フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

杯のアズーリはどうなっちゃうんだろう?



毎週のようにお伝えしている
イタリアサッカーの大スキャンダルですが、
今や、この事件は
呆れるほど大きな様相を呈しつつ、
イタリアに被いかぶさっています。
事の発端はユヴェントスの過去の八百長疑惑ですが、
イタリアサッカー界全体に飛び火していますから、
元首相のベルルスコーニが6月15日から
「会長」として戻っているACミランの立場も、
安泰ではありません。

ユヴェントスに向けられたものと同様な告発が、
様々なチームにも向けられています。
つまり、チームの有利な結果になるように
審判を調整したのではないかという疑惑が
ユーヴェ以外のチームにも向けられている状況です。

その不正行為が暴かれたユヴェントスは
セリエC落ちの危機があり、
フィオレンティーナとラツィオはセリエB落ち、
そして今や、ACミランも
来シーズンはセリエAでプレイできない恐れがあります。

その間にも、ACミランのシェフチェンコは
チェルシーに行くことを望み、
カカはレアル・マドリードでプレイできたら幸せだと、
すでに表明しています。

カカほどのチャンピオンが
セリエBでプレイすることを受け入れたくないのは
明らかです。
ユヴェントスではエマーソン、トレセゲ、
イブライモヴィッチが、
フィオレンティーナでは
アタッカーのトーニが、同様な立場でしょう。

フィオレンティーナやラツィオと同様に、
可能性だけでもユーヴェやACミランが
降格という罰を受けなければならないとすれば、
インテルより上位にユーヴェとACミランが付けた
先のカンピオナートの順位も修正が望まれるでしょう。
セリエAの優勝ならびに準優勝が失格となれば、
ことは重大です。

カンピオナート優勝のしるしであるスクデットは、
3位におさまったインテルに渡ることが予想されますが、
これがマッシモ・モラッティがチームを買って以来
初のスクデットときていますから、
それも如何なものかという騒がしい出来事ではあります。

リッピ監督の精神的なダメージ。


イタリアサッカーは、
クラブチームのレベルで
完璧なカオスの中にあるのですから、
唯一の救いがあるとすれば
イタリア代表チームのアズーリが
W杯での好成績をもたらすしかありません。

スポーツ相であるメランドリまでもが、
たぶん自分の人気を少しでも高めようというつもりか、
W杯の準備を進めているアズーリを訪れました。

でも、この大臣の訪問は、
幸運をアズーリにもたらすことが出来なかったようです。
結局、ドイツ行き直前の友好試合2ゲームでのアズーリに
輝きはありませんでした。

アズーリのマルチェッロ・リッピ監督には、
不正行為で協会から告発された息子がおり、
彼がいつか投獄される恐れもあることから、
心のなかはまったく穏やかではありません。
リッピの、このイライラや心配が
アズーリに悪影響をおよぼさないわけがありません。
かれは「監督」なのですから。
実際に、対スイス戦でも、対ウクライナ戦でも、
アズーリたちは生彩を欠いていました。

対スイス戦では、故障のために
数カ月を休養をよぎなくされたトッティが、
ひさびさに姿を見せました。
結果は、酷く落胆させられるものでした。
どこからどう見ても、明らかに
彼のベスト・コンディションからはほど遠いです。

ジラルディーノだけが、
スイス戦でもウクライナ戦でも、
相変わらずのタフさと強気な性格を見せましたが、
アズーリの技術的水準を高めねばならないはずのふたり、
つまりデル・ピエロもピルロも、
ベスト・コンディションとは思えませんでした。

さて、W杯開催まで数日しかありません。
そしてイタリアのティフォーゾたちも困惑しています。
イタリアの海外に向けてのイメージをも壊しつつある
スキャンダルのことを考えるべきか、
全てを一時忘れて
W杯でのアズーリの応援に集中するべきか、
どうしたら良いのか分からないのです。

本当はW杯勝利のみが、
イタリアサッカーの笑顔を取り戻せるのですが、
苦しい日々が続きます。


訳者のひとこと
これはもう、イタリアファンとしては
長い目で見守るしかないのかという気分です。
必ず再生すると信じて、待つ。
失敗をしでかした恋人を信じて待つ気分です。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2006-06-06-TUE

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