだからです。
 4年前にボカ・ジュニアーズに負けた時に、
 たいへんにがっかりしたのを覚えています‥‥」と。

ancelotti

しかしACミラン側では誰もが、
アルゼンチンに対して雪辱を果たすことを望んでいます。
特に、今年の年末に引退すると表明した、
キャプテンのマルディーニは、
こんなふうに語っていました。
「ぼくは、チャンピオンズリーグに勝利した時点で
 引退しようかと思っていました。
 ぼくは40歳近いし、ぼくはサッカーから得られる全て、
 いやそれよりも多くをすでに得ています。
 サッカーは、ぼくの人生でした。
 そして今は、日本でこの大会に3回めの優勝をして
 美しく去りたいと思っています。
 今までの2回の優勝は、
 1989年にコロンビアのナシオナル・メデリン、
 1990年にパラグアイのオリンピアを下しての勝利でした。
 今回優勝すれば3回めであり、
 それよりも4年前にぼくらが負けたボカ・ジュニアーズに
 雪辱を果たせたとなれば、
 さらに素晴らしいことでしょう」と。

mardini

日本のサッカーを賞賛するもう一人がシードルフ選手です。
かれはアヤックス、レアル・マドリード、
ミランの選手として、
チャンピオンズ・リーグで
世界的な勝利の数々を納めています。
シードルフはこう言います。
「ぼくは自分を世界の市民の一人なだけだ
 と思っていますが、
 日本でプレイする事は、ぼくを最高に興奮させます。
 多くのブラジル人選手のいる
 浦和レッズのプレイのスタイルは、
 ぼくらACミランが表現する方法と似ているのです。
 だからACミランと浦和レッズが対戦すれば、
 トヨタカップの試合の中で
 一番面白い試合になると思います。
 決勝戦よりね。
 だって、アルゼンチン人たちは、
 ふつうは試合を肉体の次元でしたがるから、
 ときにはケンカ腰で‥‥」。

ふむ、かれも、日本のサッカーは力ではなく、
テクニックを楽しむスタイルだと言っているわけですね。

seedorf

アズーリのドナドーニ監督も、
もちろんACミランを応援しています。
そしてこう語ります。
「わたしは日本での大会で2回勝利していますが、
 それは素晴らしい経験でした。
 東京でのことを思い出すたびに、
 こんなにもイタリアと異なるが故に
 とても魅力的な世界である日本への郷愁を覚えます」
と。

donadoni

トヨタカップでのACミランの2回の優勝を得た監督、
アリーゴ・サッキも黙ってはいません。
「日本で勝利したチームが世界で一番強いのです。
 監督にとっては、トヨタカップで優勝することは
 サッカー科学で学位を取るようなものなのです。
 アンチェロッティがそれを成し遂げることを
 強くねがっています。
 かれにはその価値があるのですから‥‥」と、
アンチェロッティ監督にエールを贈っています。

sacchi

訳者のひとこと

この翻訳をしている最中に、
浦和レッズが鹿島アントラーズに
逆転負けしました。

よしっ、次はトヨタカップです。
気持ちを取り直しての善戦を期待しましょう。

トヨタカップという表記ですが、
正式には
TOYOTAプレゼンツFIFAクラブワールドカップジャパン2007
という長々しい表記になるせいか、
フランコさんの原文では「Toyota Cup」とだけ
書かれていました。

画像ですが、先日フランコさんに
「フランコさんといっしょに
 いろんな方が写っている写真も
 ぜひ見せてください」という
リクエストがあって、お願いしましたら、
取材中の写真をいろいろ送ってくださいました。

翻訳/イラスト=酒井うらら

2007-12-04-TUE

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