フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

最近のアドリアーノ。


イタリア・カンピオナートのセリエAで
現在トップを走っているインテルですが、
ブラジル人アタッカーであるアドリアーノは、
公私共に良い状態とは言えません。
インテルのティフォーゾたちから、
あまりに性急に「皇帝」と言われるようになった彼ですが、
アタッカーとしては失望されつつあり、
10月15日の日曜日、対カターニャ戦で、
インテルの選手として200日間ゴールを決めていないという
不名誉な記録を打ち立てました。

さらに議論を呼んでいるのは彼の私生活です。
マンチーニ監督を始めとする多くの人びとは、
彼の不調の原因はすべてそこにあると考えています。
アドリアーノは、週に一度は
スイスに近いルガーノのカジノへ
ルーレットをしに行くらしいのですが、
彼が元気のない原因のひとつが、
その「遊びでの負け」らしい、と。

それだけではありません。
未婚女性とのあいだに男の子をひとりもうけていることや、
夕方から朝までディスコに通っていること、
そして肝心の練習には、嘆かわしいことに
半分酔っ払ったままのコンディションで現れることなどが
マスコミで、取りざたされています。
これが現在のアドリアーノなのです。

そしてスキャンダル記事の主役・アドリアーノの
最新ニュースは、なんと恐喝されたというものでした。
それもセクシーな写真が原因で。

遊ぶのもほどほどに‥‥。


ことの発端は、この夏のバカンスです。
彼はミラノの北側の、湖で有名なコモの近郊に
自宅を構えています。
その家に、何人かの若い女性たちを招いて
パーティーをくり広げていたのでしょう、
半裸で踊ったり、遊んだり、眠りこけている様子を、
ひとりの若者が写真に撮り、
「写真を公表されたくなければ金をよこせ」と、
アドリアーノを脅したのです。

アドリアーノは脅しには乗りませんでした。
そんなに危険な写真ではないと考えていたからです。
そして、写真はインターネットに流出しました。
スウェーデンなどのいくつかのサイトが
その写真を公開した後、
アドリアーノのマネージャー、ギルマール・リナルディが
その写真にまつわる出来事を認める発言をしました。
その写真はアドリアーノの自宅で撮られたものであると。
「しかし、これ以上の事は何もなかったのです」と、
リナルディはブラジルの“Terra”という
サイトのインタビューで保証しました。
「彼は24歳の若者です。
 パーティーをするのは普通のことです」とも。

リナルディは、それらの写真を撮った青年が、
後になってアドリアーノの脅しを試みたことにも
言及しました。
その青年は、それらの写真をイタリアの新聞社に
15万ユーロで売ると脅したそうです。
でももちろん、その写真には
大きな危険性がありませんから、
アドリアーノは脅しを受け入れなかったのだと、
マネージャーは説明しました。
「私たちは、アドリアーノの兄弟で
 彼と一緒にイタリアに住んでいるラファエルに、
 その写真が本物かどうか尋ねました。
 彼は本物であると認めました」と
マネージャーのリナルディは付け足しました。

脅しは失敗したということです。
写真を撮った本人が
イタリアの新聞社らとコンタクトをとったとしても、
新聞社は購入を拒絶したことでしょう。

それにしてもアドリアーノの立場は良くありません。
200日以上もゴールを決めない選手、
マンチーニ監督から、もう正選手とみなされていない事実、
その状況に変わりはありません。

バカンスのあと、彼は適正な体重より5kgオーバーして、
インテルに現れました。
太って、まずいプレイで、カジノでお金をすって、
自宅のパーティーの最中に半分ヌードの写真を撮らせる。
‥‥ぼろぼろですね。

たしかにインテルのティフォーゾたちは、
彼らのアイドル的な私生活に興味はありません。
ただ単純に、ゴールを決めるアドリアーノに
早く戻って欲しいだけです。
それも寝室でのゴールではなく、
試合のピッチでの本物のゴールを。


【追記】

この件について、10月22日に
イタリア国内にて追加報道がありました。

スキャンダル写真がマスコミに流れた後、
インテルのオーナーであるマッシモ・モラッティと
監督のロベルト・マンチーニは、
アドリアーノを再生させるべく
彼の故郷であるブラジルに、しばらくの間
帰国させることを決定しました。

彼の心と体を回復させるためのバカンスであり、
インテルにとって今やお荷物的存在であるアドリアーノを
しばしチームから遠ざけるということも示唆しています。
インテルは、カンピオナートでは、
28日に開催される最も重要なミラノダービー
(ACミランVSインテル)にも、
アドリアーノを出場させないことを決定しています。

唄を忘れたカナリアには、
このバカンスが月夜の海に浮かぶ、
象牙の船に銀の櫂となるのでしょうか?
注目が集まるところです。

(最後のフレーズは、西条八十の「かなりや」という
 童謡からの引用です。
 ブラジルナショナルチームが、
 そのユニホームの色からカナリア軍団と
 呼称されることから、プレーに生彩がなく、
 ストレスとスキャンダルまみれの
 アドリアーノ=唄を忘れたカナリア、
 ということで引用しました。)

訳者のひとこと
才能があればあったで
様々な誘惑も豪勢なものなのでしょうが、
心が切なくなるような報告ですね。
私個人的には彼のファンではありませんが、
ひとりの青年として
立ち直ってほしいと思います‥‥。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2006-10-24-TUE

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