フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

インテルとユヴェントス、
UEFAチャンピオンズ・リーグから敗退。


ミラノをホームとするインテルの夢が、
スペインの涼しい夜にかき消えてしまいました。
同じくミラノのACミランの夢は続いていますが、
これで、ヨーロッパのチャンピオンを決める
UEFAチャンピオンズ・リーグ決勝戦での
ミラノ・ダービーの夢は消えてしまいました。

UEFAチャンピオンズ・リーグで
準々決勝戦に残っていたイタリアの3チームのうち、
インテルとユヴェントスの2チームが敗退し、
ACミランは、試合の最後の時間帯に辛くも勝ち抜けました。
かれらの誇るふたりのアタッカー、
インザーギとシェフチェンコのおかげでした。

インテル、「働きに行け」と迎えられる‥‥


インテルはヴィジャレアルに、
闘いもせずに負けたような印象すらあります。
それを見ていた石油業者でありインテルのオーナーの
マッシモ・モラッティが、
通常はお偉いさんが口にしないような
言葉を発したほどでした。
「マンチーニ監督は選手たちに裏切られた」
と、彼は言ったのです。
大変にもてはやされていた
「彼のチャンピオンたち」のプレイは、
それほどひどかったのです。

試合前半のアドリアーノとレコバについては、
ほくもどう言って良いかわかりません。
あんな彼らは見たことがありません。
闘うことができないのです。
走れない、集中しない‥‥
どうした? という感じでした。
インテルがミラノに帰ってきた時に、
ティフォーゾたちは
「働きに行け」と書いたプラカードを持って、
空港で彼らを迎えました。

百万長者のインテルは、ヴィジャレアルに破れたのです。
ホームの競技場の規模も、歴史も、
インテルに分があるはずでしたから
これは大ショックです。

インテルが、日本代表チームの現監督で、
ドイツW杯の後にヨーロッパに移る可能性のある
ジーコに興味を示していると、
3月21日付けの記事で、ここにも書きましたね。
マッシモ・モラッティが
しばしば監督を変えて来たことから、
やはり今、イタリアでは、
マンチーニ監督の交代に関する議論がおきています。
これについてはジーコの名前も取り沙汰されています。
いよいよ交渉が本格化するのでしょうか?


インテルの敗北が予想外の驚きならば、
ユヴェントスの敗北も同じくらいの驚きだと言えます。
ユヴェントスは昨年のスクデットを勝ち取っており、
つまり昨年のイタリア・チャンピオンであり、
夏には、
まさにこのUEFAチャンピオンズ・リーグのために、
アーセナルからフランス人のヴィエイラを
2000万ユーロで購入しました。

それが、なんという皮肉でしょう、
そのアーセナルこそがユヴェントスを破りました。
まさにヴィエイラの後をついだ19才のフラブレガスは、
ピッチ上で最も活躍した選手たちのひとりでした。

インテルは失った地位のために、
ユヴェントスは使った金銭のために、
イタリアサッカーのこの2大チームは、
涙のうちにヨーロッパ戦から退きました。

ACミラン、期待通りに約束を守る。


「約束を守った」ただひとつの大チームが、
ACミランでした。
対戦相手のリヨンは強敵、
いや、サン・シーロ競技場での
ACミランのホームの試合終了2分前に、
ACミランを負かす1対1に追いつくほどの
「最強の敵」でした。
しかし、最初のゴールをマークしたインザーギが
どんでん返しの2本めを入れ、
シェフチェンコが仕上げの追加点を叩き込みました。

ACミランの勝因は、チャンピオンたちの
「期待通り」の活躍にあります。
インテルとユヴェントスは、
その期待をはずし、敗退して行きました。

イタリア代表チーム、
アズーリのマルチェッロ・リッピ監督は、
インザーギをドイツに連れて行きたがっていますから、
この結果に満足していることでしょう。
インザーギほどの経験と意欲のある選手は
W杯でも非常に役立つでしょうが、
この活躍でさらにドイツ行きの説得力が増しますからね。

訳者のひとこと
「プラカード」のcartello を、
「ナイフ」のcoltelloと
読みまつがえそうになって、
ひゃあ、荒っぽい!! と思ってしまいました。

落ち着け、oじゃなくてaだ、
だいいちlじゃくてrと書いてあるし‥‥と。
「プラカードをかかげて迎える」のではなく
「ナイフをかざして迎える」なんて、
そんなことを本当にしたら捕まりますが、
まったくあり得ないことでもない気もして、
ちょっとドキドキしました。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2006-04-11-TUE

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