フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2005年夏、メルカートの結果は?!


2005年夏のカルチョ・メルカートの、
大きな結果が、ほぼ出揃いました。

やはりユベントス、ACミラン、インテルの3チームが、
イタリアのカンピオナートの中で、
他のチームより優勢です。
この3チームは昨年のカンピオナートの
上位3チームであり、
来期もこの上位につけるでしょう。
なぜなら、今年のカルチョ・メルカートで
高いレベルの買い物をしたのは、
イタリア勢では彼らだけだったから、です。
3チームとも、この結果に満足だと思いますよ。

ユベントスはヴィエイラを確保。


昨年度のカンピオナートで優勝し、
現在イタリア・チャンピオンであるユベントスは、
すでにカンピオナート優勝の印であるスクデットを
28個も勝ち取りました。
(そのうち3個は、ここ4年間で取っています)、
でも、もはや彼らは、それだけでは満足していません。
彼らの望みはヨーロッパ制覇です。
UEFAチャンピオンズ・リーグに優勝するということは、
地位を高めるだけではなく、
「大金」をもたらしますからね。

すでに強いユーべなのですが、
より一層強くなるために、
真のチャンピオンである偉大な選手のだれかを
必要としていました。
そして、ユーベが選んだのは、
パトリック・ヴィエイラ選手でした。

ヴィエイラ

彼は9年前に若くしてACミランに入団し、
数試合を闘ったのですが、
ベルルスコーニ会長は彼を見て、こう言いました。

「なんだかラクダみたいなやつだな。
 彼は売ってしまえ。
 彼は『私のACミラン』では、プレイできない」

こうして、ヴィエイラは売られてしまいました。
でも彼は、フランス代表チームの一員として、
W杯とヨーロッパ・チャンピオンのタイトルとを
1回づつ勝ち取り、
アーセナルの一員としては、
イギリスで可能なかぎりの勝利をおさめました。
どうしても彼が欲しかったユーベは、
1800万ユーロで彼を買うことができました。

いま彼を入手できたカペッロ監督は
幸せな気持ちでいます。
でもそれ以上にハッピーなのは、
ユーべのティフォーゾたちです。
彼らは、ユーベが
イタリアでは「ほぼいつも」勝利する反面、
ヨーロッパでは「ほぼいつも」勝てないでいることに、
疲れてしまったのです。

今こそユーべは、
ベルルスコーニがラクダだと言おうが言うまいが、
ヴィエイラ選手を買ったことで
「ユーべは選手を選ぶべき時には選べるのだ」
ということを示そうとしています。

ACミランはジラルディーノらを購入。


そのベルルスコーニのACミランは、
ジラルディーノを買いました。
インテルはピザーロ、ソラーリ、フィーゴを買い、
まもなくサムエルも買うでしょう。
ヴィエイラは、
この2チームに対するユーベの返答と言えます。

ジラルディーノ

フィーゴ

ACミランの買ったジラルディーノがいたパルマは、
12ヵ月前には借金まみれで、
カンピオナートに登録できないはずでした。
これを救ったのが、
その後ベルルスコーニの政府が発令した特別な法律です。
その法律はパルマだけを救ったわけではありませんが、
ともかくパルマは合法的にカンピオナートに
登録できる立場を守ることができたのです。

ジラルディーノについては、
チェルシーやレアル・マドリードからも
オファーがありました。
もちろんACミランは2800万ユーロ支払いましたが、
でもパルマは、金銭的な計算というよりは
感謝の気持ちをお返しするつもりもあったのでしょう、
ベルルスコーニのチームからの申し出だけを受け入れ、
他のチームからのオファーについては、
考えてみようとさえ、しませんでした。

インテルはこんなに買い入れた!


いっぽうインテルはマンチーニ監督の指示に従い、
彼の要望した選手の全てを買い入れました。

まずヴェロン、それからソラーリとウオメを買い、
最後に仕上げの大きな3発を打ち込みました。
ピッザーロ、フィーゴ、
そして(まだ予定ですが)サムエルです。

25才のチリ人であるピッザーロは、
ウディネーゼに在籍している間に、
チームの優れたまとめ役のひとりとして頭角を現し、
約1200万ユーロが支払われました。

フィーゴはレアル・マドリードから自由になって、
2年間の契約でインテルに来ました。
まもなくサムエルも、
1800万ユーロで購入されるでしょう。

ユーベ、ACミラン、インテルは、
そういうわけで昨年のように上位3位を争う
立て役者としての運命が決まり、
ローマとフィオレンティーナを筆頭にする
残りのチームたちは、
その下の役だけを演じられるという結果です。

ユーべ、ACミラン、インテルは
イタリアの3大裕福なチームです。
金銭は幸せを約束してはくれないでしょうが、
サッカーの偉大なチームを作るのを
助けてはくれるようです。

おまけ・ヴィエリ速報!


さて、ここからは先週の続きで、
今週の「おまけ」と思って下さい。

実は、この写真を先週お見せしたかったのですが、
あいにく記者会見が
このコーナーの更新日より後でしたので、
先週はまにあいませんでした。
ヴィエリは、もうACミランのアウェー用の
白いユニフォームを着て、記者会見に臨みました。

悲喜こもごも、裏切り、どんでん返し、
なんでもありのメルカートですが
最後に笑うのは誰なんでしょうね?

はたして1年後、私たちは
アズーリ色のユニフォームを着て微笑んでいる
ヴィエリを、見ることができるのでしょうか?


訳者のひとこと
ジラルディーノ、ハンサムですね。
あ、それはさておき、
イタリアでは
「サッカー関係の放送が多すぎる」という、
一般視聴者の意見もあるようです。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2005-07-19-TUE

BACK
戻る