フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

巨匠アルマーニのお買い物。

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イタリアにはサッカーだけではなく
プロのバスケットボールリーグ戦もあります。
トップディヴィジョンは、やはり「セリアA」と呼ばれ、
男子リーグは1920年、女子は1930年に発足しました。

そこに情熱をささげているのが、
"made in Italy"のファッション界の巨匠、
ジョルジオ・アルマーニです。

彼にとって何よりも大切なのは、
巨匠としてのその才能を世界に知らしめた
「アルマーニ・スタイル」ですが、
スポーツの世界で、
彼はどんなスタイルを作り上げるのでしょうか?

アルマーニ、正式なオーナーに。

ジョルジオ・アルマーニは、今までも、
ずっと、スポーツを愛してきた人物で、
しばしばスポーツに彼の才能をささげてもきました。
彼の生まれた街のチームであるピアチェンツァや、
イギリスでもっともシックなチームである
チェルシーの制服をデザインしたのは彼自身です。

彼の服のモデルとしては、
シェフチェンコやカカなど、
サッカーのスターたちを使ったりします。

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△アルマーニのモデルをしたカカ。
モデルとしてランウェイも歩いた、シェフチェンコ。
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このイタリアンデザインの巨匠は、
思い出すまでもなく、
映画『アメリカン・ジゴロ』での
リチャード・ギアなどの俳優たちや、
ソフィア・ローレンをはじめ
女優陣の服も仕立てていますが、
今、彼はスポーツの世界に、
スポンサーやデザイナーとしてではなく、
オーナーとして参入しようとしています。
才能だけでなく財も投じようというわけですね。

イタリアで一番有名なバスケットボールチームは
ここ3年来「アルマーニ・ジーンズ」という名前です。
(以前、こんな記事でご紹介しましたね。)
ただ、今までアルマーニ自身は広告宣伝のためにのみ
お金を支払っていただけで、
オーナーのひとりとは言えるかもしれませんが、
正式に「このチームが彼の持ち物」とは言えませんでした。

しかし今やバスケットに対する情熱は
有無を言わせない勢いで彼をとらえているらしく、
彼は「アルマーニ・ジーンズ」チームを
買い取ろうとしています。
このチームは、最初はオリンピア・ミラノという名前でした。
その後シメンタルだのチンザノだの
多くの名前がつけられながら、
少しづつ地位も力も失いつつあります。
まるでイタリアのバスケットボール界の
没落貴族という格好です。
サッカー界のユベントスに少し似た立場ですね。
つまり、過去にはどこよりも
多く勝利していたにもかかわらず、
現在は望みは大きいものの、
確信は今ひとつ心もとない、というわけです。

ジョルジオ・アルマーニは、
いつも日曜日の午後に自由な時間を作り
「アルマーニ・ジーンズ」チームがプレイする
パッリドという小さな建物に向かいます。
そこで彼は、「AJ」と書かれた大きなシャツを着て、
ティフォーゾの中でも一番のウルトラスとして、
おおはしゃぎするのです。

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彼は記者会見ではいつも、
ランウェイを歩きなれている人特有の
エレガントな動きかたをします。
彼ならモデルたちにだって、
多くを教えることができるでしょう。
その彼が、バスケットボールを愛しましょう、
長い間待ちわびているバスケットボールのスクデットを
ミラノのチームが獲得する夢を見ましょう、と言うのです。

彼はこう言います、
「ミラノのバスケットボールの偉大な伝統が、
 このチームを買うようにと、ぼくを誘い込むのです。
 それはぼくにとっての任務であり、ほとんど義務です。
 お金がかかるでしょう、分かっています。
 でもある種の情熱には従うべきです、
 場合によっては財布の言うことよりも
 心が言うことに従うべきなのです」と。

数週間のうちに、アルマーニは
イタリアでもっとも有名な
このバスケットのチームを買うでしょう。
もっと世界的な次元をこのチームに新たに与えるために。
そして彼は、
マイク・ダントーニをミラノに呼び戻すという夢を、
心に秘めています。

現在はNBAの大きなチームのひとつである
フェニックスサンズのコーチをしているダントーニは、
昔、AJチームがまだオリンピアと呼ばれていたころ、
キャプテンとしてイタリアチャンピオンと
ヨーロッパチャンピオンのタイトルを勝ち取っています。

ジョルジオ・アルマーニはmade in Italyを、
世界に紹介するトップの人材のひとりですから、
ちょっとやそっとのことでは満足しません。
バスケットの世界においても、
二流の役柄には甘んじないでしょう。

まずは元チャンピオン選手を呼び戻すところから、
アルマーニ・スタイルが始まるのでしょうか?

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訳者のひとこと

どうも世界のお金持ちたちは、
スポーツのチームを買うのがお好きなようですね。
アルマーニのチーム、
いかにもお洒落そうです。
私が選手なら、
どこぞのベルルスコさんに買われるよりも
嬉しい気がしますが‥‥
(ACミランのファンのみなさん、ごめんなさい)。

翻訳/イラスト=酒井うらら

2007-11-06-TUE

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