フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

「イタリアより強いのはブラジルだけだ」って?


「イタリアより強いのはブラジルだけだ」、
これはイタリア代表チーム、アズーリの監督である
マルチェッロ・リッピが、対オランダ戦と、
対コート・ダヴォワール(象牙海岸)の
ふたつの親善試合が終ったあとで語った言葉です。
この親善試合では一方には勝ち、
もう一方とは引き分けました。

アズーリの2005年の予定は、
これで全部終了です。
つぎの予定は来春の親善試合と、
そして、いよいよドイツW杯です。
マルチェッロ・リッピ監督のアズーリは、
2005年は負け無しでした。
負け無し!!
これはここ何年間も起こらなかったことですから、
W杯にむけた期待が大きくふくらむのも当然のことです。

リッピ監督がどう思われているか?


マルチェッロ・リッピ監督が、
イタリアでどんな風に思われているかというと‥‥
ぼくらイタリア人たちから、
特に愛されているというわけじゃありません。
彼の性格はちょっと分りにくいですからねえ、
だって、ユヴェントスを監督していた時に
可能なかぎりの勝利を納めたというのに、
その後インテルに移ったら
派手に崩壊してしまいましたから。

リッピがアズーリ監督として呼ばれたのは、
日韓共催W杯と
UEFAヨーロッパ選手権ポルトガル大会で
トラパットーニ監督がくずれ落ちたあとのことです。
イタリアはもともと
ドイツW杯の本戦に進むのは難しくないと
言われていたわけですが、
それにしても早々と予選を勝ち抜けました。

この結果をうけたイタリアサッカー界は、
アズーリへの愛をとりもどしつつあります。
W杯はひとつの夢なのです。
いや、むしろもっとはっきりとした夢です。
サッカーボールを蹴る選手たちにとっても、
それを観るのが大好きなティフォーゾたちにとっても、
「世界チャンピオン」をかけた4年に1度の大きな夢です。

アズーリへの期待をはずす結果が、
もう長いこと続いていますから、
来年の6月にドイツで開かれるこの大会を
「今回こそは」と、
選手たちもティフォーゾたちも
待ちわびています。

2002年6月に韓国に負けたことは、
思い出すたびに痛む「まだ開いている傷口」なのです。
それだけに、アズーリの雪辱への期待の大きさは、
最近のふたつの親善試合がここ数年なかったほど高い
テレビ視聴率をたたき出したことをみても、分かります。

楽天的だけど、妄信的ではない。


イタリア人たちは生まれつき楽観的です。
マルチェッロ・リッピは、この点においては
超イタリア的「イタリアニッシモ」です。
まあ、彼の発言を聞いて下さい。

「私たちは世界の強豪の中に入る。
 私たちより優秀なのはブラジルだけだ。
 ドイツW杯では私たちイタリアも
 主要な役割を演じるだろう」

う〜ん、実際のところ1982年を最後に、
イタリアは世界チャンピオンの座についていません。
しかし今や、マルチェッロ・リッピを筆頭に
多くの人びとが優勝を信じているようです。

「イタリアは、トッティ、ジラルディーノトーニなど、
 ひとりひとりの選手力において強い。
 カッサーノはどうするかって?
 彼は今、所属チームのローマとの問題を抱えている。
 この問題が長びけば、彼をドイツへ連れて行くのは
 難しいだろう」

いや、たしかに彼らは素晴らしい選手たちですよ、
でもさすがにリッピも多くのイタリア人たちも、
ロナウド、ロナウディーニョ、
カカ、アドリアーノを擁するブラジルだけは
アズーリより強いと、考えているわけです。
楽天的、でも妄信的ではないようです。

では、ブラジルが最有力優勝候補で、次がイタリアとして、
そのあとに続くのはどこの国でしょう?
マルチェッロ・リッピは、
ぼくらが聞くまでもなく、こう答えてくれました。

「伝統的なライバルはアルゼンチンとドイツだろうね。
 それから、非常に興味深いチームがいくつかある。
 たとえばアフリカ勢や日本。
 日本は予選を、ある種の容易さで通過しているし、
 最後のW杯では欠点があったからというより
 経験の少なさでトルコに負けたが、
 今回は良い試合ができるはずだ。
 ジーコは私が選手だったころの私のアイドルだった。
 監督としての彼は日本を、彼らのティフォーゾたちを
 満足させられる代表チームとして
 組み立てることができた。
 こう見るのはまちがっていないと、私は思っている」

訳者のひとこと
そうこう言っている間に
2005年も残すところあとわずか。
半年くらいあっという間に過ぎますから、
あの大騒ぎももうすぐです。
今度は時差がありますからね、
眠れぬ夜のために今から「寝溜め」でも
しておきますか‥‥
翻訳/イラスト=酒井うらら

2005-11-22-TUE

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