フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

ミラノ、まっぷたつに。

ミラノがふたつに分かれてしまいました。
もちろんサッカーの話ですが、
ひとつはインテルのティフォーゾたちで、
「彼」を恨んでいます。
もう一方はACミランのティフォーゾたちで、
「彼」をアイドルにしようと待ち受けています。

「彼」とは、ロナウドのことです。
ロナウドが5年の空白の後にイタリアに戻り、
イタリアのサッカー界は
すぐさまピリピリした雰囲気になりました。
ちょうど昨年の夏に、
アズーリが世界チャンピオンになったことを
喜び賞賛するために、時が全て止ったようなムードを
想いだします。

ロナウドとACミランの合意は
確かなこと、らしいのです。
後はレアル・マドリードが1000万ユーロという
ロナウドの価格を「どのように」ACミランに支払うか、
それを決めるだけだということです。
ACミランはこの取り引きを
公式に進めたいとは望んでいませんから。

「それはロナウドとレアル間の問題だ」と、
ACミランのお偉いさんは、
ベルルスコーニとの激しい電話の後でかたりました。

前イタリア首相のベルルスコーニは彼の重役たちに、
電話でハッキリとした命令を下していたのです
「ロナウドを買え、手段は選ばない、
 値段はいくらでも良い、
 私は彼が私の命令に従う場所に、
 どうしても欲しい」と。

そしてロナウドはレアルの重役のところへ行き、
彼の契約の値段を聞いて、その場でそれを知り、
「いいでしょう、
 ぼくが個人的にそれを支払います」
と言ったそうです。

2008年6月30日までロナウドを拘束する
ACミランとの契約においては、
彼がレアル・マドリードからフリーになるために
ポケットマネーで支払った金額に届くだけの
増額があるでしょう。

メルカート終了の
31日までに、なにが起こるだろう?


しかしこれは経済面の話ですから、
まっぷたつに分裂したミラノのティフォーゾたちは、
あまり興味がありません。

インテルのティフォーゾは、
ロナウドがインテルの黒青シャツで
素晴らしいプレイをした数年を忘れておらず、
レアルに移った彼を裏切り者とみなしています。

ACミランのティフォーゾは、
伝説となったもうひとりの選手、
マルコ・ヴァン・バステンがしたように、
ロナウドがACミランの赤黒シャツでプレイするのが
見られるという期待に胸を躍らせています。

今、ACミランに来ても、
ロナウドは今期のUEFAチャンピオンズ・リーグでは
プレイできません。
でも、カンピオナートの最終成績で、
確実に4位につけさせることはできるかも知れません。
4位にいればACミランは2007/2008シーズンの
UEFAチャンピオンズ・リーグに参加できるでしょう。

カルチョ・メルカートは1月31日に終ります。
そしてACミランの動きは、
大した苦労もせずにカンピオナートで優勝しつつある
インテルに反撃できるかもしれません。

インテルのモラッティ会長は、
ロベルト・マンチーニ監督と
向こう4年間の契約を更新しましたが、
更にシーズン終了前に、
これもレアル・マドリードからの、
アントニオ・カッサーノという高レベルの買物を
決めることもあり得ます。

しかし、まさにロナウドのACミラン到着を迎え撃つには、
インテルはカッサーノの購入を
5ヵ月早めることもできるでしょう。

ミラノの2つのライバルチームのバランスは、
現在のピッチ上では崩れています。
昨年のペナルティーを背負っているACミランより、
インテルが遥かに勝っています。
でもメルカートにおいてなら、
ティフォーゾたちが議論する余地は十分にあります。
結局のところ、これもサッカーの面白さなのです。

訳者のひとこと
この結果が公式に発表されるのを、
フランコさんは原稿の〆切りギリギリまで
待って下さったのですが、
今週の更新には間に合いませんでした。
公式な発表があり次第に、
知らせてくださると思います。

ところで北イタリアは異常気象で、
ミラノの最高気温21℃
トリノは、なんと、
25℃をマークしたそうです。
「冬季オリンピック開催が、
 昨年で良かった!」と、
現地からのメールにありました。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2007-01-23-TUE

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